やまけんの出張食い倒れ日記

農泊万歳! 美瑛の「かまいたい宿 ONEandONLYからファームズ千代田へ! アニマルウェルフェアのまなざしで黒毛和牛とジャージー牛を育てるアバラゼデさんとの邂逅と絶品ステーキ!


白々と、美瑛の夜が開けていく。


宿となったONEandONLYは実に快適だった。しかも朝食がまた、素晴らしくて、、、ダイニングへ行くと、こんな料理がズラリと!











どれも美瑛産の食材を中心に彩られた料理ばかり。これ、夕食じゃないの?ってボリュームです。


もうほんとに、次回もここに泊まりたい!と思うのであった。


さて、これから向かうのがファームズ千代田。びえい農泊DXプロジェクトの中核となる存在だ。このファームズ千代田が実に面白い! 北海道開拓時代に入ってきた髙橋さんという方がはじめた牧場なのだが、その経営を引き継いだのはモンゴルからやってきて、帯広畜産大学で博士号を取得したアバラゼデさん。


このいきさつと、ファームズ千代田がどんな畜産生産者なのかは、こちらの石川史子さんの記事を読んでいただきたい。

■「おいしい牛肉は元気な牛から」ファームズ千代田@北海道美瑛 | Food Field Creative|フードビジネスコンサルタントhttps://ffcnippon.com/2023/09/20/%E3%80%8C%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%84%E7%89%9B%E8%82%89%E3%81%AF%E5%85%83%E6%B0%97%E3%81%AA%E7%89%9B%E3%81%8B%E3%82%89%E3%80%8D%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E5%8D%83%E4%BB%A3/

訪れたときはちょうど搾乳時間だったので、ジャージー牛さん達が搾乳室に来ているところ。


クーラーや飼料などを見せていただいた。


牛舎には牛さんはカラの状態だったが。ここが大事なので見せていただく。


フリーバーン形式ので、向こう側に見えるとおり開放的な作りの牛舎だ。実際にジャージー牛たちがいる光景は、先の石川さんの記事をみていただきたい。


アバラゼデさんのご出身である帯広畜産大学とは強固に連携しており、この牛舎のジャージー牛たちは同大の瀬尾哲也先生にアニマルウェルフェアの監修をしてもらっている。瀬尾先生は、日本でも少ないアニマルウェルフェア認証を立ち上げている専門家だ。つまり、ファームズ千代田のアニマルウェルフェア対応はガチでバッチリということ、だろう。

ちなみに、ファームズ千代田の経営の柱は黒毛和牛だ。黒毛を2800頭、繁殖・肥育一貫で生産しているのが主力である。それをやりつつ、ジャージーを50頭あまり、そしてどさんこやポニー、羊やヤギ、ラマにダチョウにアヒルにウサギなどを飼って、ふれあい牧場として観光施設としても機能している。だから、農泊を行うことができるのだ。


自家保有している種牛を見せていただく。アバラゼデさんは日本語堪能(あたりまえか!)で、とにかく畜産技術に関して図抜けた能力を持つ方だ。ファームズ千代田では人工授精所としても機能しており、さまざまな牧場から依頼を受けて、精液採取や採卵業務を行っている。


僕以外のメンバーは牛の精液をみたことが無い人たちが多いので、凍結精液を顕微鏡にかけてみせてくれる。




左にいるのはファームズ千代田の専務である石戸谷美香さんだ。真ん中にいる石戸谷結香さんは娘であり、ファームズ千代田の広報を努めている、というわけだ。


さて、本題のステーキだ! ファームズ千代田には、実に立派なファームレストランがある。


ここで自社ブランドである「びえい和牛」のステーキやハンバーグ、ビーフシチュー、ローストビーフ丼などをいただくことができるのである。


が!

「今回はね、やまけんさんが来てくれるってことで、びえい和牛だけじゃなくて、うちで育てているジャージー牛の経産牛の肉と、F1(交雑種)のお肉も食べてもらって、意見をいただきたいんですよ。」


キタぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


これを観ていただいて、どれがどれだかわかった人はスゴい(笑)

時計の針で12時方向にあるのが黒毛のびえい和牛のA5。4時方向というか一番手前がジャージーと黒毛の交雑種でB3。そして9時方向、黒毛の下にあるのがジャージー牛の経産牛で、C2だ。

サシの強いものから食べていくと舌に脂がまとわりついて、味わいにくくなるので、ジャージー経産牛から。


うん、、、素晴らしくおいしい!

いや、これでしょう。これしかないでしょう、というしっかりした味わいである。

ジャージー×黒毛のF1もいただいたが、黒毛の要素が前面に出ている印象だ。そして、びえい和牛のA5は、やはりステーキで食べると脂が重い、、、

そしたら、アバラゼデさんご自身が「どうですか? 僕はモンゴルで、草を食べていた家畜の肉を食べてきたから、ジャージー経産牛が一番美味しいと思うんだよね。」と。いや、まったくもってそう思いますよ!

ぜひこのジャージー経産牛を、レギュラーでこのレストランで食べられる様にして欲しい、、、ものだが、ジャージー牛は搾乳用で頭数が少ないので、それは難しいかもしれないね。でも、それならジャージー×黒毛のF1牛を、粗飼料多給の肥育方式で育てたらどうだろう?黒毛が入ることで肉量はもっととれるし、ほどよくサシも入る。黒毛和牛と同じ育て方をしてしまうとサシも風味も重くなってしまうので、粗飼料多給の方式を検討することが必要だ。

ファームズ千代田に宿泊施設が建つタイミングに間に合うかわからないが、ぜひ検討して欲しいと思う!


それにしてもアバラゼデさんの姿勢は面白い。3000頭規模の経営だけあって、慎重な経営をしておられるけれども、開拓者スピリットがある。アニマルウェルフェアから正面に取り組む一貫生産の経営体は非常にすくない。これは、農泊的観光も視野に入れた経営をしているからだろう。


その、ジャージー牛の生乳100%のソフトクリーム。乳脂肪分高めなのに、くどさのないスッキリした味わいでおいしい!



そして、美瑛町をとり続けたすばらしい写真家・前田真三さんの拓真館へ。



ここ、なんと撮影に使っていた4×5や8×10、そしてハッセルなどが展示されている!



こんな風景写真は、俺には撮れないな、、、


美瑛に来るなら、かならず訪れて欲しい場所だ。


お土産コーナーも陳腐なものが少なく、いい感じ!



撮影スポットとして有名な白樺林で、石戸谷結香さんを撮影!




帰り道、美瑛の街中にある「割烹 鯉川」へ。割烹と銘打ってはいるが、現在厨房に立つ山野さんが中国料理出身なので中華がお勧めという面白いお店!

けっこうみんな満腹だったのだけれども、一皿ずつオススメメニューを出していただくと、、、






どれも旨い! ぜーんぶ食べちゃいました。ちなみにインバウンド人気も高くて、観光客からはタレかつ丼&麻婆豆腐の両方乗せた丼が好評だそう。

「じつは当店の横に、スナック「リング」という店がくっついてまして、、、昭和レトロそのものなんですが、お店、ごらんになります?」と。

案内されて驚いた!


ま、ま、まじで昭和! そしてこの妖しく赤い空間、、、


こんな空間が残っているなんて、、、今度はぜひ、鯉川で食べた後に、ここで一杯いただいて帰りたい。

さて、びえい農泊DXプロジェクト、いよいよ4月からの新年度で、本格的なスタートとなるようだ。今年もぜひ、遊びに行きたいと思う。

読んでくれた皆さん、美瑛町は通過する町ではなく、泊まる町になっていると思いますよ! ぜひ楽しみましょう。