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2004年10月29日

フライドポテト好敵品種 「ホッカイコガネ」を食べたいか!?

今回は新しい試みをやるぞ!抽選で10名様なのでよーく観ておくように!

北海道の帯広で農業を営む「十勝やっち」君のことは何回か採りあげた。僕が帯広の農協に行った時にわざわざ会いに来てくれた読者さんだ。で、先日彼から、色とりどりのジャガイモが届いたのをレポートしたのをご記憶だろうか。

■ジャガイモ百花繚乱。最適な食べ方をお教えしよう
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000470.html

このとき、十勝コガネという、フライドポテトに旨い品種を送ってきてくれたのだが、彼曰く

「実はこれから収穫されるホッカイコガネが一番美味しいです!」

とのことだった。そう、ホッカイコガネという芋は、フライドポテトに最適化された品種で、玉が扁平で大きく、でっかいフライドポテトにカットすることが家庭でも可能。そして、でん粉の含有量を表すでん粉価が高いにもかかわらず、熱を加えても崩れることがない。ということは、ホクホクしているのにしっかりした食感という美質が両立する、希有な芋なのだ!

 この辺の、ジャガイモに関する知識は、実はもうすぐ発売される季刊誌「やさい畑」(家の光協会刊)http://www.ienohikari.or.jp/yasai/index.htmlの冬号に執筆しているので、もし関心のある人は買って読んで頂きたい。かなり充実の内容になっているのでお奨め号だ。なんと今号では、じゃがいも15種類を食べ比べしているのですよ。

 話が逸れたけど、十勝やっち、そのホッカイコガネ俺にも食わせろ!!!それだけじゃなくて、消費者向け販売してみたら?と話をしたのである。そうしたら、

「じゃあ、10名様くらいに、ホッカイコガネとメークインを合わせて5Kgくらいで販売しましょうか。」

という申し出があったのだ! おおっこういうパターンは食い倒れ日記でも初めてかも!

覚えている人も多いだろうが、以前、山形の「なんばんの粕漬け」という超絶絶品辛いご飯の友を、このWebで共同購入したことがあって、70本くらい買い入れた。おいらはあんまりこのWebで商業的なことをやりたくないのでその後あまり同様のことはやらなかったけど、今回は十勝やっちの好意に対する御礼お手伝いということで、受付をすることにしたい。

この絶品じゃがいも「ホッカイコガネ」とメークインのセット、10セット限定。十勝やっちは全く商売っ気がないらしく、芋の価格は1000円以下である。しかし、ご存じの通り、北海道からだと送料が無茶苦茶高いので、僕の方で下記のようにアレンジした。

■十勝やっちのジャガイモ販売!
内容:ホッカイコガネ2.5Kg+メーク2.5Kg
荷姿:泥付きの芋をビニールに入れて段ボール詰め
※泥土は芋にとっては皮膚と同じ。洗ってしまうと保存ができません!スーパーなどで泥を落として売っているのは鮮度上はよくない!ので泥付きで送ります。
送料込み価格:
・関西以東:2020円
・関西から先:2220円
決済方法:着払い

いかがなものだろうか?
店頭にはあまり出回らないホッカイコガネを入手するチャンスだ。それと、一緒に入ってくるメークインだが、十勝やっち曰く

「ちなみに僕のイチオシはメークのコフキいもです!ジャガイモの主産地といわれる十勝でも私の家は気候的に涼しく、更に畑の輪作から土作りを最適にしてるためか、メーク特有の風味が濃くなっています。今年は猛暑のためかそれにばらつきがありますがメーク好きにはたまらないですよ!」

とのことだ。僕は食べたが、確かに煮ても蒸かしても風味が濃い!香りがこんなに強いメークは初めてだった。

申し込み方法だが、下記の方法でお願いします。

------------------------------------------------------------
・netfarm@mail.goo.ne.jpあてに下記のメールを送って下さい。
サブジェクト(表題)欄に「ジャガイモ希望」
本文には適当にアピール!
------------------------------------------------------------

かなりの申し込みになるかもしれないので、そしたら抽選にしまーす。仕事の邪魔にならないように、僕の仕事用メールには送らないでね。

では、北の国、十勝やっちの畑の画像を楽しみながらどうぞ!


Posted by yamaken at 11:00 | Comments (3) | TrackBack

2004年10月28日

これからの季節、、、無二路では羊が吉!

 このblogではお馴染みシチリア料理の無二路には、今もこのblogみて行く人が多いそうである。いいことだ。実は僕も手伝っているオフィシャルページのリニューアルが遅れているのも、オーナーの大塚さんが「毎日忙しすぎて、、、」というくらいに繁盛しているからである。今年の冬は、シェフの重(しげ)さんとシチリアに視察に行くことになっているので、すんげー楽しみ。もちろん、出張食い倒れ日記シチリア版になるのである!

さてそんな無二路ですが、オーナーからお願いの儀があり。

「最近、このblogを観ていらっしゃるお客様が、電話で最初からそう言ってくださるので対応しやすくなりました。ヤマケン経由のお客様は是非最初に申し伝えてください。」

そして、

「いま、うちのコースは1980円、2980円、3980円、という感じで組んでいますが、この予算内ですと、ヤマケンblogに載っているようなイベリコ豚や羊の料理は難しいんです。ですので、これは別枠で、当日ではなく事前に電話にてご相談くださいね。」

とのこと。そりゃぁそうである。今どきこんな安いコース設定で腹一杯になるのに、イベリコや極上の羊を上乗せしろっちゅうのはワガママであろう。

しかし!やっぱりこの無二路にきて、羊を食わないのは全く持って残念なことである。事前にオーナーに相談して、ぜひ羊をリクエストして欲しい。だって重シェフの羊の使い方、すんごい旨い、いや上手いんだもん。特に最近は、不定期だがミルクしか呑んでいないラムを一頭買いすることがある。僕の処には幸いなことに連絡してくれるのだけど、こういう日に当たったお客さんは最高にラッキーだと思う。嘘じゃない証拠にいくつか載せておく。

■羊のレバーをこんなに喰ったことがあるか!?

 最初にお見せするのは、先日の沖縄編から帰ってきて、水先案内をしてくれたタクに御礼をするため、食べに行った時だ。しんのすけ、竹、加賀谷、ハナという食い倒れオールキャストで攻めたわけである。席に着くなり、厨房の紅一点信州生まれ純朴少女のトモ子が、ものすごいものを持ってきた!

「やまけんさん!今日はこれを食べて頂きますよ!」

のわっ!なんじぁこりゃぁ、、、

「今日は、羊一頭分ありますので、レバーとロースとモモ肉、バラ肉など、色んなところを食べて頂きます!」

そう、この皿の奥にあるのがレバーで、手前がバラ肉だ。ん~ 食材レベルでみたのは初めてだ!すんごい楽しみである。

いつも通り絶品前菜を山盛り喰いたいところだが、ここで飛ばすと後半に失速することがわかっているのでセーブ。パスタの部で満を持して登場したのが、羊の内臓のラグーをタップリ抱かせた手打ちフェットチーネだ。

手打ちのフェットチーネに絡んだラグーは、レバーやハツなどが煮込まれていて、独特のコクと香りが漂う。そこには全くあの羊臭さはない!濃厚にしてオリジナルな味だ。

こいつにはたっぷりのチーズを絡めて、口いっぱいに頬張ろう!

「うめーよ、うめーよ!」

と喰い進む。元々食が細いタクは、このへんですでに推進力が落ちてきているような感じだが、、、

そんなの関係なく、ブツが出てくるのである!

「はい、羊のレバーのソテーです!バルサミコで酸味をつけたソースで仕上げています。」

うお、こんなのみたことない!羊のレバーってどういうのだろうか、かなり興味津々で一切れを食べてみる。ふんわりと柔らかい食感。そして舌の上には、苦みや臭みなどは全く皆無!感じるのは濃い旨味だけだ!

「おおっ 旨い!」

一同からどよめきが起こる。これは本当に初めての食感と味だ。ふんわりと柔らかい食感は、それなりの大きさがあるから味わえる。大きなパンケーキといった感じだ。そしてこの臭みのない旨さは何という奇跡だろうか。タイミングが合わないと絶対に食べられないスペシャリテである。

「うわーもう食えないよ」

とタクが静かになってきたのに、ニコニコする重シェフがやってくる。

「はい、いまからこれを出しますよぉ!」

ジュワジュワジュワワとじりじり音を立てるフライパンには、あの羊肉が鎮座している。もうその容姿だけでテーブルには衝撃が走り、ノックアウト寸前なのである。最近このblogを読み始めた人は知らないだろうが、ここに至るまでに凄まじい盛りの前菜を3皿、パスタだけで2種、レバーソテーと来ているのである。それにこんなのが加わるのダ!

この時タクの目は飛んでいた。
各自とりわけ、ソースをお好みでかけていただくが、ソース無し、香草類の香りと塩味だけで全然旨い。

タクが食わないので、俺がどんどんと喰い進まねばならなかったのである。でも、

「やまけんさん、足ります?」

と重シェフが訊くので、思わず

「パスタもうひと皿くらい食べたいなぁ」

と言ってしまった。すると、本当に珍しいものが出てきた!シチリアでは絶対に食べないだろう、カルボナーラである!

「やっぱりコッテリしてて旨いですよね、カロリー高いけど」

と笑いながら持ってきた重シェフ。あなたは神か、、、
カルボを食べるとさすがにもうはち切れそうだ。旨かった、、、

デザートを食って、この日はもう何も出来ない状態である。

どうだ?羊攻めは最高でしょう?

しかしこれはまだ前編なのであった、、、

Posted by yamaken at 17:31 | Comments (10) | TrackBack

2004年10月27日

見解を書いておきます。

注:新情報がはいったので末尾に追記してます。

先の鮭のエントリで、私が後段で新潟の地震の状況をみて考えた部分が出てきますが、

それについて、
「不謹慎ではないでしょうか」
と言うコメントをいただいたり、トラックバックで
「食料自体が不足している時にそんなことを言うのは悠長ではないか」
という旨のご発言をいただきました。

私が書いたのは

「ライフライン断絶の際、料理をするという基本的な技術があることで、生存の確立は上がるだろう。だから、技術を持とう。」

ということです。それについては正しいことを書いていると思いますので、修正はいまのところ加えません。

ただし、このタイミングで、食べるものがそもそも手に入らない地域もある新潟を引き合いに出すのはよくない、という声があったことは深く受け止めました。

前からこのblogを読んでくださっている方はおわかりと思いますが、新潟の震災のことを書いた25日の記事に、新潟の長岡からコメントをつけてくれている「じん君」は、第二回食い倒れオフ会に新潟から駆けつけてくれたカワイイやつです。友人が当事者として新潟にいるわけで、僕に被災者を揶揄するつもりがあるはずもない、ということはおわかりいただきたいと思います。

ですので、一つまえのエントリに関してはこのままにしようと思いますが、一方で新潟の被災地に対してできることをしなければと思いました。トラックバックをいただいた方のBLOGをみると、救援物資を送る場合の宛先や、必要な物資の情報が掲載されていました。

救援物資について
http://www.pref.niigata.jp/suitou/info_saigai_3.html
注意! 現在この救援物資受付は休止しているそうです
詳しくはこちらを。

新米を送ってあげたいところではあるが、炊き出しが手間なので、インスタント食品中心に求められているようだ。何を送るのがよいか考なければ。

こういうセンシティブな問題については沢山のコメントがついて、言葉のやりとりでギスギスすることが多いのですが、そういうのはちょっとご勘弁いただきたく、あらかじめこの件についての見解を述べました。

Posted by yamaken at 17:15 | Comments (9) | TrackBack

北の国から鮭届く 解体と漬け込みの朝

 本日は午前中は勝手にお休みなのである。なぜかというと、網走から鮭が一本届くのである!

 先日、奈良漬けを仕込んだ訳だが(まだ1週間しか経ってないけど)、台風の影響で奈良漬け用の野菜が入手できず、粕が余っている。それならばと思い立ち、先日イクラを送って下さった、網走の美人キャリアウーマンSさんに「鮭を粕漬けにするから送ってくれ~」とお願いしたのである。

「おやすいご用!うちじゃ10本以上山漬けにしたばかりだから」

と、送って頂けることになった!ちなみに山漬けとは、鮭に強めに塩を抱かせて重しを載せて漬ける、いわゆる塩鮭の仕込みのことだ。

包丁を研ぎながら待っていたら、宅配が来た!竹鶴の石川杜氏からの西条柿とともに、テーブルの上に3箱も積まれてしまった。

さて、これが鮭一本だ!

おもわず釣りキチ三平のごとく、ポーズをとってしまった。でかい!

さすがに鮭を一本さばくのは初めてだ。半身だったら買うこともあったが、一本ちゅうのはかなりなボリュームである。とうてい僕一人で食べきれる量ではないが、鮭の素晴らしいところは、冷凍できるということだろう。さばいて半分を粕漬けにして、半分は冷凍するつもりである。

まず、ウロコとりである。僕は魚の皮が大好きで、パリパリに焼いて食べるのは堪えられない。この時ウロコがついていると興ざめしてしまう。Sさんも、

「さばくまえにウロコを綺麗にとらないと!」

と言われたので、まずはなまくらの包丁でウロコをこそいで取る。

ものすごい量のウロコ片がビシビシと台所を飛び交う。結局工程の中で最も時間がかかったのはこのウロコ取りだ。

さてウロコをふき取った後、包丁を入れて2枚におろす。鮭は骨がついていたままの方が好きなので、2枚おろしにするのだ。僕の持っている中でも一番でかい牛刀を背中からいれて割っていく。

中からはきれいなサーモンピンク(これこそ!)の身が覗く。鮭の身は割れやすいので注意が必要だ。

二枚におろして、頭部を切り離し、頭を二つに割る。包丁をよく研いでおけば、力をほとんど入れずに断ち割ることが可能だ。頭部からはカマの部分を切り離しておく。ここが一番ご馳走だもんね。

あ、書きながら思いだしたけど、ハラスの部分をとっとくのワスレタ、、、

二枚におろした身のほうは、あとはもう切り身にするだけだ。

しかし、静かに興奮する。いつもそうなのだが、店に売っている、人の手の入った食品をこの手で作るということは、何とも言えない醍醐味がある。魚屋やスーパー店頭で並んでいる鮭の切り身を、自分で作り出すというのはオツなものだ。

自分でさばいた切り身が、片方で10切とることができた。これが、今回の鮭の全容である。切り身に頭部、カマなども見えるだろう。大きなバット一杯になってしまった。

次ぎに、いよいよ粕漬けである。Sさんからはいつものごとく、詳細な説明メールが届いている。

----------------------------------

鮭は身を食べるのはオスの方が美味しいといわれています。と言う事で、
「粕にして食べるならオンタ送るか?」 と父が言うので
「そうしてよ」 と言っておきましたので送ったのはオンタ(オス)です。

実家から聞いてきたレシピです。(料理さんのレシピと違って漁師レシピですからあてになるかな?参考程度にしてね)

①魚は山漬けを使う。
②粕は少し酒でのばす。
注)魚が甘口の場合は粕に少し塩を混ぜる。
③切り身にした鮭にぬったくる
④2,3日冷蔵庫でなじましてから焼いて食べる。
注)山漬け:ガッチリと塩し更に重石をかって少し
水分を抜いた漬け方

なーんだ、簡単じゃん。でも、失敗するのは鮭の本来の塩加減によるようですよ。こりゃ難しいですね。それで、失敗しないコツを教わってきたので、面倒でなければチャレンジしてみてください。

******************************

母が言うには、
「粕にする時は、一度さばいた鮭をそのまま一切れ焼いて食べて、塩加減見てからじゃないとダメ」
だそうです。
でも、この塩加減が難しいですよね?漁師は長い間のカンで解っていますからね。目安としては、焼いて食べてみて
「こりゃ、甘口だな、このまま食べた方が美味しいな」と思ったら少し粕に塩を混ぜるそうです。
「結構しょっぱいな」と思ったらそのまま粕にするのだそうです。
でも、甘口が好きで、粕にザラメを混ぜるところもあるそうです。
※どちらにしても、鮭が甘いと失敗するそうです。

----------------------------------

なるほど つまりここで一切れ焼いて食べて塩加減を計らないといけない。ま、そう思って朝飯を食わずにいたのである。飯を炊き、一緒に送ってきて下さった布海苔(ふのり)を洗い、みそ汁を作り、そして鮭を焼く。

鮭は、焼き初めからジュウジュウと油が滲み出て、派手な音を立てている。裏面も、皮目もバリッと焼き、食卓へ。


うおおおおおおおおおおおお
たまらん!実に旨そうである。この立ち上る強い香気を皆さんにも届けたい!堪らず口に運ぶと、鮭独特の香りと、甘さを含んだ塩気が弾ける!急いでメシをかきこみ頬張り噛みしめる。白米の甘みと鮭の風味と塩気が混ざって、気が遠くなる旨さだ!

そしてこの皮目の旨そうな色を観よ!身から外してバリバリのそれをご飯に載せて食う!本当に最高である。この皮だけ2平方メートル分食べたいぜ俺は!

あんまり旨いので続けてカマの部分も焼いてしまう。


カマには塩が強く、結果これだけでメシをもう一杯食べてしまった!んー

しかし、いっしょに食べた布海苔のみそ汁はこれがまた絶品だ!

乾燥ものではなく生だからか、磯の香りが強い!でも、それがすえたような香りではなく、爽やかなのだ!

このみそ汁、鮭、白米の三点セットで俺は生きていけると、力強く思った。和食って本当に素晴らしい!

で、結論として鮭の塩加減は、焼いて食べるのにちょうどよい。つまり粕漬けにするには少し甘いということがわかったので、酒粕に塩を加え、砂糖も混ぜ、この粕衣で鮭の切り身を漬け込む。いくつかに分けて漬け込み、冷蔵庫でしばらく寝かせるのである。

いや
本当に楽しみだ、、、

今回さばいて実感したが、鮭は捨てるところがない。頭も汁にすれば旨いし、軟骨はナマスにして食べることができる。長いこと日本の食卓に上り続ける理由がよく分かる。このblog読んでいる一人暮らしの皆さんもぜひチャレンジして欲しい。

というのも、
新潟の地震を観ていると、ライフラインが確保できない時に、どのようにしてメシを食べるかが問われるような気がするのだ。そのためには料理の技術が絶対不可欠だろう。魚をさばくというのはそれほど難しいことではない。料理人のようにやる必要はないからだ。どんな形でも切りさえすれば食えるんだから。

保存食を作るということは、コンビニやスーパーでしか食料を買わないライフスタイルへのテーゼだ。スローライフなんていいながらカフェに行くんじゃなくて、まずは鮭!と心に刻む昼餉であった。

Sさんどうもありがとうございました!またよろしくですぅ、、、

Posted by yamaken at 13:07 | Comments (9) | TrackBack

ひょえ~ 賞をいただいてしまったゾ!

WS000000.JPG 夜、メールをいただいてわかったのだけど、あるblog紹介サイトで優勝をいただいてしまった!

■blog-gold
http://www.blog-gold.com

■賞の解説
http://www.blog-gold.com/kaisetsu.html

やっぱりこういうのは嬉しいもんだな。自分が無意識にやっていることをきちんと汲んで評価して下さっているので、なおさらです。

この食い倒れ日記、実は数年前から電子メールの形式で存在していました。僕が出張に行って、旨いものを食べた時に、150人くらいの友人にBCCを使って、無茶苦茶に長文のメールを送りつけていたんですねぇ。

「うわー残業してるのにそんな旨そうなメール送ってくるなぁ!」

と言われつつ、友人の間では結構喜んでもらっていました(と思っているのは僕だけかも知れませんが)。それが、「画像もないと面白くないゾ」とか言われるようになって、Web化を考えざるを得なくなったのです。その残骸が、下記に残っている、BLOG前の記事なんです。

■過去の食い倒れ日記
http://www.yamaken.org/kuidaore/kuidaore.htm

しかし手作業でWeb化するのは大変。そこで定型的なWebページに、毎日更新する内容を表示する、いわゆるCMS(コンテンツ・マネジメント・システムですな)を、このWebを管理して下さっているプロコムジャパンさんに作ってもらおうと思っていたのです。

その検討をしていた矢先に、親友の本城しんのすけが、MovableTypeを使った日記を書き始めたのです。

■本城愼之介 雑記
http://www.onbetsu.com/log/

このインターフェースは素晴らしいな、どういうツールつかってるんだ?と尋ねて教えてもらい、テスト的にこれを使ってみようか、と導入したのです。しばらく使ってみて、それを参考に同じようなものを作ろうかと。
なーんて思ってたら、完成度の高さ、アーカイブの楽さ加減などに感銘を受け、今に至るまで使っているということなのです。

つまり僕は最初からblogをやろうとおもっていたわけではなくて、とにかく簡単に毎日更新できるWebのシステムが欲しいと思ってたら、MTがあった、ということなんです。だから、ブロガーと呼ばれるとなんだか不思議な気もするのですが、それもまた佳しかな、とも思っています。

思わず回想してしまいました。ブログゴールドの皆さん。僕のサイトを選んでくれてどうもありがとう!

そろそろ左サイドバーに表示されている過去ログの数が凄まじいことになってきているので、ページデザインを何とかしようと思っています。時間が無くてなかなかできないんだけど、、、
MovableTypeの新しいヤツは、カテゴリの下にさらにサブカテゴリを付けられるのですね。それ、欲しい。せっかく出張食い倒れなのだから、県別に分類するというのをやりたいんですよね、、、でも、システムの移築は色々と面倒だから、しばらくこのまま運営しようかな。

今日は広島から絶品の柿が届きます。うーん楽しみだ!

Posted by yamaken at 08:35 | Comments (7) | TrackBack

2004年10月26日

今日のランチはナス味噌に決定だろう! 綺麗なのにがっつりガテン系中華の殿堂! 豊洲 「秀栄」

 腹が減った!時計を観ると21時である。僕の仕事は、出張に出る時は出るけど、ここしばらくはデスクワークというか書き物中心だ。日本橋の丸善ビル近くにあるオフィスにて缶詰状態が続くもんで、結構平穏でつまらない。冒険するにはメシしかない状況なのである。

こんな日はガッツリ行きたいよなぁ、、、と思い、食い倒れ党広報部の加賀谷に連絡すると、「いーねぇーどっか行こうよ」と、相変わらず付き合いがイイ。ガッツリ食えるところ、、、味がグワッと濃くて、メシをガツガツと食えるところ、、、と考えて、ビカッと閃いた!

豊洲の「秀栄」だ!

この店を教えてくれたのは、国会議員秘書で、僕を国会議事堂内の食堂巡りに連れて行ってくれたモロイさんだ。そう、そんなエントリがあるので、まだ読んでない人はぜひ過去ログをどーぞ。

「すんごい盛りがよくて、注文したらすぐに出てきて、もちろん旨くてしかも安いという、最高な中華の店があるんだよ!」

とイチオシなので、しばらく前にオーダーストップ間際に滑り込んだのだ。時間もないので野菜炒めと肉中華丼を頼んだのだが、中華丼の盛りはまさに凄まじいモノであった。モロイさんの言葉は真実だったのだ。

「今度は腰を落ち着けて食いましょう!」

というモロイさんの言にうなずきつつ、時間が経ってしまった。
今日こそその日だ!
すぐさまモロイさんに連絡を入れると、すでに飯は食ってしまったが付き合ってくれるという。

日本橋から豊洲までは僕の愛機ブリジストンモールトンを駆って20分くらいだ。途中、月島で加賀谷と落ち合い、自転車二台で疾走する。豊洲のNTTデータのビルがそびえ立つ交差点に着くと、193センチの巨体を誇る元サッカー選手(ブラジルのチームに数年在籍)のモロイ氏が笑って出迎えてくれた。

そう、秀栄はこの豊洲交差点ぞいの駅ビル(ていうのかな)1Fという、絶好の場所にあるのだ。通常なら、何も営業しなくても人が入る場所だ。高くてちょびっとしか盛られていない料理屋でもそれなりに繁盛してしまうはずなのに、この店はそれを佳しとしないのだ!

■中華ダイニング 秀栄
東京都江東区豊洲3-3-3
03-3536-1908
http://www.toyosu.or.jp/toyosu/mi/SHUUEI/

店に入り一番奥のテーブルへ。

「今日は容赦しないぞぉ~」

とメニューをたぐる。ここのすごいところは、ほとんどの料理が500円から800円台なのだ。

一番高いのが海老レタスマヨネーズ和えで1200円だったか。しかも通常は1200円とかで出てくる料理の1.5倍くらいの盛りなのだ。

「ここは元々この場所できったない店で営業していて、豊洲駅の開発後にこうして綺麗になったんだよね。けど、綺麗になって値段が上がって量も少なくなるかと思ったら、まったく前と同じというウレシイ店なんだよ」

とモロイさんの解説がはいる。なるほど、心意気最高ではないか!その心意気に答えるため、容赦なくどしどしと料理を頼んだ。頼むと、大体4分くらいで料理がズバッと運ばれてくる。本当に早業なのである。

■セロリとイカの炒め物(たしか750円)

イカなどの海鮮は、しかるべき下ごしらえをしているか否かでその歯応えが全く変わる。この店のイカは適温で油通しが成されていて、ブリンブリンにしてくにゃくにゃ感のある官能的な食感だった。旨い。


■ナス味噌炒め(750円)

ぐわっヤラレタ!こういう濃いプレゼンテーションに俺は弱い!さっそく飯がくいたくなってしまったが、グッと我慢して熱々の味噌でテラテラになったナスと豚肉を口に放り込む。

ジュクジュクに揚がったナスと豚が、甜麺醤の濃厚な甘さに絡め取られて最高!俺はこれでご飯二杯食べられるな。


■ニラ卵炒め(600円)

運ばれてきた皿を観て、加賀谷が思わず「これ、銀座の中華料理店で食べる量と全然違う、、、」しかも値段も違うのである。野菜たっぷりぎっしり、このご時世に偉いとしかいいようがない。ニラの香りタップリで卵と炒め、盛り込んである。

■油林鶏(ユーリンチー)

調理の簡素化のためだろうか、油林鶏は鶏唐揚げ大のもも肉を揚げたのに香味ソースをかけて供してくる。

味はもちろん妥協なし。特製の甘辛酸味ソースをタップリ衣にからめて噛むと、皮のカリ感と肉のシットリ感、ソースの甘みと酸味が調和して、こいつも飯をそそる!

「食べてますねぇ~」

と笑いながらテーブルをのぞき込むのは、この店の二代目だ。

「僕はやせ形だけど、結構食うんですよ!」

という彼だが、だからこの店の盛りはすごいんだろうか?この路線を一生続けて欲しいと願うばかりである。

「はい、これサービス」

と、二代目が置いていったのはなんとこの店で一番高いメニューである海老マヨネーズだ!モロイさんは夫婦でしょっちゅうこの店に来る超・お得意さんなのだ。そのご相伴にあずかりこんなに嬉しいことは無いんである。

この海老マヨがまた旨い!かつて周富得が香港のコンクールで賞を獲ったこの料理は、やはりマヨのソースが決め手だ。秀栄のそれは黄色みが強い。自家製のマヨにエバミルクを加えているのだろうか。まろやかな味である。

「うおー我慢できん!そろそろ丼モノとって飯を食おう!」

と頼んだのはマーボー丼だ。頼んで数秒したらすぐに出てきた!

■マーボー丼

ちなみにこの写真の撮り方じゃ伝わらないけど、ご飯は茶碗3杯分くらいは盛られている。

マーボーは甘さとトウチのひねた味噌味が絡んだ、飯を食うために最適化された流体であった。

と、ここでモロイさんの妻・エリコさんの登場。この方がまた美女なのである。

モロイさんと並ぶと美男美女で、決まりまくっている。でも、このモロエリは歯に衣着せぬ強者でもあるので、発言には要注意である。ふっふっふ。

さて「太るからでん粉はイヤよ」というモロエリを尻目に、もう一つ丼を頼む。海老玉丼は、ブリンブリンの海老と春雨を塩スープに絡めて卵でとじたものだ。これは味の濃い料理の前に食べるべきだった!

■海老玉子丼

こういう繊細にして穏やかな味の料理も出るとは、濃淡おりまぜたダイナミックレンジが本当に広い店なのだ。関心する。

■蒸し鶏香味ソース

棒々鶏ではなく香味ソースで食べる冷製蒸し鶏も結構なお味。

■ソース焼きそば(600円)
モロイ氏が「ソース焼きそば旨いよ!食べましょう」と言って頼んだ焼きそばは本当に不思議に旨かった。


うーん 旨かった! 9品食べた、、、(うち2品が丼ご飯)
さあビールも各自飲んで、これで会計はなんと8000円であった!一人2000円やんけ!イヤこういう店には、ほどほどに繁盛して(僕が入れるように)、永遠に続いて欲しいモノである。

「またやりましょう!」

と力強く仰るモロイさん。そうですな次ぎはモロイさんも夕飯食ってない時に来ましょう!そんで、国会食堂潜入編第二弾は11月中にやりましょう!

久しぶりに中華をガッツリ食べて、もう他には何もいらない状態の俺であった、、、

Posted by yamaken at 01:12 | Comments (15) | TrackBack

2004年10月25日

新潟地震

大変なことになっている、、、犠牲となった方のご冥福を祈ります。

同時に、コメ処としての新潟県のこれからを案ずる。 コメを貯蔵するカントリーエレベータなどの施設は倒壊を免れただろうか。せっかく収穫したコメが商品にならなければ、農家の逼迫と離農はさらに進むだろう。新潟にはしばらく前にも集中豪雨があったので、とんでもない苦境に追いやられているはずだ。

これを観ても分かるとおり、明日も太陽が昇り、我が家があり、道があり、そして食べ物があると思うのは間違いなのだ。台風も地震も、この国に対するメッセージが天と地から発せられている。そういう気がしてならない。

そう思いながら謹んで朝ご飯を食べた。

Posted by yamaken at 09:23 | Comments (8) | TrackBack

甘いの苦手でもこいつぁ絶品! 不思議食感の「カフェ大福」を食った

 静岡県の南富士産業という会社が三島にある。ここは本来、住宅を販売している会社なんだが、なぜか中国茶などの食品をインターネット販売してもいる。ここの米谷さんという女性Webマスターがやたらと元気がよく、楽天の中でも割と突出した活躍をしているショップなのである。

 その米谷さんから連絡が来た。

「やまけんさん、甘いものお好きですか?」

う~ん そうだねぇ、飛びつくほどではないけど、好きです。

「実は今、新しいお菓子を取り扱おうとしています。メーカーも商品もめちゃめちゃ良いと思っていますが、私は美味しさを味覚よりもその他の情報や感情で決めてしまいがちなので、(--;) お味見していただけませんか?」

ん、了解了解。で、モノはなんですか???

「、、、 カフェ大福っていうんです。」

なぬ?
なんだそりゃぁ、、、
ま、いいや、乗りかけた舟だ。と思い、待っていた。


翌日届いた!

実は届くまで、ろくにこの商品のページを観ていなかったので、じっくり見聞してみた。、、、かなりこだわりの和菓子屋さんではないか!

米谷さんによれば、

「すっごい美味しいものを製造しているのに、全然宣伝っ気がなくて、パンフレットとか製品紹介とかが全くないんですよぉ!説明とか、手書きでおくってくるんですよいつも」

とのことだ。そう言う愚直に真面目な店、大好きだ。

さて
カフェ大福、ご覧の通りの小さなふんわりした大福だ。お店の方が、やはり手書きの説明書きを同封してくれている。

「生クリームをコーヒーで味を付けた自家製白並餡でつつみ、それを雪平で包んであります。添加物を使わずに仕上げてあります。冷蔵で発送いたしましたので、2日の賞味期限にさせて頂きました。」

うーん
手書きの説明書を添えるくらいだから、やはり添加物を使わないのである。

よしゃ、食べよう!
静岡の葉桐の極上茶を急須で熱めに煎れ、しかる後に大福にかぶりついた。

お!

おお!

正にコーヒーである!

不思議だ!あんこなのにコーヒーの味と香りがする!

いや、

餡のなめらか&粒状感の残ったあの食感で、コーヒーの香りがブンとするから、これは世界のどこにもない初めての食べ物って感じである。コーヒー餡ってよくあるものなんですか???

そしてその中心部にある生クリームが相性バッチリ! 皮はフヤフヤの魅惑的な柔らかさだ。たんなる餅皮ではないですな。

こいつぁ うまい。 甘い!というモノではないので、左党にもイケルはず。

かなり強いヒキを感じながら、断面を観るため牛刀でスパッと切ってみる。

断面は見事な美しさだ。餡が生クリームを包んでいるのである。

「この生クリーム、しつこくならないように脂肪分を抜いているんです」

という念の凝りようだ。

米谷さんに急ぎ感想を伝えると喜んでいた。

「今、ネーミング募集&プレゼンとしてます。」

■南富士産業プレゼントページ
http://www.rakuten.co.jp/oft/425082/563691/

「それと、火曜あたりからモニター販売も開始します!」

おおそうか!

ちゅうことで、30日までにはネーミング募集&プレゼントに応募!
んで、それまで待てない場合はモニタ販売をどーぞ。
いや、これはマジで旨い。


ところで先にお断りしておくが

僕のところにはしょっちゅうこういう感じで試食依頼が来る。
ただし、このblogに載せるかどうかは僕が食べて旨いかどうかで決めている。つまり、「くれれば載せる」ということはありません。大体、5件に1つ載せるかどうか、ですね。ほんとーに旨いと思わない限り載せてないですからね。
あと、この食い倒れ日記に掲載する場合も、お金をもらうことは一切ありません。そういうビジネスのためにやってるわけではないのダ!
それでも良ければ、メーカーの皆様、どんどん旨いもの送ってきて下さい(笑)

ちゅうことで
美味しくなかったら俺の舌が悪いってことです。

あ、米谷店長、このカフェ大福を女性に食べさせた時のリクエストがありました。

「美味しいぃ~  でも、この皮があと2ミリ厚いともっと美味しいと思う!」

なるほど、あの皮は確かに旨い。女性はさすがに甘いものに飽くなき追求心を持っているのだなぁと関心。

という、スイーツ情報でした。

Posted by yamaken at 09:01 | Comments (2) | TrackBack

富良野の名店「唯我独尊」のカレー全国出店情報 名古屋・小倉・仙台編

 富良野のカレー&ソーセージの名店「唯我独尊」がこのところ色んな地域で催事に出店している。この全国行脚は、水先案内人のD黒さんによれば以前からやっているとのことなのだが、今年はまた凄まじいペースである。先々週までは、このblogでもお伝えしたように、横浜と大阪にてやっていたのだ。ああ、いいなあ、、、俺も食いたい、、、

そう思っていたら、宮田マスターから連絡があった!

「山本さん、先日は告知頂いてありがとうございました!」

「おお!マスター!忙しそうですねぇ、、、富良野市議の仕事はできるんですか???」

「いやぁ きっちりやってますよ!それでね、また色んなところに行くことになったんで、ご連絡です!」

おおおおおおおお
また東京に来るのか、来るのか! 全身全霊で駆けつけるゾ!


「今回はですね、名古屋と小倉と仙台に行きますよ!」

、、、?


んん?


それって関東にはかすりもしないじゃん!


「えぇ 今回は関東には行かないんですよぉ、、、」

なんと! 宮田マスター、わしのblogに他地域への出店情報を掲載するためだけに連絡してきたのである! ぐわぁああああ 蛇の生殺しとはこういうことを言うのだ、、、


けど許す。

名古屋、小倉、仙台の皆さん、おめでとう!日程は下記の通りです!

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■唯我独尊出店情報

名古屋: JR高島屋 10月27日~1日 (全日)
小倉: 井筒屋 11月3日~14日 (3~7は確実)
仙台: 藤崎 10月29~11月10日 (8.9.10のみ)

※ ()は、宮田マスターが居る日です。
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いいなぁ、、、このblogみて駆けつけた人は宮田マスターに、

「やまけんが『何で東京に来ないんだよぉ』と恨めしがっていた」

と伝えて下さい、、、  お食い逃しなく!

Posted by yamaken at 08:13 | Comments (4) | TrackBack

2004年10月22日

プチ リニューアル

むふ。一目瞭然だけど、左側の俺のイラストがフラッシュのアニメになりました。ちょっとテスト。これは、僕の大学時代からのダチである金子重人氏によるものだ。

「Flashの練習してて、適当に作ってみたぞぉ~」

と送ってきたのだ。せっかくなので使う。以前のイラストも金子によるものだ。

何度かこのblogでも採りあげたのだけど、彼は週刊少年ジャンプの開催した「デジタル漫画大賞」の第一回入選者だ。

■金子のblog
http://blog.drecom.jp/gcfactory

ちなみに今まで使っていたイラストは、彼が入選する前に描いてもらったものだ。自分で言うのもなんだけど、僕がいいと思ったものって、必ずヒットしたりする率が高い。(←ちょっと自慢モード)

前のイラストが気に入ってるので、その内戻すと思うけど、しばらくこれでいきます。

Posted by yamaken at 18:08 | Comments (4) | TrackBack

2004年10月21日

大技炸裂 奈良漬けにチャレンジするぞ!

前の前のエントリで扶桑鶴さんを出したのには実は意味がある。先日、僕のオフィスに、周囲を幻惑させる香りが染み出ている箱が届いたのだ。段ボール箱の中身は、、、4Kg 入りの酒粕である!

この圧倒的な存在感(持って帰るの重かった、、、)を醸し出す酒粕をどうするか? 自家製の奈良漬けを作ろうという魂胆なのである。

僕も33歳、イイ年になってきて、昔は好まなかったものを美味しいと思うようになってきた。漬け物、特に本漬け、古漬けという、発酵食品としての王道の熟成した漬け物の味わいが溜まらなく好きになってきた。それでも奈良漬けはあまり美味しいものに出会わずにここまで来たのだ。

それがこの初夏、40度を超す猛暑の中、素晴らしく旨い奈良漬けに出会ったのだ。blog読者にしてアメリカ在住の読者、のぶかなさんが帰国している時、今のところ僕の中では日本最強のご飯の友である「なんばんの粕漬け」(山形県白鷹町 まあどんな会の手作り)を所望されたので、引き渡しのためにオフィスに来てもらったのだ。

(最近の読者さんはその辺の事情もしらないだろうな。あまりに旨いんで、このblogで68本共同購入したという、すごいご飯の友なんですよ!過去ログその1  か その2 をどうぞ。)

 過ごしやすいアメリカからいきなり日本の蒸し暑さの中、清楚な佇まいののぶかなさんは、なんとご実家から白瓜の粕漬けを持ってきてくれた。

「義母が作っているんですが、とても美味しいんですよ」

と、かなりの分量を分けて下さったのだ。その時は実は「ん~奈良漬けかぁ、、、」と思っていたのだが、家に帰って切り分け、食べてみてびっくりした

なんだこりゃ旨い~ いままでこんな奈良漬けくったことないぞ!

ということでのぶかなさん経由で、のぶかなさんの義母さんに造り方を教わったのである。

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<材料>
白瓜 4kg
塩 適量

酒粕 (練り粕) 4kg
砂糖 1.5kg *最後に容器の上に振りかける分を取り分けておく
焼酎 少々

<作り方>
1. 白瓜は種を取り、その穴に1/3量の塩を入れて全体にまぶし
一昼夜置く。
2. 水気を切って、半日ほど天日で干す。
(ここでしっかり水気を切っておくことが、漬けてからカビないコツ)
3. 酒粕と砂糖を混ぜて、干した白瓜を漬ける。
4. 漬け込んだら、残りの砂糖をふりかけて、焼酎を少々振りかける。
5. ラップをぴっちりかけて冷暗所に寝かす。
1ヶ月後くらいから食べれます。
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なんとなんと。練り粕ってのが必要なのね。早速、竹鶴の石川杜氏に連絡した。

まず、酒を搾ったときにできるのが板粕、それを桶などで寝かせて(常温にて)軟らかくなったものが練り粕である。 竹鶴では、6月頃にそれを掘って(重労働)、袋詰めする。前にも話した通り、粕の売れ行きは好調なので、詰めた端から売れてしまう。ということで、ほんの少しならともかく、在庫はない。ないと言っておいて自慢するのも嫌味だが、うちの粕はかなりのもんだぞ。まあ、来年まで待っていなさい。

なんだよぉ~ 来年まで待てるか!
ちゅうことで、昨日のエントリにも登場した扶桑鶴の大畑専務に相談。

「いいですよ、やまけんさんの分、確保します」

やったぁ!!! 大畑さん最高です! そんで送ってもらったのが先の練り粕なのである。この粕、すばらしい香りだ!舐めてみると、米の味と甘さ、そして酒の風味がたまらない。このまま焼き魚に塗って食べてもイイくらいだ!これに漬け込めば、人為的に失敗しても食えるものが出来る気がする。

次ぎに困ったのが、肝心の白瓜である。 白瓜(しろうり)って、一般の人は余り知らないだろう。漬け物用のウリなので、晩春から夏までの一時期に、限られた店頭にしか出回らないのだ。で、タイミング的にもう間に合わない。長島農園や、茨城の生産者団体さんに連絡しても「もうないよ~」とのことだ。

「ウリだったら、まあハヤトウリが獲れるかな。」

というのが長島君の弁だった。よし、ハヤトウリでやろうということになったが、そのタイミングで台風が襲ってきた!

「やまけん、台風でやられちゃうから、今日送っておいた!ものは小さいけど、台風で全部だめになるから、我慢して!」

ということで送ってきてくれたのだ。感謝!

こいつを塩漬けにし、さらに水気を切るため天日に干す。こうしておかないとカビが生えたりするそうだ。湿気が多い日が続くので丸2日間干した。このハヤトウリを粕床に漬け込む。

粕床だけど、タッパーなどでヤルのがいいのだろうけど、満足に保存する場所がない。なので、ビニール袋で代用!砂糖と焼酎と混ぜた酒粕をビニールに入れ、下漬けしたハヤトウリを漬け込む。あとは待つだけである。

アメリカでハヤトウリで試したのぶかなさんからは、「ちょっと失敗~(涙)」という報告が上がってきている。さて、僕の奈良漬けは成功するか否か? 答えは1ヶ月先に明らかになる、、、

Posted by yamaken at 17:10 | Comments (9) | TrackBack

2004年10月20日

オーパ 水澤君の祝勝会がやっと12月に開催されます。

第31回全国バーテンダー技能競技大会2004 にて見事優勝し、全国ナンバーワンと認められた、Bar オーパ 門前仲町店のバーテンダー 水澤泰彦君の祝勝会が、なんと受賞からほぼ半年経つ12月にようやく開催されるということだった。

(最近このblogを読み始めて、ナンのことかわからんという方は、これをお読みください

「最近来て頂いているお客様には手渡しできるのですが、しばらくお店にお寄りにならないお客様もいらっしゃるので、もしよろしければ山本さんのblogに載せて頂けませんか?」

と水リンに頼まれてしまったので、載せないわけにはいかないな。この祝勝会、誰でも参加できるらしい。とはいえ、一度くらいは水リンのカクテルを味わった人じゃないとイカンわな。

日時:2004年12月5日(日) 17:30~19:30(会場は17:00)
場所:東京厚生年金会館 ウエルシティ東京・ロイヤルホール
会費:10000円
主催:日本バーテンダー協会
問い合わせ:関 幾夫 銀座「ルパン」03-3571-0750 16時以降に
※申し込みは11月22日までに。

当日は、受賞カクテルである「スプリング・ヒル」などの調合を競技会バージョンで、演壇の上で演技するらしい。またあの白タキシードの美しい所作がみられる。神戸での大会の応援に来られなかった人はぜひチェックだ。

それにしてもあの神戸の大会はすごかったよなぁ、、、もうあれからかなり経つけど、今年に入ってからの出来事の中でも白眉といえる体験だった。ん~ あの感動を思い出すためにもこの祝勝会は重要だな。

チケットはどちらにせよ店で申し込むしかないので、オーパ銀座店か門仲店で申し込んで下さい。という告知でした。やまけんはもちろん行くよ~ん!

Posted by yamaken at 22:58 | Comments (1) | TrackBack

来たぞ高相場 野菜は壊滅的だ、、、

予想通り台風による農業被害が酷い。野菜の高相場も大変なところまで来てしまった。

とうとう、16玉入りのレタスが市場卸値1万円という高値になってしまったのだ。

という話を、兄弟blog 「俺と畑とインターネット」書いたので、関心あればどうぞ。

Posted by yamaken at 22:02 | Comments (1) | TrackBack

蓼科・板橋家の宴で「やっと旨い馬肉を見つけたんだよぉ」の桜鍋を堪能した

 板橋夫妻といえば、このblogにも数回登場しておられるが、夫・イタバシマサヒロ氏は名高い漫画原作者(あの「BOYS BE…」の原作者なのだ)、妻・神澤柚実子氏は居酒屋紀行家であり、酒肴研究家(つまり呑み助ということダ!)である。しばらく前にこのお二方の会社であるSHUWATCH(シュワッチと読む)へのリンクを「友人達へのリンク」に足してある。

■SHUWATCH
http://www33.ocn.ne.jp/~boysbe/index.html

イタバシ師匠はビッグコミック増刊の連載「ニッポン元気者列伝」を書いているが、これはプロジェクトX的な、元気に生きてる、身の丈サイズの偉人伝という感じで面白いので、みかけたら立ち読みしないで買うこと!

 さてこのご夫妻とは、一緒に蔵本を廻ったり、ハム作りをしたりしているが、なんといっても信州・蓼科にある彼らの家が最高なのだ。どこからみてもデザイナーハウスで、テレビの「渡辺篤志の建もの探訪」で「ほぉ~広々とした空間。いいですねぇええ~」 とかなんとか言われてしまいそうなシンプル・ゴージャスな家なのだ。

「蓼科はもう寒くなってきたよ。避暑しに行こうよ」

とお誘いを受けたのは実は数ヶ月前なので時間差になるが報告しておこう。

メンツはいつもながら僕の兄弟分の工藤ちゃんとその側近・浅見君。それに今回はスペシャルゲストとして、島根県にある桑原酒造の専務である大畑さんが参加されるのだ!桑原酒造は純米酒「扶桑鶴」を醸す蔵である。純米酒マニアなら知っている、島根の素晴らしいお酒なのである。大畑さんは竹鶴の敏夫専務や石川杜氏とも昵懇にしているので、蔵にもお邪魔し、仲良くさせて頂いている。

板橋家に着く頃にはすでに陽がかげり、いいかんじに黄昏れてきた。

「この辺の地ビール、高いんだけど旨いんだよな」

とイタバシ師匠が注いでくれる。

まずは板橋家の誇る酒肴研究家であるカンちゃんのお手製酒肴が、一斉に立ち並ぶ。この人は、一定以上の酒を呑むと鼻が「ぶひっ」と鳴るという奇癖を持つ女性で、美人であり料理が激ウマ!

特に彼女の作る煮豚のみそ漬けは最高なのである。煮豚を特製の合わせ味噌に漬けておくだけと書いてあるが、この塩梅が最高で、味噌と豚だけで何倍も酒を飲めてしまうスーパーおつまみなのである。

この煮豚味噌のレシピは、先にあるShuwatchのWebの中にある「うちごはんレシピ集」(http://www33.ocn.ne.jp/~boysbe/kondate/kondate.htm)にその内掲載されるであろうと思われる。

さてこの日は料理もスゴイのが控えているのだが、酒もすごい。大畑専務の扶桑鶴はもちろん、酒マニアには垂涎といわれている「大七」の幻の酒ならなにやら。それを、純米居酒屋「五穀家日本橋店」をスターダムにのし上げた張本人である工藤ちゃんが、お燗番として燗をつけてくれるのだ!うーん素晴らしい!

日本酒の燗をつけるということについては、僕のような門外漢が書くようなことではないと思うが、とにかく純米酒は燗をして飲むのが最高に旨い酒だ。少なくともキンキンに冷やして旨い酒というのは、逆に言えば常温では呑みにくい酒とも言える。フルーティな吟醸香ばかりが立ち上る酒は食中にはとても飲めたもんじゃない。米の香りと旨味が立つ、純米ならではの酒が最高だ。その力を最大限に引き出すのが「お燗」という技術である。

工藤ちゃんは徳利(とくり)や金属製の「ちろり」を使いながら、酒質によって最適な温度を計りながら燗をつけていく。

「この酒は強いので、温度高めの熱燗にして、それを少し燗冷ましにして呑むのが旨いですよ」

というように温度を使い分けているのだ。このような提案ができる居酒屋が日本にどれくらいあることか。早く工藤ちゃんには次ぎなる居酒屋を出店して欲しいものだと思う。

まずはその幻の大七の燗でスタート。

たしか20年近く経つ古酒だ。ただしこれは今ひとつ僕の好みには合わなかった。保存方法の問題かも知れないが、古酒然とし過ぎた熟しすぎの感がある。

そして待ってましたの扶桑鶴である!

本日のこの特別純米酒、酒米は佐香錦(さかにしき)という、地域の酒米を復活させたものを使っている。

この酒米を使った酒は、静かに華やかな味と香りになる。山陰・島根のどんよりとした天候の中でも、この扶桑鶴の燗酒を呑めば、へその奥にポッと暖かな灯が灯る、そんな穏やかな酒だ。

これを、イタバシ師匠が「たけーんだぞ、この酒杯!」

というお猪口でいただく。なんでもこれ一客で3万円するそうだ(!)

やはりこの日は扶桑鶴。大畑専務も、最初から最後まで変わらぬピッチで呑みまくる。

大畑さんは島根の男、という感じで、本当に腰が低く控えめな方だが、生み出されるものは本当にスゴイ。桑原酒造にうかがった時、大畑さんの父君(つまり社長)のお話しで、

「まあ、地元向けに醸造アルコールの入った本醸造も造りはしますけどね、やっぱり純米酒が一番旨いですよ!」

と力強く仰っていたのが強く印象に残っている。その系譜がこれからも受け継がれていくだろう。

さてこの日の酒肴は本当にものすごい種類が並んだのだ。山芋ざく切りのイクラのせ、餃子、鯛の酒盗和え、工藤ちゃんの自家製コンビーフ、浅見君のスペアリブ、、、

これでもかとばかりに皿が並んだその後に、メインイベントである。

「いやぁ、、、やっと見つけたんだよ、旨い馬肉を! 信州っていや馬肉がどこにでもあるから、旨いのが買えると思ったんだけど、大して旨い肉はないんだよ。で、ある時、ある場所を通りがかって小さな看板を観て『ん?これは、、、』ってピンと来たんだな。それが正解。無茶苦茶高いんだけど、無茶苦茶旨いんだよ!」

そう、桜肉である!みよこの芸術的な桜肉の肉塊を!こちらが馬刺用。

こちらは桜鍋用だ。

おそらくこれだけで1万円以上しているはずだ!うーんイタバシ師匠、ゴチです!

まずは馬刺を堪能。この霜降り、見事だ。乗馬やってる人で馬肉食べない人が居るが、こんなに旨い肉を食べないなんて勿体ないな。

醤油に浸し口に運ぶと、トロリと溶けていくような感触。しかし肉としての旨味は濃い。牛肉にある独特のクセもなく、実に滋味深い味わいだ。

「でもさ、こんなに料理食った後にホントに鍋やるの?おまえらオカシイよ、、、」

いや、やるのである。桜鍋に向けて、僕の目はギンギンなのであった、、、

神澤さんの桜鍋は実にタレの吟味がされていた。詳細はまた彼女がWebに書かれると思うが、味噌と割り下を配合して、絶妙な甘辛味噌ダレで味を付けるのだ。鍋に馬肉の脂をひいてネギを炒め、肉をじゅっと焼き、すぐにこの味噌ダレを回しがける。

たちまち周囲は鼻孔をくすぐる味噌しょうゆの香りで充満。

「もう食ってイイ?食ってイイかな?」

と逆上気味の僕が真っ先に肉をいただく。溶いた卵にざぶんとくぐらせ、一口にほうりこむと、これはもう悦楽以外の何者でもなかった!

やはりどう感じても牛肉より旨いぞ!肉の味わいや濃さ、そしてくどさのない後味は、いくらでも食べられてしまう。味噌と醤油の甘辛ダレという濃厚な味付けなのにいくらでもいけるというのは、それだけ肉がくどくないということだ。

「ご飯ご飯、ご飯お代わり!」

この日おれはご飯3杯食べた、、、

この後さらに、工藤ちゃん持参のビビン冷麺を食べ、さすがにもう食えん。

しかしマジで旨かった桜肉。あの秘伝の味噌ダレははやくカンちゃんのWebにも公開して欲しいものである。

これから冷え込みがきつくなりそうな蓼科。でもそれに比例して、旨いものに満ちてくるはずだ。次ぎの蓼科行きが、待たれる秋口なのであった、、、

Posted by yamaken at 13:08 | Comments (6) | TrackBack

食学塾 お集まり頂いてありがとうございました。

IMG_4475.jpg 以前告知したとおり、食学塾というシンポジウムのファシリテータを務めた。30人くらいでほそぼそとやろうと思っていたのだが、聴衆の方だけで60名以上が集まり、会場を変更せねばならなかった。

 いま、帰ってきたところで疲れているのであまり多くは語れないが、パネラーの吉田さん(松屋銀座店の食品事業部)、斉藤さん(生産者団体代表)、勝野さん(農水省食育担当)、北上さん(フランス大使館)、本当にどうもありがとうございました。もっと皆さんの話を聞きたかった。皆さんのもっとイイ部分を引き出せれば良かったのですが、力不足で申し訳ありませんでした。

 本当に面白い話が聞けたとおもうことがいくつかあったのでまたおいおいここにも出していこうと思う。
IMG_4474.jpg

 場所を変えて交流会。斉藤代表の田んぼの米で握ったおにぎりを試食しながらだ。びっくりしたのだが僕のblog経由で来た人が3分の1くらい居た。何回もコメントをくれている人も数人来てくれていた。そして、有名な築地近辺のうまいもんblogを書いている築地王さんにもお会いした。なかなかに収穫の多い会だった。名刺が切れてしまって申し訳ありません。

 そんな感じだったのだけど、このblogでは、旨いもんを食い倒れる話がもちろん中心ではあるのですが、僕の、生きる方向性というか、食というものとどのように関わっていくべきかという話もこうやってポツポツと出していきたいと思います。もちろん、僕の勝手な私見ですけどね。ま、お付き合い下さい。最近になってこのblogを読み出したという方もいらっしゃると思うので、一応確認。

 いやそれにしても疲れた。けど面白かった。第二回の内容が決まったらまた告知します。次は「お米」がテーマです!

Posted by yamaken at 00:22 | Comments (7) | TrackBack

2004年10月18日

野菜が高いとお嘆きの皆様

 しばらく前のエントリで予告したとおり、野菜が高騰している。台風が連続して襲来していることで、畑で成育中の野菜類が壊滅的に被害を受けているのだ。これまで、沖縄・九州を集中的に襲ってきた台風が、だんだんと北上し関東・東北まで巻き込むような形になってきているのが恐ろしいところだ。現在、そうした台風をすりぬけた産地のみが出荷対応可能になっている状況で、品薄になっているのである。

 ただし、これは「異常な」状態であるとは言い難い。たまたま今回の原因は台風だった。皆、「いずれは元通りになる」と思っているかも知れないが、果たしてそうだろうか?

 異常気象による台風頻発が、今後是正される見込みがあるだろうか?全世界的な気温上昇や二酸化炭素排出量の増加には歯止めがかかっていない。ヒートアイランド現象は頂点を極めた感がある。来年度、天候条件が好転すると予測するに足る条件はどこにもないような気がするのだ。

 それに、中央大学の授業でも学生達がショックを受けていたように、ここ6~7年くらいで急速に農業者の数は減っていく。ほとんどが65歳以上の人たちが担っているからだ。今年のこの台風過でやる気をなくした農業者の離農がまた、進むだろう。

 店頭に並ぶ野菜で少しでも値頃感のあるものが並ぶとしたら、その原産国の表示を観てみよう(もし表示されていないのであれば、それは表示法違反だ)。ほぼ輸入品であることは間違いない。農薬問題で一時市場から消えていた中国産野菜だが、実は今、輸入業者さんの元にどこの小売業からもオファーが相次いでいる。今までは絶対に輸入は扱わないと言明していたところでさえも、だそうである。これは先日、当の業者さんから直接聞いた話だ。

 この局面で学ぶべきことは色々あるのだが、重要なのは下記だろう。

①毎朝 陽が昇るように、明日も自分が食べる食料があるはず、と思うのは間違いである。

②人間活動は天候に大きく影響を与えている。またこの影響はグローバルなものであり、全世界的に被害を被るものである。

③食料の生産者は人類の宝である。

「野菜、高いなぁ~」

と顔を背けず、高くなった現状をきっちりと観て、自分が何を食べたいのか、どのような食生活を望んでいるのかを考え直すいい機会ではないだろうか。

そもそも、ここ数年の青果物の小売価格が安すぎるのである。案外、今店頭に並んでいる青果物価格が、実効的な価格なのかも知れない。食うや食わずの人には厳しい話だが、この国の大半は食費よりも違うところに出費を割いている、つまり余裕はあるはずだ。明日の食料を確保するためには、消費者が生産者をサポートすることが必要なのだ。

「輸入でまかなえばいいじゃない」

というのも意見だろうが、輸入は、向こうにものがあって、かつこちらに買う原資がないと成立しない。グローバルな天候不順で輸出国が食糧危機になったら、日本はどこから仕入れればいいんだろうか。中国はもう輸入国に転じ始めているというのに、、、先の輸入業者さんも苦笑いをしながら、

「そのうち中国も、日本になんか輸出する余裕が無くなっていくと思うよ」

と仰っていた。

この時期、日本人は試されているのかもしれない。明日は食額塾というイベントだ。いいタイミングでこういうテーマに直面したな、ということを思いながら、スーパーの店頭を観ていたのであった。

Posted by yamaken at 16:58 | Comments (7) | TrackBack

スリランカフェスティバルというのがあるらしい。

先日、中大で講義をした際に、学生達から「やまけんさんも是非来て下さい!」と言われたのが、このイベントだ。

■スリランカフェスティバル
10月30日(土) 代々木公園にて
http://www.eco-i.info/Srilanka-Embassy/festival.html

当然ながらスリランカ料理がどわんと出るらしい。ていうか出てなかったら怒るよ!
当日中大生達は、会場のゴミ拾いボランティアをしているということだ。頑張れ青年よ。

俺は食いに行く。スリランカはインドとはまた違う洗練されたカレー料理の世界が拡がっている。モルディブフィッシュ(鰹節ね)を使用した、日本人にも馴染みやすいカレーが待っているはずだ。うおー楽しみ。当日会場で僕を見かけたら声をかけてくださいね。

Posted by yamaken at 13:21 | Comments (8) | TrackBack

高品質でリーズナブルな蕎麦屋が増えてきた!

 最近、都内の蕎麦事情が良い方に変わりつつあるんだろうか。リーズナブルで敷居が低く、高品質な蕎麦を食べさせる店が多くなってきた。昔から飲食の世界では、「蕎麦屋を出しときゃ潰れることはない」と言われるくらい、蕎麦という料理はこの日本での地位を獲得している。しかし、品質のよいそば粉を仕入れ、圧倒的技術でそれを打つという高級店スタイルが一世を風靡したここ10数年から、だんだんとその秘伝的旨さが一般に開放されているのだろう。

そんな印象を抱いたのは、どちらもこのblogへのタレコミまたはblog仲間からの情報で2つの店で食べてからだ。

一店は、先日ロメスパ「ジャポネ」にて劇的に出会い、僕の親方チャレンジをサポートして下さったおうさるさんのWebに紹介されている「山崎製麺所」だ。

■山崎製麺所
http://www.ajiken.com/
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-14-5 1F
TEL:03-3299-3761

おうさるさんの紹介ページ
http://www.ousaru.com/
http://www.age.jp/~ousaru/soba_yama/

本社は信州にあるらしいが、この山崎製麺所はアンテナショップ的な位置づけなんだろうか。駅前の代々木ゼミナールから歩いて3分ほどで着く好立地で、外観はオシャレな民芸風カウンター居酒屋といった呈である。嬉しいことにこれから月に4回は代々木にいく用事が出来たので、ゆっくり攻略しようと思っている。まずは一度、と思って行ってみたのだが、デジカメを忘れてしまった。その際にはかき揚げ天ざる大盛りを食べた。量的には蕎麦のほうはまあまあ、しかしかき揚げがドカンとデカイ!かき揚げを箸で崩しつつ、天つゆではなく、置いてあった塩で食べると、ゴボウや人参といった野菜主体のかき揚げで実に旨い。こいつぁいい。

肝心の蕎麦だが、僕のコンディションのせいか、蕎麦の香りが漂ってこない。新ソバの季節なのになぁと思ったが、誤差範囲かもしれないので、その一週間後にもう一度座ったのがこの写真の会だ。

Webでも語られている奈川産の蕎麦というのを食べたかったのだが、残念ながら「台風の被害にあって、出せなくなってしまいました」とのことだった。ん~それってもうこの一年食べられないってことなのかなぁ、、、今度行った時に訊いてみよう。

仕方がないので先日も食べた通常のざるを大盛りで。今回は蕎麦の香りを確認したかったのでかき揚げは付けない。運ばれてきた蕎麦がこれだ。

蕎麦は何割かは明示されていないので分からない。ネギやわさびといった薬味は付いてなく、もりづゆだけで勝負しているらしい。その代わりに野沢菜のわさび漬けが付いてくる。

蕎麦を二本ほどなにもつけずに啜る。噛みしめると、前回は感じなかった、あのくすんだような蕎麦の香りがジワッと染み出てきた!これだよ、これ、、、もりづゆは甘辛感の強い濃い味で十分に旨い。合間にぴりっとわさびの利いた野沢菜を食べつつ蕎麦をたぐる。カウンターには常連の若い兄ちゃんがおり、店主と会話をしている。店主も若く30代後半くらいに見える。僕の昔の職場に居たショウジさんに似ているが全く別人だろう(←当たり前だ!)。

この山崎製麺所の親会社Webを観ると、生蕎麦を宅配で販売している。ここももしかして、送られてきた生蕎麦を茹でるというオペレーションなんだろうか?厨房内には蕎麦打ち用のスペースや捏ね鉢、のし棒が観られなかったのでそうかもしれない。それにしても、大盛り640円ならば十分に満足できる質と量だった。いや、量は俺には足りないんだけど、名店といわれる盛りの少ない店よりは全然よい。

店を出ると、使っているらしい醤油(やはり長野産)が飾ってある。蕎麦処・信州の復権を賭けた心意気を感じるのであった。

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もう一件は、僕のWebへのタレコミである。ワンタン麺の旨い京橋「しんせん」のエントリへのコメントで、「しんせん」の近くに「恵み屋」という旨い店があるという。

■「しんせん」のエントリ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000468.html

実はつい先ほど、昼飯に行ってきたんである!この店は、前を何回か通ったことがあるのだけど、割と小綺麗な印象があって、「汚い店の方が旨そうだ」というB級固定観念が邪魔をして今まで入ったことがなかったのである。

■京橋 恵み屋

昼になると激混みになるということだったので、11時45分くらいに入店。サラリーマンが数人黙々と蕎麦を啜っている。店内は完全立ち食いである。

店主と女性の2人で切り盛りしており、蕎麦の出し口に行ってオーダーする。ここでは蕎麦粉とさらしな粉を合わせた「恵み盛り」蕎麦が旨いらしい。当然そば粉しか使っていないので10割蕎麦である。ここの特徴としては、手打ちではなく圧縮空気を使った押し出し製麺機で生蕎麦玉を打ち出し、茹で上げるという工程を経ていることだ。つまり、蕎麦打ち工程を機械化しているということ。それで出来る蕎麦の味がハンパじゃないということだったのだが、、、

僕は恵み盛りの大盛り(640円)を頼む。先の山崎製麺所の大盛りと同じ価格だ。ほどなくして出てきた恵み盛りは、想像を絶する大盛り加減だった!

こいつは、国会議事堂の地下にある「藪伊豆」を思わせる盛りではないか!素晴らしい!

早速蕎麦を何もつけずにたぐると、口に入れた瞬間から蕎麦の香りがブワッと鼻にぬけた! 麺の腰は若干緩くエッジは立っていないものの、そのクオリティは押し出し製麺機のものとは思えないハイレベルな蕎麦だ!何よりこの香り。10割のアドバンテージを存分に引き出している。いい粉つかってるなぁ~

もりづゆも江戸前できりっと仕上がっている。それほど辛づゆではないので、大盛りを食べきるには少しつゆを足してもらった。

いや、びっくりである。山形の蕎麦師匠である芳賀さんが今度上京されたら、必ず連れて行こう。こんな店が立ち食いであるなんて、かなりのものである。

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ということで
リーズナブルで高品質な蕎麦屋が勃興している。老舗に行くのが嫌になるような状況だ。無論、蕎麦の楽しみとは、腹一杯に蕎麦を食べるということだけではない。その雰囲気を味わうという楽しみがあるわけで、それは場としてのパワーが必要になる。老舗の存在意義はもちろんにあるのだ。でも、一方で蕎麦を存分に腹一杯食べたい!というニーズも存在する。盛り蕎麦で腹一杯になれないのは東京くらいのもので、福井にしろ山形にしろ、「なんで東京はあんなに少ない盛りなの?」といつも言われてしまう。そう思う東京の蕎麦屋が多くなってきたと言うことだろうか?

どちらにせよ、食い倒ラーには嬉しいことだ!

Posted by yamaken at 12:53 | Comments (7) | TrackBack

ぐあっ 無茶苦茶 旨い! 伊藤家の今年度の新米はサイコーだ

 先日、秋田で稲刈りのお手伝いをしながら2日間でほぼ一升の米を食べてきたのは、報告したとおりである

 その伊藤裕樹(ひろっきい)の家から、早速新米が到着した!届いたのは必殺・激殺のミルキークイーンである。これは僕らが刈ったものではないと思うのだが、ひろっきいのおじさんが、作業にいく道すがら、

「今年の米は気象条件からも現在の稔りの状況からみても、昨年度よりは確実に旨いはずだよ。」

と太鼓判を押していた。そのミルキーである。

昨年度までの袋から、中が覗けるように窓の付いた新タイプの米袋に、5Kgの新米が入っている。米びつにしているタッパーに入れると、何とも言えないくすんだ乳白色の色合いが、ミルキークイーンの名を思い起こさせるのだ。おお、新米よ、、、

早速に炊いてみる。新米なので、水分含有量が高いはず。いつもより少し水を少なめにして一時間きっちり吸水させ、いつも通りのアルミ鍋で強火で炊く。炊きあがりを見極め、蒸らしを入れて蓋を取ると、キラキラと輝くまばゆいご飯が炊けていた。

本日おかずはイワシの丸干しとサンマのみりん干し、長島農園のネギと豆腐のみそ汁、これまた長島農園のハヤトウリの浅漬け、そして十勝やっちのインカの目覚めと沖縄のポーク缶の炒め物である。

まずおかず無しでご飯を一口いただいて もうこの時点で驚愕の旨さである

なんだこりゃぁああああ

昨年度産米を軽く二回転半程度は上回るモッチリ感と粘り、そして粒の立った噛みごたえが快感で快楽! 風味はミルキーの餅米香が押さえられており、通常のうるち米と同様な日本人好みの香りだ。

旨い、文句なしに旨い!

先日、山形の一戸さん・高橋さんから送られてきた「はえぬき」も、一本ピンと背筋の伸びた端麗な味わいがあったが、こちらのミルキーはどちらかといえば芳醇、それに強い印象をもたらす食感があり、インパクトが強い。お米ってなんて多様な顔を持つ食べ物なのだろう。感動してしまった。

今日、用意したおかずで一番米と相性がよかったのはみそ汁だ。ご飯とみそ汁だけでも良かったくらい。逆に、ポーク缶とインカの目覚めを炒めたものは、味が濃く洋風だったため合わない。しみじみと、ご飯っちゅうのは和食の基本なんだな、と思った。いや違うな、ご飯をベースに組み立てられた食事のあり方が和食なのだな

また、日本の伝統食があっさりとしたもの中心である理由もこうして新米を噛みしめてみるとよっくわかる。それが合うのだ

いや
本当にいい季節である。皆さん米を、ご飯を食べましょう。今この時期に、ご飯を食べずにどうする?

ひろっきい、ご馳走さんでした。
こうなったら全国の米を食い比べてみたいもんだ。どっちかというと野菜が専門なので、米はそれほど含蓄がないんだよね、、、旨い米作ってる農家さん、読んでたらぜひメール下さいネ。


Posted by yamaken at 01:42 | Comments (3) | TrackBack

2004年10月15日

中央大学多摩キャンパスでアイドルと会った日。

縁があって、中央大学で開催されている国際インターンシッププログラムで、日本の農業の現実についての講義をしてきた。

中央大学総合政策学部 国際インターンシッププログラム
動き出せ、「学び」。
International Workshop on Action Learning:
Lessons from the Field
http://www.fps.chuo-u.ac.jp/~iip/form/IWAL.html

びっくりしたのだが、このプログラム、非常に素晴らしい顔ぶれを集めている。スリランカからは、開発プロジェクト「サルボダヤ運動」を実践する団体の人が参加している。僕はこのサルボダヤという思想・運動について学生時代に本を読み、衝撃を受けたことがある。

そして何よりオーストラリアのマックス・リンデガー氏だ。彼は「パーマカルチャー」という農的生活の手法の伝道師で、実存するエコビレッジ「クリスタル・ウォーターズ」の代表的存在だ。持続的農業(化学農法による多投入型農業に対比させた言葉だ)の世界で彼の名前を知らない人は居ないだろう。

僕は学生自体にキャンパスに畑を拓いていたが、その頃「パーマカルチャー」という訳本が出版され、貪るように読んだものだ。そこには農業という営みから、暮らしに関わる全てのデザインが有機的に連関した、刺激的な解説が載っていたのだ。ただ、このパーマカルチャーという手法は固定的なものではなく、その国の風土や気候、そして経済活動のあり方に沿って刻々と形を変えていくものだと思い至った。以来、僕はパーマカルチャーへの憧憬を胸に持ちつつ、日本の現代的農業体系とその傍らで違う道を模索する産直産地型農業の現場へと足を踏み出した。

そのマックスが、僕の講義を観る! こんなに感慨深いことはない。

特別教室にはムンムンと熱気を発散する学生達と、海外からやってきたゲストの皆さんが待ちかまえていた。thinkPadをプロジェクタに接続していると、なんと!背の高いマックスがのっそりと僕の方にやってきたではないか。

「やあ、日本の話をしてくれるので、楽しみにしているよ。」(←というようなことを言っていた)

僕はアガってしまい、「あなたのファンでした。」と伝えるのが精一杯だった。

僕の講演は、日本の農業シーンが今、ダイナミックに変わろうとしている、その流れを体系的に解説するものだ。マックス達のように海外の人に、日本の農業シーンがどのように変わっていこうとしているかを伝えるのは重要なことだ。生産の側面の話、流通の話というブツ切れの解説はあるかもしれないが、農業とは生産だけでは完結しない。流通、食卓まで含めて理解していかなければならないことなのだ。しかしそんなセンシティブな話は公的には発信され得ないからだ。

実際にはパワーポイント40枚程度の図入り解説をしたのだが、簡易版のレジュメを作ったので、関心のある人は観てください。やまけんがどういうコトをやっているのかの一端がわかるかもしれません。

■レジュメ 「日本の農産物生産と流通の現状と今後」

思ったより学生の熱気がすごく、ほとんどが居眠りをしなかった。そして、意図的にショッキングな話(農村の現状)を織りまぜると、ほとんど涙をためているような学生も居た。こういう反応は珍しい。いくつかの大学・高校でこういう話をしたことがあるが、食いついてくる学生は少ない。我が母校である慶應義塾の矢上の講義で話をした時は、ほんとにみんな死んだ魚の眼だった。しかしこの日の中央大学総合政策学部の学生は、素晴らしい反応と態度だった。

講義中、マックスが悲しい眼をしているのが見えた。日本農業が緩慢な死に向かっているという僕の論調に悲しみを受けているのだった。ただ、その後これからをどうするべきかというくだりを聴いて欲しいと思っていた。想いは伝わっただろうか。

終了後、マックスの方から 「Nice speach!」 と手をさしのべてくれた。その後の懇親会では、彼の方から隣に座ってくれ、感動しながら話をした。話の内容はナイショだ。いずれ僕はオーストラリアに遊びに行くことにした。

IMG_4433.jpg

このスナップは宝物だ。

この素晴らしい講義をオーガナイズしたのは中大の総合政策学部の皆さんで、特に和栗百枝さんという特任講師の存在が大きい。実は僕を呼んでくれたのは彼女で、しんのすけの家でのチャンチャン焼きパーティで紹介してもらい、とんとん拍子で話が進んだ。正直言って、僕の母校である慶應義塾SFCの数倍の熱気があった。拍手とエールを送りたい。

全く食い倒れと関係がない話をしてしまってモウシワケナイが、とても重要な日だったのだ。
ああ、 知を得るとは素晴らしいことだ。久しぶりにアドレナリンが体内を駆けめぐる夜だった。

Posted by yamaken at 09:48 | Comments (22) | TrackBack

2004年10月13日

日本人農業記者「イツコちゃん」のblogを要チェックである

僕のページの右側の段に「友人たち」というリンクがある。ここは文字通り僕の友人達のblogを紹介するところなのだが、先日からいくつか増えているので紹介したい。

まず
食文化に関心がある人に観て欲しいのが下記だ。

NY野菜日記
http://ny-yasailife.cocolog-nifty.com/

これは、日本農業新聞という、農業関連では日本最大の業界新聞の記者である加納壱子(いつこ)ちゃんが書いているblogだ。彼女はなんとフルブライトで米国留学している才媛である。専門は「食生態学」という分野で、日本でこれをきちんとやっているところは少ない。従って、彼女が帰国してきたら、この食に関する社会学的アプローチとしては非常に希な人材としてひっぱりだこになること間違いない。

このblogには肩の張る論の展開ではなく、日常的な視点からNYでの食や、学問の現場での話が綴られている。彼女は優秀な記者でもあり、文章はもちろん完璧だ。blogというメディアはかなり拡がっているが、読むに値するものはそれほど無い。そんな中、彼女のような存在は貴重だ。

彼女が出発する前に茅場町で壮行会をし、その際にblogについてのアドバイスを求められたので、「とりあえず何も決めないで、好きなこと書けばいいんだよ。そしたらその内に方向性ができるから。」と伝えたが、すでに彼女の中で方向性ができつつあるようだ。

アメリカの定点観測はまかせたゾ、いつこちゃん。

Posted by yamaken at 14:03 | Comments (2) | TrackBack

本日、ジャポネにてジャリコ「親方」制覇 with おうさるさん

先日書いたように、ロメスパのジャポネについての充実したWebをかなり前から提供していらっしゃる「おうさる」さんと知己を得、とうとうお会いすることになった。おうさるさんはフリーのシステムエンジニアをしているそうで、横浜の自宅から、クライアントさんとの打ち合わせの際に東京に出てこられることが多いそうだ。今回、そのタイミングと僕が事務所にいるタイミングがビタリと合い、第一次遭遇と相成ったのである。

今回のテーマは「親方チャレンジ」である。何回も書いたが、このジャポネではメニューに改訂ある盛りのレベルは3段階。

レギュラー
ジャンボ
横綱

である。しかし、メニューには記載されていない裏メニューがある。それは

親方
理事長

という超ヘビー級の階層である!
そしてさらにその上に

横綱審議会

なるものもあるというのだが、、、凄まじいことになるのだろうな。

「親方以上をお願いする時は、なるべく込んでいない時間帯がいいです。そうですね、午後4時から5時までの間がベストでしょうね。」

というおうさるさんの言に従い、この時間にジャポネ脇の喫茶店の前にあるベンチにて集合。僕の事務所からは10分で行けるので、仕事をしばらく中断して銀座インズ3へ向かう。

インズ3の自動ドアを開けた瞬間、ベンチに座る真面目そうな男性が僕に手を挙げる。おうさるさんとの初の遭遇であった。

「いや、本当に光栄ですよおうさるさんとお会いできるなんて、、、」

握手をし、もうすぐにジャポネ話が始まる。ちなみにおうさるさんの飲み仲間であるどばしさんも駆けつけてくれていた。どうやらおうさるさんも土橋さんもずっと付き合いがあるという、主にラーメンを中心とした情報ネットワークがあるそうだ。それであの充実の探訪記ができるのだな。

この時間でもジャポネのカウンターはほぼ埋まっている。3人かけられるように待つ。「マダム」と呼ばれるジャポネのおばさんが「こんにちは」とおうさるさんに声をかけている。やはりすでに常連である。

並ぶ間もジャポネの謎解き話しである。僕がこの店によく通うようになって3年くらい経つと思うのだけど、その間「キムチスパ」がずっと「新メニュー」のままである。メニュー表のみならずわざわざ「新メニュー登場」の紙まで貼っているのだが、今回みたらその紙が新しいものになっていた。いつになったら「新」の冠がはずれるんだろう? とかなんとか。

おうさるさんは

「いや僕はただ好きで、通って全部食べて、写真を載っけているだけですよ」と謙遜される。短い間の会話で、すでにおうさるさんの物事を深く追求する性質がみてとれた。

「じゃぽねは、初めて入った時から3ヶ月で全メニュー制覇しましたね。今、一番好きなトルコ料理については、全国のトルコ料理店を制覇したいと考えています。本も出したいですね。」

なんとトルコ料理好きが高じて、トルコ語まで勉強しているそうだ。トルコ料理店でワールドカップのTV中継時にトルコ国歌を歌っていたら店の人がびっくりしたという。この人なら本を書ける!どこかの出版社の方、名乗りを上げて頂けないか。読んでみたいゾ。

「はいどうぞぉ~」

3人で椅子に座り、オーダー。僕は満を持して「ジャリコ、親方!」。おうさるさんは「インディアン横綱。これで僕は精一杯です」。土橋さんは「ヘルシー激辛」レギュラーである。

空いているジャポネは実に居心地がよい。さらにおうさるさんの話を聴いているうちに、アレがやってきた!

「はい、ジャリコ親方ぁ~ 頑張って食べてね!」

出た!これがジャリコの親方だ!

皿の大きさが、「横綱」までと全く違うことに注目して欲しい。麺量は横綱の1.5倍くらいだろうか。

決して遠近法的トリックではなく、レギュラー盛りとの差はすさまじいビジュアルである。おうさるさんご自身も親方は一回だけしか食べていないらしい。

「よしゃ、いただきます!」

ジャポネのスパは、出てきた時はとにかく熱い!ふーふー冷ましながら食べる。しかし、この食べ始めの瞬間に僕は「これならそう無理なく行ける」と確信した。昨日までの秋田行で、米を2日で一升分くらい食べているせいか胃が大きくなっている模様。体重も増えている模様だが、、、

「これはイケますよ。ていうか、そんなに多いと思わないですね。」

と僕が言うとおうさるさんもどばしさんもビックリされていた。おうさるさんは「僕は横綱で精一杯ですよ」といいながら、インディアンのカレールーをお代わりしている。僕もおうさるさんも汗だくだくである。

15分くらいだろうか。あっさり完食である。まだ食えるな。

「ここの親方を食べてそんなこと言える人はあまりいないと思いますよ」

とおうさるさんが褒めてくださる。次ぎは理事長だな。店のおばさんが下膳しにきて、「あらすごいわねぇ~」と言ってくれる。

食べ終わってしばらくの間、水を飲みながらジャポネの親父さんがお話に付き合ってくださった。こんなチャンスは滅多に無い。

「ここの麺は何ミリなんでしたっけ?」

とおうさるさんが何気なく聴くと、

「2.1ミリなんですよ」

と、気楽に答えてくださった。そうか2.1ミリなのか。

「やまけんさんもお好きなリトル小岩井(大手町)と、最初の頃は麺を共同購入していたそうですよ。今は違うそうですけど、、、」

など、とてつもなくディープなネタが続々と披露される。やはりこの方は深堀り派である。僕のような全国万遍なくジェネラリストとは違うんだな。敬服してしまいます。

その後、喫茶店に移動して20分ほどお話。彼のネタは尽きない。

「やまけんさん、こんどぜひトルコ料理行きましょう!」

なんでも、イズミルという阿佐ヶ谷の店が超お奨めらしい。それは是非行かねばなるまい。仮日程を決め、お別れする。

いや
実に爽快である。旨いものをめぐって、人の輪がまた拡がろうとしている。おうさるさんのWebにもこの顛末は載っているので、併せてご覧下さい。

おうさるさん、どばしさん、お付き合いありがとうございました!今度仕事を終わらせて、飲みまでお付き合いしますので、、、

Posted by yamaken at 08:49 | Comments (10) | TrackBack

新米ざんまい 秋田県大内町 伊藤家のきりたんぽは絶品であった

朝5時、気配を感じ起きると、ひろっきいが起きだし、作業の準備をしようとしているところだった。そのまま目を閉じ、6時に塚田さんが起き出す気配で目が覚める。塚田さんは電話でコーチングをするためにこの時間に起きると宣言していたのだ。そのまま僕は目を閉じ、7時半頃まで眠った。

で、朝飯である。前夜、飲み過ぎて意識が飛びそうになった僕は、早々に床に就き眠ってしまった。その前にひろっきいのおばさんが、

「明日の朝は、うちの山芋とろろ食べさせてやんべかな」

と言っていたのだ。その約束を果たしにおばさんがスーパーカブにまたがり颯爽と登場した。

「これがとろろ、これがみそ汁。この味噌は粒が残ってるやつで、これをとろろに混ぜて食べると旨いよ。食べてみれ。」

すり鉢のとろろはネットリ感が強く、すりこぎにまとわりついて離れない!

「あと、うちのひとめぼれを炊いてきたよ。あきたこまちよりもあたしは好きだね」

とおばさんは笑いながら炊飯ジャーを置いて帰っていった。なんと朝から2種類の米の食べ比べが出来るのだ!なんと贅沢なことだろう。

「さぁ、食べよう!」

夕顔とミョウガのみそ汁、里芋の茎のゴマ和え、とろろなどで飯を食べる。

おばさんの持ってきてくれたひとめぼれは、沸き立つような香りはない地味な印象だが、その落ち着いた風味は確実に飽きが来ないと約束されているような味だ。これがとろろにビッタリと合う。ご飯の香りが強すぎないため、とろろ芋の少しひねたような青臭い香りが消えないのだ。そして噛みしめると、限りなくふっくらネッチャリした食感が歯にまとわりつき、ご飯の甘みが拡がる。

「うっ うめぇなあ、、、 ひとめぼれってこんなに旨い米だったっけ?」

本当に首都圏で食べる米と全く個性の違いを感じる。粘着性と香りの立ち方があきらかに違うのだ。まぁ 新米ということが一番大きいのかも知れないが、、、

さらにあきたこまちを食べる。こちらはうって変わって特有の香りを持っている。

おばさんは「あきたこまちの香りは食べ続けると飽きる」というのだが、僕には好ましい香りだ。ひとめぼれが落ち着いた地味な女性像だとすれば、少しばかりおきゃんな少女という印象だろうか。ひろっきいのあきたこまちは、コシがやたらと強い。

「水加減が少なすぎたなぁ」

とひろっきいはいうが、それだけではなく米粒の外殻が見事なまでに強靱なのだ。これは美質だと思う。

ちなみにあきたこまちは特有の香りがあるので、とろろ飯には最適マッチとはいかなかった。しかしあきたこまちと塩気の強いがっこの取り合わせは実に最高。米の品種もTPOで選択肢は変わるのである。

こんなに旨い飯とおかずのおかげで、朝から4杯くっちまった!

さて農作業である。
朝方に雨が降り、それが上がって朝飯を食べる前は青空が拡がっていたのに、田に行こうかというタイミングでまた曇天になってきた。ポツポツと雨も降り始めたが、やめるわけにはいかない。強行軍で稲刈り鎌を持ち圃場へと向かう。

コンバインが田んぼに入いり、かつ旋回できるように、あらかじめ田の四隅を手で刈っておく。かつ、稲穂についた朝露を振り払う。これを「露払い」というわけだが、「つゆはらい」という、何気なく口にしている慣用句のルーツがこれだと思うと何やら不思議な気持ちだ。

この露払いは大切な工程で、これをしないと、多量の水分ですぐにコンバインが詰まってしまう。稲穂を少し揺らすだけで露が落ちるのである。

「じゃ山本さん、元気が余っていそうだから」

とおじさんがニコニコしながらロープの片方を僕に寄越す。田の端と端でロープを引っ張り合い、じりじりと横移動してロープで稲穂を揺らすのである。これが、腰を落としロープを思い切り引っ張る作業で、やたらと息が上がる。1反部弱の田を往復するとしばらく喋ることが出来ないほどにゼーハーしてしまうのだ。

露払いをした稲をコンバインが刈っていく。このコンバインという機械は、おそらく日本でしか成立しえない超精密機器だ。筋まきされた稲を吸い込み、先端の穂の部分のみをきちんと脱穀し、藁は排出していく。芸術的な働きをするが、それだけに500万円を超える超高価な機械なのだ。これを農家一軒が一台持っているあたりが、この国のおかしなところなのだが、、、

4枚ほど小さな田の稲を刈っている最中に、また雨が降ってきた。しばらく止みそうにない。

「しょうがない、今日はこれで切り上げましょう!」

とひろっきいがにこやかに宣言する。残念だが、お天道様には適わない。現代人がこの言葉を実感するのは滅多にないコトだと思うが、作物を作ってみればすぐに分かると思う。そう、人間がコントロールできない天気という存在によって右往左往するのが農業なのだ。僕の晴れ男ぶりも上手く効かずモウシワケナイな、ひろっきい。

伊藤家に戻ると、なんとなんとすごいことになっていた。

「きりたんぽの準備さしておいだから」

とお母さんがカンカンの炭火にきりたんぽをかざし、コンガリと焼いている。

これ、車庫に即席で作った囲炉裏端なのだ。これに、太い竹串や菜箸に潰した米を固め、きりたんぽに整形したのをブスッと刺して焼いている。

その脇には薪ストーブがあり、その上にはお釜が載っている。蓋をずらしてみると、醤油色の出汁がグツグツといい香りを漂わせている。

「この中にきりたんぽさ入れて煮て、少し煮くずれた頃がまた旨いんだ」

なんと、この囲炉裏端はひろっきいのお母さんが即席で作ったものだった。


作ろうと思った時に草木灰がこんなにストックしてあるのもスゴイと思うが、我々東京組をもてなすために囲炉裏まで作ってくださる皆さんの思いに、一同じんと来てしまった。

「さ、帰りの飛行機の時間もあるから食べて食べて」

と、今回最後の宴会が始まる。またもや広間に数々の料理が並び、昨日以上の人数が机に着く。この家の長となったひろっきいの音頭で乾杯となった。

「えー 東京から来てくださった皆さん、本当にどうもありがとうございました。うちはナンにももてなしはできませんが、いつもここで米を作ってますので、またいつでも遊びに来て、そして手伝ってください。お疲れ様でした!」
ひろっきいの背負っているものは大きい。しかし、それを大家族が温かく後押ししている。きっと、総合格闘技のPRIDE-GPで小川直也が感じた「後押し」もこうしたものだったのだろう。しかし小川直也にないものがひろっきいにはある。それは凄まじい光を放射する「笑顔」である。

典型的秋田顔二枚目のひろっきいがビカッと笑うのを観たら、どんな女性でも惚れてしまうのではないだろうか、と思う。

きりたんぽ汁は実に滋味溢れるものだった。比内地鶏のスープは濃く深く旨味の強い出汁だった。

「この辺じゃ、芹(せり)は春先だけじゃなくて、今頃も旨いんだよ、特にうちのばあちゃんの作る芹が最高なんだよ」

というとおり、汁に入っている芹の風味は最高にはんなりとしている。それにすこし崩れながら入っているきりたんぽが、こげ目の香りをプンとさせ、ネッチリ感を出しながら噛みきられる。

「これ、きりたんぽに甘味噌を塗ったやつ」

と、みつこおばちゃんが焼いてくれた味噌漬けきりたんぽがまた絶品中の絶品なのだ!甘めの味噌が少しこげて、固めのきりたんぽのカリカリ感と相まって実に最高!


一本一合ちかい米を使っているのを一本半平らげてしまった。その上汁に入ったきりたんぽを一本。そして最後にあきたこまちのご飯を一膳食べ、もう何も入らない。秋田の温かい大家族の味、それはやはり米、稲作をベースとした文化だった。

「ごちそうさまでした!」

御礼を言い、車に乗り込むと、玄関に皆さんが送りに来てくださる。温かい微笑みに見送られながら、ひろっきいの運転で空港へ向かった。

まだ大内町ではひろっきいが稲刈りから籾摺り(もみすり)までの工程をしている。遠く東京から、秋田の空が晴れ間になることを祈っている。それと、ひろっきいの今年の新米が特に旨いことは僕の保証付きだ。今年はまだミルキークイーンを食べていないが、期待できることは間違いない。ひろっきい米の通販ページをここに紹介しておく。

ひろっきい、ご家族の皆様、本当に温かいもてなしをどうもありがとうございました!

Posted by yamaken at 08:38 | Comments (6) | TrackBack

2004年10月12日

新米ざんまい 秋田県大内町の大家族の宴は最高だった!

このblogでも数回紹介したけど、今ぼくの家では伊藤裕樹(通称ひろっきい)の作る米をメインに食べている。ミルキークイーンという米の紹介をした時のエントリに詳細は書いてある。

実は彼はバリバリの経営コンサルタントであり、自分の会社を持っている。会社の仕事は東京をポイントにしているが、その一方で秋田県大内町の実家の稲作も続けている。だから一週間に東京と秋田を往復しながらの生活をしているのだ。

彼を紹介してくれたのはしんのすけだ。寿司処 匠で寿司をつまみながら話している時は、同い年であることとナイスガイだということはよーくわかったが、米の味はわからない。だから、典型的週末兼業農家なんだろうなぁと思っていたくらいなのだが、後日届いたミルキークイーンを食べてびっくりした。旨いのだ。農業片足どころか、技術水準が高い優秀な農家ではないか。俄然彼に対する興味が沸き、改めて友人になった次第である。

「稲刈りの時期には友人が東京から来るから、やまけんもおいでよ」

というお誘いを受け、週末を使って参加することにした。おりしも台風22号襲来のタイミングだったが、移動前夜には台風も東京を瞬時に駆け抜け、東北を抜けて太平洋側に消えていった。東京組は、ひろっきいがやっている「コーチング」のお仲間の方々である。コーチングの話もしんのすけからきいて関心を持っていたので、今回はテーマが多い。ただしコーチングとは何かを書くには僕には見識がなさ過ぎるのでここでは控えたい。Googleなどの検索エンジンで「コーチング」と引っ張ってみて欲しい。ひろっきいは、このコーチングの世界ではかなり上位のクラスにはいる人間らしいのである。

さて
秋田空港に着くと、曇天ではあるが、晴れ間が少しだが見えている。一日何もやることがないということはなさそうである。東京組のみなさんと遭遇し、お迎えはひろっきいのおじさんの運転で大内町に向かう。空港から来るまで30分くらいで着くのだが、周りにはコンビニなどない、それどころか街灯もほとんど無い、あるのは田んぼと畑だけの田舎町である。実に最高だ。

それはもう典型的な農家の家に到着し、ひろっきいとご家族と挨拶を交わす。ここんとこ、雨ばかりで稲刈り作業が停滞しているとのことだった。僕の晴れ男ぶりが試されているな。沖縄で台風に遭わなかった運をここでも発揮したいものだ。

作業着に着替えて田に移動する。ひろっきいのお仲間の女性陣も農家ルックに変身し、にわかに農作業スタイルである。

まず最初に直播きをした田に向かう。直播きとは、種籾を苗にせず、直接田に撒いていく方式だ。

稲は通常、苗を育てていわゆる「田植え」をする。この田植え工程を外すことが可能なため、省力化に繋がる可能性がある方式なのだが、まだ実験段階であり、難しい。ひろっきいの田でもカラスに種籾を食われたり、ヒエの害が出ていて収量は通常の田の2分の1程度になっていた。しかし、これは未来に繋がる実験。彼は、現役農業者が減少していく中で、限られた後継者達で広大な面積を切り回していくための実験をしているのである。

しかしそれにしても素晴らしいパノラマ眺望である。時折陽がさす晴れ間はうっとりとするほどに美しい。

「メシにしようや」

声がかかりブルーシートの上に昼餉が並ぶ。大きなおむすびと「がっこ(漬け物)」、みそ汁、塩鯖。


「もちろん新米だからね」

というそのおにぎりは、一粒一粒がしっかりと立った薫り高い米だった!
このおにぎりと、塩の利いたナスとキュウリのがっこと一緒に噛むと米の甘みとがっこの塩味が混ざって、最高の宇宙が現れる。

「う、うめぇーなこれ!」

と、様々な具のおにぎりを都合6つ平らげてしまった。今回、おにぎりを頂くタイミングが3回あったのだが、一番美味しかった料理はこのおにぎりだとなんの躊躇もなく言ってしまう。お米、マジで旨い!

「それはそうだよね、大内町の水でつくった米を、大内町の水で炊いているんだもんね」

とは、ひろっきいのコーチ仲間の塚田さんの言だ。確かにその通りである!究極の食べ合わせだ。秋田県の水は本当に飲みやすく繊細な軟水。だから、米の美質を引き出し香りを際だたせるのだろう。米のモチモチ感と粒状感、そして香りが、東京で食べる飯の数倍強いのだ!

「うーん 初めて東京に行った時に、『俺んちの米って旨いんだぁ』ってわかったよ」

と淡々と言うひろっきいであった。

昼食後、残念なことにかなりの雨が降ってくる。稲穂が濡れるとコンバインで収穫することが出来なくなる。ほぞを噛む様な思いで撤収した。

温泉につかりひろっきいと話す。

「やっぱり一族の後押しがあるからやっていける。僕がいない間に、おばさんやおじさんが草取りやらなにやらしてくれている。『好きだからやるんだよ』といって御礼を受け取ってもくれない。本当に感謝だね、、、」

親父さんを数年前に無くしたひろっきいが、東京で働きながらも秋田の田を絶やすことなく続けていることを、一族みんなが後押ししているのだ。そのあたたかみは実に胸に響く。僕らを迎えに来てくれたおじさんの微笑みは実に実に深く温かいのだ。そして応援に駆けつけてきたおばさんも、軽妙なジョークを飛ばしながら(自分のことを『バックシャンだべ』と言った時にはおにぎりを吹き出すかと思った)皆のムードを限りなく陽性の方向に引っ張ってくれる。ちょっとこの家族環境に瞬殺されてしまった。

家に帰ると宴である。秋田の伝統料理が盛り込まれた重箱と大皿が並び僕らを待っていた!

秋田県は元来、大家族制の中で「内食」文化が長く続いてきた土地だ。だから、外食よりも家のメシの方が旨いということを、秋田出身の誰もが言う。だから一度、秋田の農家さんのメシを食べてみたかったのだ!実はそれが今回の旅の最大の目的。

「やまけん、ガンガンたべろよな!」

「おう、食べろ食べろ!」

食べろ食べろ攻撃の中、僕が気に入ったのはきのこのみそ汁だ。白いきのこで、菌床栽培ではない、天然のきのこである。

「ああ、これはスギモタチだね。このきのこ、出汁が出て旨いンだぁ」

というひろっきいの言通り、実に旨い! 大体関東のふつうの家庭では、天然もののきのこが食卓に並ぶチャンスはあまりないだろう。しかし知っておいて欲しいのだが、スーパーに売っているパック詰めのきのこ類と天然のきのこでは、味も香りも別物なのだ。その代わり買おうとすると値段も10倍くらいするのだが、、、

このチリモタキ、薄く白く淡い見た目なのだが、汁に味がしっかりと出るものであった。実に旨い、、、3杯お代わりする。

そしてガッコと白飯である。

「今日はササニシキだね」

ササニシキはコシヒカリと対局にある、淡く気高い風味のあっさりとした米だ。魚や漬け物にはコシよりもササの方が旨いと思う。これも新米で、腰が強くネットリ感が高く、そして鼻を抜けていく米の香りが最高だ。またもや4杯食べてしまった。

お定まりの日本酒も出て、家族みんなで騒ぎながら飲む。ひろっきいの家族におじさん、おばさん、いとこ一家など、とにかく入り乱れて笑いが拡がる。皆んな驚くほどに仲がよく、そしてよく笑う。

この笑顔のベースは伊藤家のカラーだろう。何もない瞬間、彼らは温かく笑っているのだ。白米の旨さとともにそれら笑顔を噛みしめると、限りなく甘い風味が身体に染み渡ってきた。明日は晴れるだろうか、、、

Posted by yamaken at 09:34 | Comments (5) | TrackBack

2004年10月10日

炸裂! タンドリーチキン60本の巻

 3ヶ月ほど前に、「ハーブスタイル」(誠文堂新光社刊)という雑誌を紹介した。その名の通りハーブに溢れたライフスタイルを模索するというか何というかの季刊誌だ。その辺の中規模以上の書店にいけば最新号が売っていると思う。

 で、この雑誌に、「スパイスボーイズ」というばかげた連載が掲載されている。そう、ボーイズというには少し行き過ぎた僕や編集者のミソノ氏が、スパイス料理をその道のプロに教わり作ってみるという企画だ。企画自体はまともだけど、紙面がよくある写真漫画的に作られているのと、テキストを僕が書くのではなく悪ノリ編集者のミソノ氏が書くので、とてつもなくアホらしい頁に仕上がっているのだ。ほんっとに恥ずかしいんだけど宣伝しない訳にはいかないので、書店でみかけたら笑って欲しい。


 さてその連載の今回のテーマは、「タンドリーチキン」なのであった。いつものごとくミソノ氏&カメラマンとアメ横を訪れ、スパイスの殿堂である大津屋商店に向かう。インド料理マニアなら知らない人のいない、ここで揃わぬスパイスはないという店だ。

 にこやかに迎えてくれた竹内ファミリーが、この日のためにとっておいてくれたスパイスは、なんと世界有数の辛さを誇るトウガラシ、ハバネロのパウダーである。

「いやじつはこれはまだ商品じゃないんです。メーカーがサンプル品をうちに置いていったんですよ。」

「なんでまだ商品になっていないんですか?」

「『危険だから』だそうです、、、」

なんでも、このパウダー、眼に入ったりしたら失明の危険があるらしいのだ!大津屋商店でも実はこのパウダーを試食した人は居ないらしい。
、、、そう、今日この日、僕が初めての実験台になるわけだ。今回のバカ連載の紙面の目玉は実はこのハバネロを舐める僕、である。

 ハバネロは世界一辛いトウガラシといわれている。辛さを表す単位をスコビルというのだが、メキシコの有名なトウガラシであるハラペーニョの10倍辛いそうだ。これまた有名なタバスコペッパーというトウガラシが50000スコビルだそうだが、ハバネロは300000スコビルというオソロシイ数字を叩き出している。とにかく辛いんである。
 その辺が細かくびっしりと書かれた説明書きが、ご丁寧にもこのサンプルについてきている。

まあ、ここまで来たら舐めてみるしかない。嫌がる大津屋2代目と共に、舐めてみた。どんな辛さだったかは、この顔を見て察して欲しい。

更に、同行のミソノ氏がこのトライアルを動画に収めている。ブロードバンド回線で、かつ暇な人はどーぞ。

■ハバネロ舐めて悶絶するやまけんの動画(18MB)

さて企画自体はそういうイロモノだけではなく、タンドリーチキンなのである。大津屋特製のレシピをいただき、作ってみるという算段だ。

■タンドリーチキンの材料

鶏肉:
・手羽元
・もも肉
※とりあえずどの部位でもいい。けど、食べやすさ、作りやすさ、美味しさ、そして安さから手羽元を推奨します。

スパイス類:
・クミン
・ガラムマサラ
・チリペッパー(今回はハバネロを使用したが、普通ならカイエンヌペッパーだ)
・タンドリーカラー(食紅)

その他:
・無糖ヨーグルト(適量)
・レモン
・ショウガ
・ニンニク
・塩
・胡椒

あー ちなみに大さじ何杯とかそういうのは割愛!そんなの守っても旨くないから、大体味見ながらやってみてください。それと、これは通常2日がかりです。最低でも6時間はタンドリーペーストにチキンをつけないと意味がないの
で、前日の夜から仕込むようにしましょう。

まず、鶏肉に下味を付ける。塩を多めに万遍なく振り、レモン汁を多めに絞り、これをよく揉み込む。

塩味をつけて余分な水分を抜くことと、そして酸味をつけることがポイントだ。鶏肉は淡泊な味で酸味成分がないため、柑橘などで足してやらないと単調な味になってしまうのである。これで1時間ほど寝かせると、水分が出てくるのでそれを手でしごいて次の工程へ。

タンドリーペーストを作る。無糖ヨーグルトにニンニクのすり下ろしとショウガのすり下ろしを、「ドカッ」と入れる。

「あ~ そんなにいれるの?」

とミソノ氏が叫ぶくらいに、だ。タンドリーチキンは上品な味つけにしては面白くない。ドカンといこう、ドカンと。

そうしたら、スパイス類を足していこう。

基本、ヨーグルト500mlにクミン、ガラムマサラは大さじ山盛り一杯ずつくらいと考えていいだろう。

チリペッパーについては何とも言えない。

辛いの好きな人はタップリ加えて欲しい。

そしたらタンドリーカラー(食紅)をちょっとずつ加える。少量でかなりキツイ色がつくので気をつけよう。色合いだが、インド料理なんだから、けっこう派手目に赤くなるくらいでいいと思うゾ。

これに塩を加えて味を調える。鶏肉に下味がついているので、それほど濃くなくてよい。

そうしたら、このタンドリーペーストを鶏肉にからめる。

ここではボウルに入れているが、ある程度の量があるなら、ビニール袋に入れるのが一番いいと思う。

この状態で最低でも6時間は寝かしておこう。

さて6時間以上経ったら、いよいよ焼きに入る。焼きは何でやるか?そもそもタンドリーチキンのタンドリーとは、インド料理には欠かせない金属製の壺の釜である。この釜の中に炭を燃やし、オーブンにしてナンやチキンを焼くのである。でも日本の家庭でタンドリーなんて買うわけにはいかないので、他の道具を利用するしかない。

フライパンで焼くのは×である。すでに実験済みなのだが、水分が飛ばずパリッと焼けない。オーブンで焼くのも、火力がおとなしすぎてうまくいかない。一番いいのは、、、魚焼き用のグリルである。これの網をとってしまい、鉄板のうえにアルミホイルを敷く。そのうえにチキンを並べて焼くのである。

直火の強火で焼くと、チキンの外側がパリッと焼ける。しかも、手羽元ならば中心に骨があるので、わりと早く、ジューシーさが残るように焼けるのである。これはノウハウだな。そうそう、焼く時に、鶏肉についているペーストは、あまり拭う必要はない。ペーストが焼けるとのヨーグルトの水分がぬけて、スパイス風味の濃い良い衣になるのだ。

こんな感じでバッチリ焼けるのである。

このご家庭でもできるタンドリーチキン、結論からいうと最高に旨かった。

タンドリーペーストはクミン・ガラムマサラ・ペッパーと3種のスパイスしか使っていないのに、複雑玄妙な味わいである。ヨーグルトに加えてレモンを利かせることで、酸味が適度に補充され、食をそそる。ニンニクとショウガをこれでもか!と利かせたのは正しかった。かなり香ばしく風味が出ている。そして肝心のハバネロの辛さだが、とてもいい感じに辛い!汗が出てくるが、一心不乱に食い進んでしまった。カメラマンとミソノ氏も無言でしばし食べまくる。

と、こんな感じだったのだ。この詳細版というかアホらしバージョンが、紙面には載っていると思って欲しい。ただ、レシピはもうすこし厳密なものが載っているので、レシピをきっちり知りたい人はどうぞ買ってね。


さてこの取材から1ヶ月半後、ある集まりでタンドリーチキンを60本作ることになった。60人集まるということで、60本。手羽元の調達からかなり凄まじい話になりそうである。折しも仕事が超繁忙期だったので、3日がかりで少しずつ作っていった。

まず一日目、鶏の手羽元65本を調達。これに塩をし、レモン(5個分)を絞り、ビニール袋で3つに分けて下漬けをする。

2日目、ヨーグルト1.5リットル分のタンドリーペーストを作る。大型ボウル一杯分のペーストを作る際、リニアにスパイスの分量を等倍すればいいというものではない。分量が多くなると、味のアタリがつくポイントは全く変わってくるのだ。なので、スパイスはドカドカ、ニンニクもドボドボ、指を入れて舐めまくって味のアタリをつける。これを、汁気を絞った鶏肉のビニールに入れて、揉み込みながら冷蔵。

3日目、よく漬かった鶏肉を取り出し、自分で編み出した魚焼きグリルと電気オーブンに並べる。一回25本程度焼けるので、3回転くらいで焼き上がる寸法だ。

しかしここで計算が狂った。グリルは強火の近火なのですぐに焼けるのだが、オーブンは210度にしてもじりじりとしか焼けない。しかも、肉から大量に汁が染み出してくる。この廃液だけでも相当な量が出てくるので、途中でこの肉汁を捨ててやらないと、焼きじゃなくて煮になってしまう。これが今回の廃液である、、、↓

鶏の脂がどっぷり入ったこの汁、なにかに使えないもんだろうか、、、

さて四苦八苦しながらも焼き上がりはなかなかのものだ。

換気扇は前回、冷房をガンガン効かせても汗が噴き出してくる。どんどん焼いて、段ボール箱に油紙を敷いて詰めていった。

どうにか60本焼き終えて会場入りに間に合った。食べた人は口々に「美味しい!」と言ってくれた。

このタンドリーチキン、手間はかかるが、技術的には難しいものはまったくない。材料もそれほど高くないし。スパイスはアメ横大津屋で買えば100gで400円程度で済む。100gなんて普通使い切れないよ。ぜひこのタンドリーチキン、もてなし料理にしてみて欲しい。僕はもう、会得した。

Posted by yamaken at 00:19 | Comments (6) | TrackBack

2004年10月08日

「食学塾」というイベントを開催します。

 僕がお世話になっている生産者団体さんの呼びかけで、農と食を考えるための勉強会の設立に参画することになった。

 第一回目は10月19日(火)に、銀座にて開催され、小さいながらもシンポジウムと試食パーティで構成される。シンポジウムのファシリテータは、恥ずかしながら僕が勤めることとなった。試食パーティでは、茨城の素晴らしい生産者団体さんの新米を使ったおにぎりなどが味わえる。
 参加対象はもちろん一般の方々だ。最初の会ということもあってドタバタになる可能性もあるが、面白いテーマが交錯すると思う。関心のある人は是非お申し込み頂きたい。会場の問題もあるので、人数限定となると思うので注意。

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第1回 『銀座 食学塾』のご案内 

『銀座 食学塾』は、
「農」的な物や、土から一番離れたイメージの銀座で、
こだわり農業生産者と、「食」を提供するお店の人、そして
皆さん(お客さん)が出会い、
「食」に関連した、「農業」、「健康」、「食育・農育」、
「食の国際化」などのテーマについて意見交換する
コミニケーションの場です。
この出会いから生れる、食や農を意識した生き方や
価値観を、銀座から世界に発信していきたいと思います。


【第1部 】 シンポジウム  (19:00~20:45)

【タイトル】  『あなたは、今日何を食べますか?それは、なぜ?
                    ~グローバル時代の食の選択』

(続きはこちら↓をクリック)

ファシリテーター : 山本謙治  株式会社グッドテーブルズ 代表取締役
 
[ 『実践 農産物トレーサビリティ』という著書も出している山本さんは、農産物
や食品マーケティングの専門家です。また、個人的に運営しているブログ 『やまけ
んの出張食い倒れ日記』は、密かにブレークしてます。]

  『 やまけんの出張食い倒れ日記 』
   http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/               
  
                              
パネラー     : 吉田 清 株式会社松屋銀座本店 食品部 食品1課長 

[ 百貨店地下食品売り場の責任者として、生産者とお客様との間に立つ吉田さん
は、偽装表示問題、BSE、鳥インフルエンザ、農薬問題、北海道物産展の偽装問題
等食の安全が叫ばれる中、過去からの”食”にまつわる「常識」がいつの間にか「非
常識」に変わってしまったという実感をお持ちだそうです。食品流通の現状や問題点
を広くお聞きしたいと思います。 ]
          
            斉藤公雄   農業生産法人アグリクリエイト 代表

[ 有機農業を目指す仲間たちと『有機栽培あゆみの会』(会員250名)を結成
し、代表として活躍中の斉藤さんは、有機農業は発酵の世界だ!とおっしゃっていま
す。自らの米作りや有機農業の現場の話しをお聞きしたいと思います。 ]  
                                      
          
            勝野美江   農林水産省消費者情報官付企画官

[ 勝野さんは、仕事で『食育』を担当しながら、仕事を離れたライフワークとし
も、色々な活動をされてます。農業体験をした子供たちの成長の様子や、都会でも出
来る『食育・農育』の実践事例を、お聞きしたいと思います。]

            北上リグ    フランス大使館 広報部

[ 北上さんは日本人でありながらフランス人学校に通ったという、異色の経歴の
持ち主で、人生の3分の1をフランスで過ごしてきました。フランスといえば
食文化の高い国ですが、ご両親の方針で、小さいころから自然食品を食べて
いたそうです。食の国際化についてのご意見を期待しています。]


【第2部】  こだわりの農産物試食会&交流会 (20:50~22:00)

       パネラーの斉藤公雄さんの栽培した、無農薬新米コシヒカリの
       おにぎりや斉藤さんの仲間が栽培した、無農薬・減農薬野菜
       の試食も出来ます。

【日時】  平成16年10月19日(火)
       
       受付け 18:30~
       第1部 シンポジウム          19:00~20:45

       第2部 こだわりの農産物試食会&交流会 20:50~22:00

【会場】     銀座 紙パルプ会館
         〒104-8193東京都中央区銀座3-9-11
         TEL03-3584-8111(代表)
         (アクセス: http://www.kamipa-kaikan.co.jp/ )

【主催】     『銀座 食学塾』

【協力】     『未来塾21』
          『新世代の会』
         『NPO日本オーガニックネットワーク』

【参加費】   第1部 シンポジウム   一般 1,000円
                         学生   500円

         第2部 試食会&交流会 一般 3,000円
                         学生 1,500円
         (参加費は当日、会場にて申し受けます。)
【定員】 50人

【申込み方法】
以下のフォーマットを、貼り付けてメールでお申込みください。
お申込み先  info@aguri-tokyo.co.jp

*お申込みは、10月15日までにお願いします。
 会場の都合で、50名を超えた場合お申込みをお受けできない場合があります。
 お早めにお申込みください。
   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第1回 『銀座 食学塾』 参加申込書

第1部 シンポジウム     参加 ・ 不参加

第2部 試食会&交流会   参加 ・ 不参加

1.氏名
2.所属(会社名等)
3.TEL&FAX
4.メールアドレス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【お問合せ】

『銀座 食学塾』事務局  (農業法人㈲アグリクリエイト内)
高安 和夫
TEL:03-5540-4117 FAX:03-5540-4118
E-mail: takayasu@aguri-tokyo.co.jp
****************************************

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唯我独尊の出店、千客万来でよかった

先日来、富良野のカレー&ソーセージの「唯我独尊」のキャラバンが続いている。横浜の次ぎは大阪・心斎橋ということで、このblog読者さんのコメントにもあるとおりだ。みなさん行けてよかったですね!コメントありがとう。そして、店頭に立っているマスターにWebのことを伝えてくれたみたいで、これもありがとう!

さきほどマスターから電話あり。

「横浜も大阪も、Web観てきたって人が来るよ!どうもありがとうございます!」

旨いものは伝えなくちゃね。

関東風でも関西風でもない、北海道のカレー。もし目についたらぜひ行ってみてください。あーおれも食べたい。

Posted by yamaken at 16:41 | Comments (3) | TrackBack

2004年10月07日

茨城北部に楽園コースがあるようだ。 奥久慈・大子町散策

「やまけんさーん、今度うちの従業員達とお客さんとでキャンプ行きましょう、キャンプ。うちの鶏を仕入れている奥久慈シャモの組合のそばに、すごくいいオートキャンプ場があるんだって。そこに、途中にある直売所で常陸牛や豚、それに奥久慈シャモ買っていって焼いたら最高でしょ、、、」

というお声が、バードコートの野島さんからかかった。そんなん、一も二も無く行くに決まっているのであった。

「それでね、週末に下見に行こうと思うんだけど。」

「あ、おれその下見から行きますよ!」

ということに相成ったのだ。週末の朝9時、北千住に集合して高速に乗り、一路北関東へ。

バードコートには、竹鶴の石川杜氏に連れて行ってもらったのが縁で、野島さんとすっかり仲良くさせて頂いている。彼は仕事柄もあるが、みたこと無いほど旨い物好きで、旨い店にはほぼすべて訪れているんじゃないだろうか。それもそのはずで、店に訪れるそうそうたる食通の面々(山本益博さん、マッキー牧元さん、、、)が集まるので、その人達から旨い店を訊いて食べに行っているらしいのである。ウラヤマシイ。

「最近、余り人が寄らないちっちゃいサービスエリアに寄って飯を食うのがマイブームなんですよ」

といって小さなサービスエリアに本当に入っていく。ここで朝昼兼用のメシを食う。なるほど、高速道路の食堂にしてはムチャクチャに気合いが入ったメニューが並んでいてそそられるではないか!

思わずカツカレーと天玉そばを食べてしまった。


カツカレーが550円、天玉そばが400円くらいで、その辺の定食屋と同じレベルの金額ではないか。味もまあまあで、最近の高速はいいなぁと思ってしまった。

さて、車は一路、奥久慈シャモ生産組合へ。この車中で野島さんに色んな話を訊いた。

 奥久慈シャモは、茨城名物となりうる食材を作ろうと、ある畜産試験場の人が育種したものなのだそうだ。それも、3元交配という技術を用いて、名古屋コーチンとロードアイランドレッドを掛け合わせたメスと茨城の軍鶏のオスを掛け合わせている。これにより品質が安定するらしい。その特質として、胸肉が旨いコーチンの特性と、モモが旨い軍鶏の双方が出てくるという。

「筋繊維の細かさが他の地鶏と比べてもスゴイ。それに、皮が薄いからカリッと仕上がる。肉汁も適度で、焼き鳥にこれほど向いている地鶏はないと思います。」

と野島さんが言う。この惚れ込みようから、生産組合とは親子関係のようにしょっちゅう訪ねに行っている訳だ。飲食店のみならず、これは本当に大事なことだ。生産者は、ユーザの声を聞くことを心から欲している。足を運んで、お客さんの反応を話し、そして生産現場をみる。この当たり前のことが信頼関係を築くのだ。野菜も果物も、畜産物もみな同じ。

そうした四方山ばなしをしているうちに、組合に到着する。

■奥久慈シャモのページ
http://ibaraki.lin.go.jp/shouhi/001.html

「組合っていっても、小さい所帯だし、たいしたことないですからね」

と野島さんが控えめに言っていたとおり、組合事務所はログハウス風の小さな店で、ここから土手を降りていくと鶏舎が数基ある。残念ながら鶏インフルエンザの流行以来、部外者立ち入りは禁止になっているので鶏舎はみられないのだが。

「おじゃましまーす」

といって引き戸を開けると、注文票を書く後藤さんが出迎えてくださった。

「最近はどうかねー」

と世間話を織りまぜながら、野島さんの師匠である銀座バードランドの和田さんのお話や、シャモの供給体制の話をする。

この組合事務所では、シャモ肉を買うことが出来るのだが、通常店頭に並んでいるのは残念ながら冷凍肉だ。

「うちのシャモみたいに少ない羽数を処理してくれる食鳥処理所がこの辺にないんですよ、、、なので、福島の処理所に持っていっているんです。そこから全国に発送するんですが、距離があるので、この事務所で生のを沢山売るのは出来ない状況なんですね。」

なんとなんと、残念な話である。畜肉は、家畜を屠畜し解体処理するセンターで処理をすることが義務づけられている。センターも商売なので、解体効率があがらないものは扱ってくれない。シャモは通常のブロイラーとは違い、一定以上の温度の湯に通さないと羽がむしれないなどの理由があり、引き受けてくれないのだそうだ。ん~ なるほど。

「でも、冷凍肉をここで買って、キャンプ場にいって流水につけていればすぐに解凍できるし、味にも影響ありません。通常の鶏よりも筋繊維が細かいんで、肉汁がでちゃうこともないんです。」

とのことだ。これを検証するため、キャンプ本番では実際に冷凍と生の双方を焼いてみることにしたのであった。

「東京から2時間でこられるし、これから行くキャンプ場には温泉もあるし、バーベキューも出来る。だから、ここでシャモ肉を買ってキャンプするっている循環が出来るといいな、って思って。最高でしょ?やまけんさんのページに書いてよ!」

なるほど、野島さんは奥久慈の観光振興のこともあって僕に声をかけてくれたのである。そうか、では気合いを入れて下見をせねばならんな。

シャモ肉売り場にいくと、なんとそこにはでかでかと、銀座バードランドのパネルが!

やはりこのバードランドの和田さんこそが、奥久慈シャモを全国的に有名にした立役者だ。実は僕はまだ行ったことがないんだよなぁ。今度いかなくては。
この直売所では、バードランド、バードコート双方で親子丼に使われているシャモの卵も売っているゾ。

「じゃ、当日よろしくお願いしまーす」

雨のなか、後藤さんが見送りに出て下さる。感謝である。

さて一路キャンプ場へ。シャモ組合事務所から30分ほどで大子町のキャンプ場だ。この日は雨だったので残念だったが、この大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ というところはすんごくいい!

■キャンプ場のWeb
http://www.greenful.jp/camp/daigo05.html
http://www9.ocn.ne.jp/%7Ecamp.day/index.htm

道具やBBQ設備はきっちりと何から何まで揃っていて、究極な話、手ぶらで来ても大丈夫だ。なんとダッチオーブンまでレンタル・販売しているのだ。

ダッチは僕が愛用するロッジ社のではなく、ユニフレームという国産のものだが、この会社のアウトドア製品が所狭しと並んでいる。提携でもしているのかな。しばしアウトドア魂が久々に燃え上がり、ツール群を眺めてしまった。

入念に設備のチェックをし、当日の予想をし、帰途につく。
と、ロードサイドに大きな「舟納豆」という看板が。野島さんがニヤニヤしながら言う。

「やまけんさん、この舟納豆、すごいからみていこうね」

何がすごいんだろう?納豆やさんの佇まいではないのは確かだが、、、こういう大きい店構えのところはイマイチなんだよな、、、と思いながら入店すると、お客さんですごくにぎわっている!

■舟納豆
http://www.h2o-lp.co.jp/~fune/

「はい、試食やってますよぉ~」


という口上に載せられ、おばちゃんの前に座ると、軽妙な語り口でここの製品全部を食べさせてくれる。この納豆が実に旨い!

富良野で出会った富士食品も旨かったが、ここのもハンパじゃない!小粒の大豆原料を選別しぬいている感じだ。いやこれはびっくり。

「ね、うまいでしょ?」

「うまいうまい 旨い~」

思わず大量に買い込んでしまった。納豆は冷凍が利くのである。

納豆の旨いヤツは本当に旨い!感動しながら再び帰途へ。
その後、一つ前のエントリに書いたように、匠に行って寿司をつまんだのである。

このバードコートキャンプの詳細は、11月には速報できると思う。楽しみにしていて欲しい。

Posted by yamaken at 09:12 | Comments (3) | TrackBack

2004年10月06日

10月3日は匠の加藤ちゃん誕生日でした。 そして、今年も牡蠣の昆布〆の季節がやってきました

日曜日、バードコートの野島さんと、秋に行うBBQキャンプの下見に行ったのだ。その帰り道、寿司処 匠の加藤ちゃんから連絡が入る。あいにくの雨だったし、おそらく客が入ってないから来いってこと何だろうと思ったら、案の定そうだった。

「とりあえずおいでよ。今日はお祭りなんだよ!」

祭りって何だ?と思いながらも、1時間後には野島さんと二番板の菊ちゃんも連れて参上。そこで祭りの意味がわかった。

「やまけん、俺きょうが32才の誕生日なんだよ!」

なんだよそういうことかぁ  でもめでたい。今年は結婚式にしろ、子供が産まれるにしろ、加藤ちゃんのめでたい祝いばっかりしている気がするなぁ

しかし本日大盤振る舞いである。しかも新顔登場。

「10月から牡蠣が解禁になったよ!」

ここの昆布〆は旨いのだが、この牡蠣を〆たのは最高だ。余分な水分がぬけ、旨味が凝縮され、昆布の風味がふわりと香る。さっと塗られた煮切り醤油で食べると、トロリと溶けていくのだ、、、

「旨いなぁ、、、」

と野島さん、菊ちゃんもかなり呆然。舌が肥えた二人の料理人も、この店を気に入ってくれたようだ。

ひとしきり食べて、野島さんらを晴弘に案内し、焼酎とつまみとつけ麺を食べる。その後、駅まで送って僕は匠に戻った。

、、、そして、11時半からはカラオケ。加藤ちゃんのシャウトするボーカルが炸裂したのであった。

これからはネタが旨くなる季節だ! 秋サバもどんどん脂を増していくだろう。頑張ってトレーニングして、食べようではないか。

超繁忙が続いているので、記事掲載が遅くなると思いますがご容赦ご容赦。
あと、コメント多数ありがとうございます。一つ一つにレスつけられずモウシワケナイ。
独尊のカレー食った人、おめでとう!おれも行きたかったよぉ、、、

Posted by yamaken at 11:29 | Comments (11) | TrackBack

2004年10月05日

山形の秋を堪能する! 里芋と「はえぬき」に芋煮会に想いをはせる

 山形の秋の風物詩といえば芋煮会だ。里芋をベースにした鍋を野外でつくり囲むというものだ。

 僕は実際に芋煮会には参加したことがないので、ぜひ一度本場で味わってみたいと思っているのだが、、、一戸さんから芋煮鍋のレシピを教えてもらったので、これでチャレンジしてみたわけである。

 届いた里芋はなかなかに見事。今年は夏場の雨が少なかったので里芋には厳しい環境だと思うのだが、一戸さんの手紙にも『今年のイチオシは里芋かな』とあった。

 一戸さんが教えてくれた芋煮のやりかたは下記である。

《 いも煮 》 皮をむいたサトイモを箸が通るまでゆでる。 ゆで汁はとりかえないで、酒(どぼどぼ)、砂糖(好き好きで)、しょうゆ、平こんにゃく(箸でブスブス刺して味がしみやすくしておき、手でちぎる)を加えて煮る。 牛肉(バラで、たっぷりあるとおいしいです)を入れる。 最後に斜めに切ったねぎを加えて、火が通ったら出来上がり!

極めて簡単。しかし、ここで重要なのは、里芋をゆでたネトネトの汁を捨てずに、これに味を付けていくというところだろう。日本料理ではよくゆで汁をすてて出汁を含ませるが、芋煮にするにはこれがいいのだろう。

芋は適度に切り分ける。薄皮を金タワシでこそぐ。大ぶりの芋は半分か4分の1に断ち割った。美しく白い断面が色っぽい。

さて一戸レシピでは里芋とこんにゃく、ネギと牛肉というのが具の構成だ。

しかし、、、

ここで私、食い倒れ党首は告白しなければならないことがある。

読者の皆さん、どうか心して聞いて欲しい。


実は私は、この世でコンニャクだけは食べることが出来ません

よく「嫌いなものないでしょ?」と訊かれるのだが、、、コンニャクだけはどうしてもダメなんすよ。オフクロ曰く、「アンタが物心つくまえに、すき焼きに入れたシラタキが好きで毎回一玉食べてたの。ある日、それが調子に乗って二玉食べて、気持ち悪くなって戻しちゃったのよね。それ以来食べられないみたいよ」とのことだ。そう、これは物心つく前からのトラウマなのだ。だから申し訳ないけどコンニャクフルコースとかには、僕は参加できない。食わず嫌いじゃなくて、何回もトライしてダメなので勘弁して欲しい。

ということで、芋煮の具もコンニャクは使わないのであった。肉とネギだけだと寂しいので、勝手ながら油揚げと舞茸(栽培もの)を加えました。

芋を煮ると、ヌタヌタのネットリ液が出てきて、粘着質な汁になる。

これに具と調味料を加えてできあがりだ。牛肉は結構はり込んだ。

 出汁を入れないで旨いのだろうか、と思ったが、薄味ながら味わい深い。これはやはり野外料理だな。うっすらと肌寒くなった頃に野外でこの汁をすすり、芋を囓り、牛肉の濃い出汁に舌鼓を打つ。当然、酒が進む。どうせならヤカンででもお燗をつけたのをやりたい。吟醸なんかではなく、食中にいける純米酒を熱めに燗づけし、グビッとやるのだ。

 ふと思い出したように里芋を割ると、この断面の美しさだった。

ねっとりほっくりとした里芋は「丹精」という言葉がお似合いだ。次回は濃いめの出汁で煮含めてみよう。

 この芋煮に併せて、一緒に送って頂いた銘柄米「はえぬき」を炊く。一年以上前から僕は、炊飯器を使わず業務用アルミ鍋でご飯を炊いている。
これが一番旨い米が炊けるからだ。米の一割増の水で20分浸水し、最初から強火でガンガンと炊く。水分が少なくなってきたら弱火に落とし、プチプチという音が聞こえたら最後に一気に火力を上げて少しのコゲを作り、火を停める。10分蒸らすとご飯がふっくらと艶やかに炊きあがる。

 初めての米を炊く時は、とにかく水加減の見当がつかない。ずっと食べ続けている米と同じだと思うとまったく違うことになりがっかりするものだ。通常、この時期の新米だと水分含有量が多いはずなので、いつもより水分を落とす。しかし今年の「はえぬき」はしっかりした硬度があるので、いつも通りの水分量でよかったかもしれない。しかし、一口含むと、キリッと切り立つ、端麗な味わいである。コシヒカリのような華美な味ではなく、一本筋の通った、凛とした細身の美人といった風情の味だ。細身だがコシはしっかりしている。これは山形の漬け物と食べたいなぁ、と思う味だ。

 この時期にいただく新米は本当に有り難い。ごちそうさまでした→一戸さん、高橋さん

 願わくば、いつか本場の山形での野外芋煮会に参加したいものだと、遠くを想うのであった。

Posted by yamaken at 15:23 | Comments (9) | TrackBack

2004年10月04日

(速報)唯我独尊のカレーが横浜で食べられるそうだ!

富良野出張編で衝撃の出会いをしたカレーとソーセージ「唯我独尊(ゆいがどくそん)」が、京急百貨店に出店しているそうだ!それも明日5日までという。

僕は行けそうにないが、近隣の方はぜひいって賞味されたい。以下、情報提供者D黒さんからのメール引用だ。

本題ですが、独尊が横浜上大岡の京急 デパートに出展して、マスターが来られて おります。 カレーが食べられますが、明日(5日)まで です。。

先週は、池袋東武に富川さんが出展され、
大反響だったとのこと・・・

もし宮田マスターがいらっしゃったら(過去ログに写真あるよ!)、声かけてあげてね。ああ、横浜在住者がウラヤマシイ、、、

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2004年10月03日

山形の秋を堪能する! 里芋と秘伝エダマメ

山形県が誇る美人農業改良普及員である一戸さんと高橋さんより、嬉しい小包が届いた。数日前に一戸さんからこんなメールが送られてきたのだ。

ところで、秘伝大豆の枝豆がおいしくなったので、そちらに送ろうと思うのですが、今週は会社の方にいらっしゃいますか?返事をいただければ、すぐ送ります。ただ、今年の秘伝は、一昨年のよりも、なにやら甘みが足りない感じがします。感動するところまでいかないと言うか・・・いえ、(^^;)私はひとどんぶり食べますが。

やったぁ ぜひぜひぜひ、と日時を指定させて頂いたのである。すると高橋さんからもこんなメールが。

今日、うちの一戸と一緒に秘伝豆とさといもをとってきました。 山形の自慢の味をお楽しみくださいませ。

そしてとうとう一戸さんより、

秘伝送りました。明日の午前中着の予定です。 試作中の黒豆枝豆と、里いも、新米も入れました。 黒豆、秘伝は、ちょっと実入り過ぎで硬い感じです。

そして届いたのがこいつだ!

なんとなんと、大量の秘伝に加えて山形が誇る銘柄米「はえぬき」、そしてコシヒカリの新米。そして黒豆エダマメと里芋のセットである。嬉しいなぁ、、、
前にも書いたと思うが、改良普及員という仕事は生産者とふれあう仕事なので、どこの農家さんが一番上手い!という情報をよく知っている。仕事で商品を扱うJAの職員さんよりも、商売に直接はタッチしない分、おそらく純粋に旨い不味いの話ができる立場なのだろう。

ちなみに山形といえば、今年前半から数度来訪して、今年度には県の農産物マーケティングの仕事をするという話が進んでいた。しかし僕はまだ今年度、山形に足を踏み入れていない。「あれ?」と思った読者の方もいらっしゃるだろう。
実は、その話をしていた担当者さんが異動になってしまったのだ。担当者異動で、それまでの路線がガラッと変わってしまうというのは良くある話だが、その後なしのつぶてである。こういうのは非常にやる気を削がれる話で、「ああ そういうことならもうどうでもいーよ」という気になってしまうものだ。

しかし、、、こう言う時にやはり救いになるのは、女性なのである。いや、変な意味ではなく、女性らしいこういった心遣いが、一気に心を柔らかくせしめるのだ。

秘伝は、一戸さんが言うように少し実がパンパンに入りすぎて、超大粒。でも、しっかりした味の豆なので大丈夫だろう。早速に茹でて食べよう。

この見事な産毛をみて欲しい。秘伝は、いわゆる茶豆の系譜ではないらしく、あの茶豆特有の香りはあまりしない。しかしこれは王道を行くエダマメである。実に端麗、高貴、そして伸びやかに育った中学生という感じの堂々さを感じるのだ。


早速茹でる。いい豆が手に入った時は、濃いめの塩水で茹でるだけで、ゆであがってからの塩は振らないのが僕の流儀だ。それと、ゆであがってから水にとることはしない。旨味が逃げるからだ。ザルにあげてうちわであら熱を取る。

さやから実を外すと、この艶やかな、そして大ぶりな豆が顔を覗く。立派な豆だ。噛みしめると、存在感のあるしっかりとした食感と、清々しい香り、純粋な植物性タンパク質の風味を感じる。茶豆の香りはあまりしないので癖がない。本当に「生一本」といった感じの、清冽な味だ。

たしかにこれは丼一杯食べられてしまう。芋を煮る傍らで、もくもくとひたすら食べてしまった。

この秘伝エダマメを使った青豆豆腐というのがあるらしいので、いずれ食べてみたいのだが、とにかくいろいろと料理のバリエーションが利くのが大豆のいいところだ。

あ、皆さんわかってますよね?エダマメは大豆の若いやつですからね! これ、けっこう知らない人が多い。エダマメをそのまま畑で放っておくと大豆になるんですよぉ。

そしてこの日のメインは芋煮汁なんであった、、、(続く)

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2004年10月01日

ジャガイモ百花繚乱。最適な食べ方をお教えしよう

僕のもう一つのblogである「俺と畑とインターネット」にたまにコメントをつけてくれる十勝やっち君は、その名の通り北海道の十勝で農場を営む若き専業農家だ。
先般、狂乱怒濤の帯広出張編をやった時には、飲みに参加しにきてくれた

そのやっちから連絡が来た。

「今年もジャガイモの季節ですよ。昨年やまけんさんがいいって言ってた『インカのめざめ』あります。それと、十勝コガネ、メークイン、スタールビー、あと北紫、それにさやかもつけて送りますよ!」

おおおおおおおおお

すばらしい!
読者のみなさんはあまりジャガイモ品種をご存じないだろう。ちかじか僕の連載する雑誌でジャガイモ特集があるのでそこで詳しくは述べたいが、、、
メークインはご存じの通りだろうが、その他は聞いたことがない品種だろう。例えば十勝コガネはフライに向く品種だ。

大玉になり、扁平で扱いやすい。煮ても揚げてもとても旨い!その他、十勝やっちに説明してもらおう。

■インカのめざめ

インカのめざめは何にしても美味しいはずです。楽しんで下さい。

■北紫

紫色のは北紫という品種で、インカパープルよりアントシアニンが多く含まれるものです 恐らく流通には出回っておりませんので入れておきます。

メークとさやかはフライには向きません。コフキいもにするかレンジでチンしたほうが美味しく飯上がれます。僕のイチオシはメークのコフキいもです!主産地といわれる十勝でも私の家は気候的に涼しく、更に畑の輪作から土作りを最適にしてるためかメーク特有の風味が濃くなっています。今年は猛暑のためかそれにばらつきがありますがメーク好きにはたまらないですよ。

■さやか

さやかはマヨネーズが合うのでサラダがベストです。さやかは打撲や腐れにつよく、内部障害・変形.緑化もめったにないという素晴らしいいもです さらに話題のシストセンチュウ抵抗があり市場にでても肉が白いのでこれからシェアは増えるでしょう ただしホクレンが値崩れを嫌ってるのと種いもとしては大きくなり過ぎるためなかなか増産出来ないみたいです

ところで北海黄金でフライドポテトは食されたことあります?実は黄金が一番フライドポテトが合うんですよ 十月頃に収穫するので暇見てはお送りします。

と、このようなラインナップに加えて、最近の品種であるスタールビーも入れてくれた。


せっかくこれだけ送ってもらったので、それぞれに最適な方法で食べたい。メークインは煮物、サヤカはその白い肌とタンパクな風味を活かしたポテトサラダがよい。その他の芋は全て、フライドポテトで食べると、風味の違いが一目瞭然だ。ちょうどこの日、バードコートの野島さん宅に招かれていたので、5種をフライドポテトにすることにした。

ちなみに、収穫したてのポテトはそのままフライドポテトにすることが出来る。ある程度低温貯蔵したものはフライには向かない。でん粉が糖化して、焦げやすくなるからだ。なので、一般のレシピには、「家庭でフライドポテトをする時には、下ゆでしましょう」などと書いているものもある。しかし下ゆでなどすると旨味が抜けて旨くも何ともなくなる。収穫したての新じゃがが出回るこの時期は、迷わずフライドポテトにチャレンジすべきだ。

カットの仕方は串切りが基本。一番厚い部分が1センチ程度になるようにカットしよう。

これだけ品種が並ぶと壮観だ。

これらをまず低温で一度揚げする。それを油切りしてしばらく置いて、その後180度以上の高温にした油で短時間に表面をカラッと揚げる。揚げすぎは水分が抜けて美味しくないので禁物だ。

こうしてできたフライドポテトには、塩をふってそのまま食べるので十分。あまりに美味しいのでびっくりするだろう。マクドナルドのポテトに慣れた口にはショッキングなほどに豊かな味なのだ。

この時期にしか味わえない、家庭でのフライドポテトをぜひ味わってみて欲しい。十勝やっちの芋紹介については後日もっと詳細にレポートしたい。

Posted by yamaken at 13:38 | Comments (11) | TrackBack

秋のルビーといえばこいつだ! 北海道の秋味イクラをたっぷり食す


まだ僕には暑いと感じる日が続くが、店頭には秋の食材が出回るようになってきた。この時期、エメラルドといえば、先日の鳥長のエントリにも書いた銀杏だが、それではルビーといったらなんだろう?

深紅の赤い玉といえばそう、イクラだ! ここのところ、イクラには非常にツキがあって、寿司匠の生イクラやしんのすけから多量に分けてもらったりして、かなり食べる機会が多い。

そして先日、その決定版といえるものが家に到着したのである。

「やまけんさ~ん うちの夫が釣ってきた秋味(鮭)のイクラを送りますよ!」

というのは、北海道某所のパワフルハッスル女性エンジニアのSさんである。農産物関連の仕事でご一緒したのが縁で、いろいろと美味しいものを送ってきて下さるのだ。超長文のメールとともに、、、

「昨夜から、夫が恒例の秋味釣りに出かけて戻ったのが夜の9:30頃、収穫は立派なお腹を持ったのが2本、立派じゃないお腹のが2本、鱒が1本初回としてはまあまあかな。」

北海道では、川を遡上する鮭は権利関係があるので釣ってはならない。そこで違反にならない場所で獲るのだそうだ。詳しくは分からないがそういうことらしい。ちなみに今年は川が一面黒々になるくらいにスゴイ量の鮭が遡っているらしい。


「イクラ造りの過程です。

①玉を筋から外す
これが面倒、網を使ってやります。

②飽和塩水を作る
熱湯にしてどんどん塩を入れてとかします。
昨夜は1.0キロ以上は使ったと思います。

③塩水を冷ます

④冷ました塩水に卵をつける
この時間が微妙、我が家は4.5分です。

それでざるにあけてふきんを載せて乾かないように
して、冷蔵庫に保存します。3日くらいで食べれます。でも、私は翌日には食べてます(笑)

醤油漬けはもっと簡単

①玉を筋から外す

②ボールに酒と醤油を半々で入れる
日本酒は上等な方が美味しい。料理酒は甘くなるので使いません。醤油は我が家は昆布醤油です。

④卵を入れてそのまま冷蔵庫
3日くらいで食べれます。

ほら、食べたくなってきたでしょう?」

うううううううううううう 食いたい~ 

ということでお送り頂いたのである! 100円ショップで買ったという、中で水切りできる二重構造のタッパーが3つ。イクラ丼にしたら8杯分くらいか!

これ、比較対照がないのでわかりにくいが、粒が非常に大きい!寿司匠で食べるサイズよりも、一回りデカイ感じだ。黒醤油につかっているためダークルビーな色だが、その方が僕には食欲をそそる。

こいつを早速ご飯にドサッと乗せてみる。かねてよりやってみたかった、ご飯よりイクラの多いイクラ丼である。

思い切ってイクラとご飯をどかんと口に放り込む。ゆっくり噛んでみると、歯に

「プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチ、、、(以下略)」

と連続爆発的炸裂感を感じる。そしてネットリと濃いイクラ汁がドロリと口に拡がる。その濃さと対照的に味は実にあっさりとしている。塩蔵のひねた香りは、もちろん皆無だ。激烈にうんまい!

これにわさびをたっぷり溶かし込んで思い切り掻っ込む。わさびのヅンとくる刺激にむせびながら、口の中に拡がる旨味をたっぷりと味わう。この慶びがあと何回分もある。それがまた、慶びだ、、、

このイクラ、通風とかになったら食べられないから、健康な今のうちにガンガン食べておこうっと。あ、その発想がいかんのか。

Sさんどうもごちそうさまでした!

Posted by yamaken at 13:05 | Comments (7) | TrackBack