やまけんの出張食い倒れ日記

あの吉澤畜産が極上和牛を供する「銀座 吉澤」が満を持してリニューアル!これを機にと吉澤直樹社長と語らった「やまけんが聞く!」が専門料理9月号に掲載されているのでバックナンバーをご覧あれ。

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バックナンバーになってしまいますが、ここしばらくの専門料理での「やまけんが聞く!」をさらえていきます。


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月刊専門料理 2024年9月号 (発売日2024年08月19日) 表紙

はい、9月号は久し振りに和牛ネタ!

もともと専門料理では数年にわたる連載として「牛を飼う ~日本の食を考える~」という連載を執筆させてもらっていた。そう、短角牛のオーナーになって、牛を持ちながら日本の肉はどうなるこうなるということを勝手気ままに書かせていただいた連載。これで僕のことを識ったという料理人さんも多かったと思う。

なので僕が肉のことを云々するのは専門料理読者さんなら見慣れた光景。そこで出ていただいたのが、芝浦市場に入場する吉澤畜産の吉澤直樹社長だ。

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僕が、日本標準の黒毛和牛とは違う品種の赤身肉を推していたこともあって、「やまけんは黒毛派嫌いなんでしょ」と思ってる人も多いが、黒毛大好きですよ。おいしい黒毛はね。でも、おいしい黒毛に出会うことってけっこう大変。

この仕事をしていて、全国の生産者と繋がりがあるけれども、じゃあそうした生産者から直においしい肉を買うことができるか、、、というと、必ずしもそうでもない。生産者は生きた牛を育てるスペシャリストだけど、と畜したあとのお肉の取り扱いのプロであるわけではないからだ(一部、お肉にするところまで責任を持って行う人も出てきているが、まだまだ少ない)。


と畜してから、枝肉をどんな風にねかせておいしくするかというのは、やはりと畜から精肉販売に至る経路の中間にいる、卸売業者が重要な役割を果たしている。吉澤畜産は、と畜された牛のお肉に手を掛けておいしくして出荷するという役割において、東日本ではピカイチの存在だ。

その仕事ぶりについては拙著「熟成肉バイブル」でしっかりと取材撮影させていただいた(懐かしいなあ)。

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■熟成肉バイブル

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この時、じつは吉澤さんが銀座の一等地で営む「銀座 吉澤」ですき焼きを撮影させていただいた。

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この一階に精肉販売部があって、店で出す肉をそのままにすき焼きやしゃぶしゃぶ、ステーキ用にカットして販売してくれるという素晴らしいお店だった。この店奥に、昭和の早い時期にしつらえた、なんと水冷式の冷蔵庫があったのだ!

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ここに入ったときのことは忘れられない。肉が乾燥することなく、シットリとしたままに熟成が進んでいくさまがわかる湿度感。空冷式の冷蔵庫と明らかに違う冷え方だったのだ。

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「いや実はね、銀座のビルをリニューアルすることになってて、ここからちょっとの距離のビルにリニューアルオープンするんですよ。」

えっ マジ? リニューアルってことは、この貴重な冷蔵庫も役目を終えるのか、、、ということは吉澤さんから聞いていたのだが、それなら取材行くぜ!ということでインタビューさせていただくことになったのだ。


あたらしくなった銀座吉澤ビルは、、、

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むちゃかっこいいッス! 場所は、東銀座駅の歌舞伎座側を、京橋方面にしばし歩いたところに。

入り口横にある冷蔵庫に、骨付きロースがどどんと吊されているのが目印だ。

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店内に入ると、出ました精肉販売部! あのですね、本当においしい和牛肉を経験してみたいなら、ここに買いに来るのが吉です。

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この中だと、私のお薦めは岡崎牧場の近江牛ですね、、、

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このタイミングで投入された各種加工品も充実!

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和牛の牛脂をつかった香味ペースト、これだけでチャーハンがおいしく出来ます。

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ここで、お店で出るお肉をカットしていただいている訳です。

そしてその後ろに冷蔵庫が!

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「じつはね、やっぱり水冷で作りました。むちゃくちゃお金かかりましたけど、、、おそらくこのレベルの冷蔵庫、なかなか作れないと思います。安定してくるのはもう少し後かもしれないけど、スゴくいい感じですよ!」

と! まじかよーーーーーーー

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そしてこのビル2Fには「銀座吉澤 肉処」が。

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すき焼き、しゃぶしゃぶ、焼肉を楽しむことができる。じつはこの日、「食べていただいて取材を」と言ってもらっていたのだが、個人的にはいままでの経験上「すき焼きだよな」と思っていた。ホント、銀座吉澤のすき焼きは別ものだからね。

でも直樹さんから薦められたのは焼肉。

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「ちょっと普通の焼肉と違うアプローチをしているんですよ。ぜひ食べてほしい」と。

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心の中では「うーん、焼肉かあ」と思ったのだが、、、これが素晴らしかった!

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素晴らしき前菜をいただいた後、メインの肉が!

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ミスジや肩三角などが入った、しかも生産者別のお肉が運ばれてきた。でも重要なのはタレ!

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中央のつけダレをみていただきたい。ふつうの焼肉のタレとは全然違うたたずまい。出汁のような味わい、柑橘のような酸味のあるサッパリしたタレだ。ニンニクの香りもほとんどしない。

「サシの入った和牛肉をおいしく食べていただくために考え抜いたタレです。」

というのだが、、、

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これは旨いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!


驚倒した! 芝浦の冷蔵庫で3週間、そこから吉澤ビルに持ち込んで水冷式冷蔵庫でまたしばらく寝かせたことで、脂のトリグリセリド構造が分解され、甘く柔らかな質感になった脂、そして産まれる和牛香、それをしっかり味わうことができるタレなのだ! これはマジで素晴らしい、、、ぜひ一度食べてみてほしい。

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〆の冷麺も最高です。あえて具なし、、、

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ちなみに3Fには肉割烹が。

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「いま肉割烹業態ってけっこう苦戦してるらしいです。でも、うちにしかできない肉割烹ができるはずだと思いまして、、、」

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いや、できるでしょ!

ちかく、この肉割烹にも足を運びたいと思っている。どなたかぜひご一緒しましょ。

ということで、専門料理バックナンバーになりますが、取り寄せ可能なのでご覧ください!


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