さて、いよいよツアーのクライマックス、「料理人が自分で土佐あかうしを料理する時間」である。
高知到着後に直売施設「とさのさと」で買い求めた食材と、土佐あかうしの肉を使ってガンガン料理して下さいよ!という企画である。僕がプロデュースする産地ツアーでは、可能な限りこれをやる。岩手県の短角牛でもやりましたねえ。でも、高知県では担当の公文ちゃん、入交くんがかなり弾けた人達なので、ほぼ必ずといっていいほどやっているのであった(笑)
料理の舞台は、高知市内の「STUDIO Brew」。ぬわんと、このスタジオの裏はすぐにはりまや橋交差点!という好立地。店を持っていないが、いずれ独立したいというチャレンジ精神ある料理人が、ここでポップアップレストランを営業するなど、さまざまな使い方を提案しているキッチンスタジオだ。
■STUDIO Brew
https://www.studio-brew.jp/
商店街側から入るとこんな感じ、客席として使える。
奥に入ると、昭和風のレトロ空間にキッチンが!
業務用コンロに台下オーブンも完備!
しっかしここに6人も入るの!?という感じだが、それをやってしまうのがこのツアー。
6人のシェフにはあらかじめ僕の方から「こういうの食べたいなぁ~、いや違った、作って欲しいなぁ~」というメニューをお願いしてある! そのお願いとは、、、
高橋義弘さん (瓢亭) | あかうしと高知野菜の炊き合わせ的な和の料理ですかね!ご飯も炊けるので、白飯に合うもの欲しい~ |
今橋英明さん (レストランローブ) | フレンチ定番のスティックアッシュ食べたいですね! あと牛タンもありますよ |
高山いさ巳さん (カルネヤ・ナスキロ) | 炭火も屋外で用意できますので、衝撃のナスキロ焼きはぜひ! あとパスタお願いします! |
山口弘さん (Kitchen g3) | ブリオッシュのバンズをご持参いただいて、必殺ハンバーガーとかどうでしょう? |
鈴木こうやさん (前・swrl) | 上記を踏まえてなにかイカした料理作って下さい! |
塩原弘太 (クインディ) | ノンアルとアルコール担当お願い! 高知素材でドリンクとサービスをお願いします! |
まあ、いつもいつも、よくこんな素晴らしい顔ぶれの人達に臆面も無く頼むよなぁ、という感じであるが(笑)
ということで、このキッチンに6名がひしめいての料理が始まった!
肉を用意してくれたのはもちろん、高知で土佐あかうしの取り扱いといえば、の三谷ミート!
高山君からは「ナスキロ焼きをするなら、厚さ6cmの肉が欲しいです!」と。 6cmですよ6cm! 普通の人は火入れできない厚さでしょ!
「いや~ これっすこれっす。 この厚みじゃないとうまく焼きにくいんですよ~」
マジですか!?
念入りにスジを取り除く。食べ心地に気を配る高山君ならではの豪快さと繊細さ。
直前まで、バーテンダー集団であるSGグループのワインカクテルレストランであるswrl(スワール)の厨房で料理を造っていた鈴木こうや君は、なんとなんと、土佐あかうしのハツを使ったペルー料理「アンティクーチョ」のアレンジ版を造ってくれるという! アンティクーチョ大好きだぜ!
ということで、三谷さん、ハツを用意しといてくれました!
「こんなに鮮度のいいハツ、初めてです、、、」と鈴木君も嬉しそう。
肉の火入れに入るが、鈴木君、となりは瓢亭の髙橋義弘さんだよ。緊張しそうです、、、
ローブ今橋さんには、フランスでみなが大好きなスティックアッシェ(細かく刻んだ牛肉をハンバーグ状にして焼いたもの)を作ってもらう。
じつは今橋さんのお父さんが高知県のご出身。ということもあって、今橋さんのフレンチレストラン ローブではすでに土佐あかうしをバリバリ使っていただいている!
この一品、生ではなく低温調理で火を入れた土佐あかうし肉をタルタル風にして、ケイパーと合わせた上に昆布ジュレを乗せたものだ。中東スパイスのスマックに似た、紫色の粉がかけてあるが、これはなんとゆかり! 前菜パートでクライマックスとなるこの料理、ローブのシグネチャーディッシュの一つである。
これをやってもらおうかとも思ったのだけど、ここで低温調理などはちょっと難しいので、スティックアッシェに。
種として完成したのがこの状態!
この後、しっかり焼いてみんなでいただきました。土佐あかうしの肉が滑らかな風味で、散らしてある青ユズの皮が香り高く、すばらしくおいしかった!
さて、高山君はその頃、はりまや橋側の屋外にしつらえた炭火台で、ごうごうと煙をまきちらしながら、ナスキロ焼きを実践中!
最初の段階こそおとなしいが、、、
どんどん強火で焼いていく! ごらんの通り、途中から土佐あかうしの脂を投入し、炎を立てる!
炭火でステーキを焼くなら、直火の遠火でね、というセオリーをぶちこわしてしまった高山君! 炎がガンガンと上がり、肉の表面を焦がしていく!
これが焼き上がりだ!
先日ここで公開した予告編映像をみてもらったら、この焼き上がりをシェフのみんなが囲んで「おお~ ちょうどいい火の通り!」と驚いているさまがみてとれる。そう、真っ黒になって焦げ焦げになっているようにみえるが、この一枚皮下は、真紅のウェルダンになっているのだ。
なんと驚愕の焼き上がりではないか! そこに、グラスドビヤンド(フォンドボーをさらに煮詰めたもの)をかけ回してできあがり!
みながビックリするおいしさ。外側の焦げ面はカリッとした食感、苦味は一瞬で消え去り、グラスドビヤンで旨み強化された肉からジュースがほとばしり、口の中がうまみで満たされる!
惜しまれつつ閉店したカルネヤサノマンズ時代の終盤、「すげー牛肉をおいしく焼ける焼き方開発したんすよ」と言っていたのだが、本当に有言実行だよなあ、高山君。
厨房でもみな作業しながら食べてもらう。 ナスキロ焼きの衝撃にみな「おお~、まじかよ!」と。高山君もなぜこの焼き加減にできるのか、惜しげ無く教えてくれていた!
さて、五反田のKitchen g3で、本当の意味でユニークな料理を展開するセンスの塊・山口弘君。
彼には当然、スペシャルハンバーガーを作ってもらうのである! このハンバーガーの核となるのがブリオッシュ生地のバンズ。これを東京から送ってもらうことを考えていたのだが、直前が台風だったもので、バンズが届かなかったらどうしよう、というヒヤヒヤがあったのだが、ちゃんと届いていた!
ただ、赤身で造るべきパティなのだが、この日、三谷さんが用意してくれたひき肉がかなり脂多め!
「ちゃんとパティがまとまって焼けるかちょっと不安です」
ということで山口君、機転を利かせて、フライパンで焼くのではなく、高温に熱したオーブンで焼くというやり方に切り替え。
高山君も「もう俺、焼き上がったから手伝うよ~!」とお手伝い。山口君、恐縮するの図。
そしてできあがったのがこれだ!
チーズをまとったパティの上に敷かれているのはプルドポーク!
「プルドポークをソースとしているような感じなんです」という、Kitchen g3でもっとも人気になりつつあるハンバーガーの土佐あかうしバージョンである!
厨房でもみなこれにかぶりついて、、、
「うんめぇええええええええ これマジで旨いよ!」と高山君が雄叫びを上げてくれる。
あかうし肉でつくる豪勢なパティで造ったバーガー、素晴らしかったね!
そして、その間に鈴木君は面白い料理を造ってくれていたのである。
以下、その3へ続く!