やまけんの出張食い倒れ日記

新中野で上質な、落ち着いたイタリアンみっけた。「カルボナリ党」のしいたけパスタが上質なおいしさで思わずニッコリ!

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新渡戸文化短期大学の最寄り駅は東高円寺(丸ノ内線)で、この周辺に飲食店が多いのだけれども、学園から反対側(新中野方面)に歩いて行くと、また楽しい。街道沿いにフルーツタルト(キルフェボンで修業していた人らしい)の店があったり、本場十日町で布海苔蕎麦を修業してきた人のそば店があったり、なかなかに楽しい昼食ライフを過ごしている。

悩むのはパスタだ。東高円寺駅横にパスタ・ピッツァの店があって悪くないのだが、もうちっと幅を拡げたいよなぁ、と思っていたら、新中野側に佳いお店がありました。

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街道からひょいと中野駅側の小径に入ったところにある小体な店。ちょうど、近所のおばちゃん達が家族で入っていったタイミング。

「カルボナリ党」という、人を食ったような店名だが、じつはこれ、世界史好きなら「おっ」と思うに違いないネーミング。カルボナーラというメニューが「炭焼き職人風」とよく訳されるように、炭焼き党という意味になるのだが、、、これ、イタリアに1800年代にあったフランスに対するレジスタンス運動をしていた秘密結社の名前なのだ。

面白いじゃんと思いながらドアを開ける。カウンター4席、四人掛けテーブルが2卓。カウンターは満席だったが、ちょうど食べ終わった女性が席を立ってくださった。ありがとうございます、、、

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店に立つのはオーナーシェフらしい男性と、マダムだろうか、お若い女性の二人。

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ランチはパスタ一皿というのはなくて、前菜とサラダの盛り合わせとフォカッチャ&自家製バター、そして6種のメインから選ぶというランチセットとなっている。コーヒーか紅茶がついて1600円から2200円という、なかなか絶妙な価格帯。とにかく腹減りで安め価格を狙うビジネスマンランチ客ではなくて、落ち着いておいしいものを食べたいという人を狙っているのですな。どうりで、僕以外の全員がしっとり食べている女性客である。

さあて、隣の女性が食べていた生ポルペッティとトウモロコシのトマトソースパスタがとてもおいしそうだったのだけれども、この店のスペシャリテだというしいたけパスタが気になる。初見なのだから、まずはお店のオススメを味わうべきだよね。

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ほどなく運ばれる前菜盛り合わせ。スモークサーモン、水ナスサラダ、生ハムにマッシュルームのソテー、サラダにフォカッチャ。

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なんといってもフォカッチャにつけることが想定されている、このふんわりホイップしたバターに力が入っている。

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自家製バターとあるが、すこし発酵した香りもする。本当に生クリームから分離させたバターかどうかはわからないが、塩もバシッと効いて、フォカッチャが進むおいしさだ。

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そして、待ってましたこれがしいたけパスタ。

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「上に三種の調理、炙ったシイタケ、油で炒めたシイタケ、パウダーのシイタケを載せています。」

ああ、なるほどな! 実はネットで探していたときにこのしいたけパスタの写真を観た時、この粉はボッタルガだろうと思っていた。なんだそうかシイタケパウダーか、と少し残念な気もしながらパスタをフォークに絡めて、口に運ぶ。

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む、、、アタックは決して強くない。ニンニクの香りやトウガラシの辛味を強烈に移したオイル、などではない。むしろ実におだやかな味わいで、ほんのりアーリオの香りがするくらい。だからシイタケの香りとうま味がしっかり立つ。炙ったシイタケはその肉のような繊維感がしっかりと。油でソテーしたシイタケは食感がシットリし、シイタケのうま味が油に移ってパスタを進ませる。しいたけパウダーはもちろん唐墨のような強烈な味わいはないが、香りが麺に載ってくる。

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ただ、シイタケだけじゃないよなあ、なんだか癖になる味わいだ。これなんだろう、と問いながらフォークに巻いているうちに、強くないと思っていた味わいがだんだんと蓄積され、しいたけの押し出しが強くなっていく。これはじんわりとおいしいパスタだ、、、

この上質さ、リストランテで出てくるような味わいである。

食後のコーヒーもこっくりとして香りもあって、とてもおいしい!

「なんか、おいしいなあ。ご馳走様」

とすこしオーナーシェフさんに話しかけた。途中、出入りの業者さんがパスタを納品していて、それがディチェコだったので、「ディチェコなんですね」と話を向けたら「僕が出したいパスタの味に、ディチェコが合うんです」と、スカッと話してくれた。

しいたけパスタ、とてもシンプルに感じそうだけど、なにかうま味があってね、、、と水を向けてみた。

「あ、実はアサリのブロードをすこし加えています。」

なるほどな! それが味の骨格を組んでいたのだ。最後まで飽きさせない味わいはそこにあった。

「あの、ぜひご挨拶させてください」と名刺をくださった。三浦淳平さん、実に好感持てるシェフである。

帰ってから調べたら、ひらまつグループのリストランテで修業をされていたようだ。やっぱりな、雑なパスタじゃない、きちんと構成された世界観を感じました。

料理が出てくるまでにひととおりメニューを観ていたのだけど、海鮮のパートには甘鯛のブールブランソースという一皿が。店はイタリアンだけど、フレンチを修業してたのかなと思い尋ねたら「フランス料理も修業していたんです」と。あ、そういうシェフは旨い料理を作るんだよなぁ、、、

この店ではコースを食べた方が楽しそうだ。今度ぜひ再訪したいと思う。