やまけんの出張食い倒れ日記

滋賀県でとにかく淡水魚が旨いのだ、ということがわかった大津市二日目の昼だったのである。

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※写真はすべてiPhone14Promax
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琵琶湖の眺めは最高だった。ただ、青天で強い日光に当たりすぎると日射病っぽくなるのだが、その気配があったので、早々に日陰に移動。街中にいったん戻る。じつはさきほど、アーケード内に曳山が飾られていた近くの百町市場という店前にサバ寿司や鮎の甘露煮などが売られていて、それを買って帰りたいと思っていたのだ。

店に入って小鮎の甘露煮や山椒煮、モロコの甘露煮などを物色した。百町市場は、シャッター街になりつつあったアーケード街にできたコミュニティショップのようなもので、よろず屋のようになっている。店に立つのは地域のご年配の方々。「あー、レジ売って」「ん、、、どうやるんやったっけ」「あー、もういいわ、あっちやって!もう、、、」みたいな感じで遅々として進まないのが楽しい。サバ寿司1800円と琵琶湖の魚の甘露煮を1400円分購入した。

すしログの大谷君が「行くといいですよ」と教えてくれた九重味噌は残念ながらお休み。祭りだもんなあ。でもとりあえず、食の賢人たちが教えてくれた店には(大津駅周辺のものは)だいたいあたったので、よしとしよう。皆様ありがとうございました!


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町中至るところで曳山が組み立てられている。若い男女が大人に教えられながら木材を運び、手伝いをしている。それをパイプ椅子に座って監督する地域の顔役おじさん達。大津の夜祭り前の、街全体がそわそわと浮かれている気配を心地よく感じていると、旅心が刺激されてしまう。本当は、軽く琵琶湖を眺めたらすぐに帰京しようと考えていたのだが、歩いているだけで外からの刺激がビンビンと体内に入ってきて、どうにも楽しいのだ。

ということで、道明寺さくらさんが「かねよに行って鰻食べたら?」とアドバイスいただいたのを実行することにしようと思いたつ。マップで調べたら京阪石山坂本線で2駅だ。この石山坂本線と言う電車、昨日停まったホテルの目の前の路面をガタゴトと走っていて、「おー、ここにも路面電車あるのか!」と嬉しくなって乗りたくなってしまったのだ。

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石山坂線はずっと路面を走るのかと思ったらそうではなく、すぐに山の中を走り始めた。無人駅である大谷駅を出てすぐに「日本一のうなぎ かねよ」という看板が出ており、右へのぼって50mという。果たしてすぐさま人が吸い寄せられる一角があった。

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どうやら個室でゆったり食べられる高級バージョンの建物と、地方のレストランによくある、二階が広い店舗になっていてテーブル・座敷で食べられるところに分かれている。最初、よくわからず個室に入りそうになってしまったが、個室はサービス料10%が乗るので、要注意だ(笑)。

12時になるところで、さぞかし行列しているだろうと思ったのだが、拍子抜けするほどに空いていた。会計の際に店のお姉さんが「今日はお客さん、ラッキーです。いつもならこの時間帯は大行列ですから」と言っていたのだが、ほんとうにラッキーだったようだ。

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この店の名物は、厚焼きのだし巻きと鰻がのったきんし丼だが、特上きんし重を頼む。ただ、気になるのはコイの刺身とコイこくだ。お重には吸い物がつくが、差額交換でコイこくにできるそうなので、そうしてもらい、コイの刺身もお願いした。これが僥倖であった!


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このコイの刺身がえらく旨いのだ。さばきたての、ついさっきまで活かっていた身肉のサクサクとした食感、そしてまだ生体にしかない何かが残留しているかのような、いきいきとした香り。酢味噌の濃厚な味の下から、コイのうまさが立ちのぼる。


「これ、コイの身は洗いにしてあるんですか?」

「いえ、洗っていない、つぶしたてのコイを刺身にしています。」

「まったく臭みも何もないですねえ。」

「長野県の茅野市で育てたコイなんですけど、仕入れてから数日、うちの池に置いとくんです。そうするとアクみたいなのが無くなるみたいですね。」

というやりとり。もちろん養殖だろうけど、川魚は旨いね!

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続いて運ばれてきたきんし重とコイこく。きんし重はもちろんおいしい。西日本の蒸さない鰻が僕は大好きだ。だし巻きがついてくるのも、うなぎとのマッチングが素晴らしい。

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しかし、しかし。それより何より、白味噌仕立てのコイこくがすばらしくおいしいのだ。白味噌がポタージュ様にトロリとしている汁の清らかな味わい。
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さきほどのコイの身肉に火が通ると、こんどはしっかりとしたうま味を主張している。コイの卵も入っていて、強いコクを感じる。大満足である。
「最後の方、山椒をかけて味変すると楽しいですよ」と教えてもらう。本当に楽しい!

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思えば昨晩の居酒屋でもフナ子造りがおいしかったし、さきほども琵琶湖の淡水魚の甘露煮にひかれて購入してしまったし、川魚を味わうというのがこの辺での楽しみなのだろうかと思った。

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腹も心もすっかり満腹。帰りの新幹線ではぐっすり眠ることができたのである。滋賀県大津市周辺はじっくり再訪しようと心に決めたのである。