さて、一同ホテルにチェックインして一息入れる。ちなみに徳島の泊りは駅前のサンルートかAPAあたり。なぜかと言えば、そのすぐ近くにDoor!があるら。
Door!は、このビル二階と三階に開かれた飲食店で、徳島県の素材を使った最高の朝ご飯とランチ、そして予約制のディナーが楽しめる店だ。
朝ご飯はさおりさんのママさんが作っていて、この値段で最高においしい味噌汁とご飯を楽しめる。小鉢をプラスすることも可能で、もちろん僕は小鉢頼みまくる。ホテルは素泊まりにしてここでご飯をいただくのが吉なのだ。
というわけで、この日は溝口さんが貸切してくれたのでここでかぶりつきでの曽谷劇場!
なんと、いつも朝ご飯を作ってくれるママも詰めてくれていた!
もう、突き出しだけで呑めちゃう。
「もうね、徳島に来た人達を連れてくる店はここがいいんだけど、カウンター6名限定なんで、気を使うんだよね」と溝口さん。そう、人数が増えても3階があるので対応はできるのだけど、カウンターではなくなるので、シズル感がすこしだけ落ちてしまうのだ。
と、バラバラと集合!乾杯である。
徳島県の生産者団体GOTTSO阿波が生産する「美~なす」という白茄子。ネーミングは実にセンスなし!と思うが、このなすがかなりヤバイほどおいしい。
揚げ浸し、出汁が柔らかな茄子の果肉に吸い込まれており、噛むとその全汁がジュワッと再放出。最高である。おもわずおかわりしてしまった!
樋口くん、青汁ビールを堪能しながら「よっこらしょっ」と立ち上がって厨房内へ、、、
実は! 書いてなかったけど、阿波和三盆の服部製糖所の前にもう一箇所寄っていた。
徳島県でいちばんおいしい豚といえば、納⽥明豊くんが率いるアグリガーデンの「金時豚」だ。10年くらい前に僕が宮﨑で講演をしていた際に納田君自身が話を聴きに来てくれて、それでなんというか、衝撃を受けたらしい。当時彼らは大手食肉企業に出荷する通常豚を生産していたが、そうではなく自分達でブランドを確立し、能動的に販売をしていきたいという方針に変わった。それで生まれたのが金時豚というわけだ。
その辺のいきさつはこちらに。若いな、納田君(笑)
■徳島の豚といえば、あの鳴門金時芋を餌に与えて大切に育てた「金時豚」!生産者・納田君は豚肉のエシカルを目指している! - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2017/07/14349.html
この日、居てくれるかなあと思ったのだが、残念ながらPTAの関係で来られないことに。それなら肉を買うので、2.5cmの厚さに肩ロースをカットしておいてよ、とお願いしていたのだ。
いやーーーーーーーー 控えめに言って最高でしょこの断面! 細かな霜降りが入っているが、麦類由来ではない。なんといってもサツマイモ多給なので、この豚、むちゃくちゃにおいしいのだ。脂質だけではなく、赤身の色味や味、そして食感がなんともいえないのですよ。
この肉を樋口くん、焼いてくれーってお願いしていたわけです。さてどう料理するのか!? まずは脂身に細かな切れ込みを入れ始めた!
「やまけんさん、脂をカリッと焼いて欲しいでしょ?」
うんうん、まさに!
Door!にはおあつらえ向きに、鉄板がしつらえてある!
「うちのおばあちゃんもママも飲食店やってて、お好み焼きを焼く鉄板が家にあったんですよ。だから、お店やるときも自然に鉄板を用意してました~」とのこと。
火加減は極低温! ゆったりと脂が染み出てくる。
樋口くんは金時豚のヒレ肉を一本買ってきており、これをたこ糸でキュッと4箇所程度縛る。
「ヒレ肉は不定形なので、こうしてたこ糸で縛ってあげると、丸い状態で綺麗に焼けるんですよ。」
と言って鉄板へ。
と、やんわり火を入れながら、香草のようなものをもちだし、、、あっこれはっ
なんと! 神山町の白桃くんが案内してくれた有機JASほ場のヨモギである!
「すっごいいい香りがしたので、このかおりをフィレにまとわせたいと思って。」
ヒレ肉はやや火が入りやすいこともあって、じんわり火を入れつつ転がしながら。
樋口方式は横の断面(横側)は焼かない。
「横の断面で、いま内部のどこまで火が入ってるかなっていうのをみるんですよ。ここを焼いちゃったら、中がどうなってるかわからなくなる。」
そうして、しばらくして火の通ったところでたこ糸をカット。ママが後ろからズーーーっと焼くところを観ていたのだが、「センセイ、すごいわぁ」とうっとりな感じ。
みよ、この断面から湯気が立ちのぼる絶妙なキュイッソン!
塩を振ったところに、なんと細かく刻んだヨモギの葉をトッピング!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
旨い!
最低限度の火力で火入れをしているので、グレーバンドと呼ばれる火が入りすぎた部分がゼロである。中心部は水分を湛えており、しかし完璧に肉の味わいが最大化される温度に達している!
柔らかく、そしてジューシーで、ヨモギの青く苦みある香りがやわやわな肉質を引き締める!
そして、肩ロースも鉄板の温度を上げて、仕上げの焼きに入っていく。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
能田君みたまえ、これがグランクラスの火入れだっ!
いやもうね、最高です。焼き目のうま味と香り、そして歯に吸い付いてくるような食感の筋繊維、放出されるうま味の総量が極めて大である! 肉汁にゼラチン質を感じるかのような濃い味わい。品種はWLDかLWDなので、言ってみればごく普通の三元交配豚なのに、バークシャー系の肉を食べている気がしてしまう。これは能田君が考え抜いた餌と飼養管理によるものだろう。
妻、まつじゅんの眼もハート! ブレててごめん。
いやー最高。そして曽谷さおり劇場に戻る。
徳島では誰もが造るという、醤油の実のような麹系の調味料。
もう白飯が食いたくなってくる!
そして順序がアレだけど、曽谷さんがなかよしの魚屋さんに特注してくれた、徳島近海の魚ばかりで構成した(ウニ除く)刺身が実にじつに最高!
鯛もキハダもカンパチも、身肉が〆っていて最高である。
徳島特有の甘醤油でいただいたが、これが乙。 そしてこれも徳島で獲れたハモ、ゆびきで。
「花ニラもおいしいので~」とつけてくれたのに、これはニンジン?ドレッシングをまぶしていただくと最高においしい! ハモと梅肉もいいけど、こんな楽しみ方もいい!
そして、溝口さんが手配してくれた絶品のサバ寿司。
もう、最高である、、、
ここで、我慢できなくなったのか、ママさんが店に置いてあった樋口くんの著書を持って来ながら、樋口くんにサインをおねだり(笑)
もしDoor!に飾られていたら、このシーンを思いだしてください(笑)
いちじくにみりんを塗って火を通したもの。コハク酸的うま味がスゴい!
そして、〆のご飯がなんと曽谷さおり風のかきまぜ!
すだち果汁にすこし穀物酢を混ぜた寿司酢でご飯を混ぜ、そこに金時豆の煮豆(もちろん甘い!)を混ぜ込んでスダチ皮をグラインド。
こいつが最っ高に旨い!
サバ寿司も旨かったが、こっちをおかわりしてしまった!
止め椀は、「そばごめ」の汁だ。
そばごめとは、皮を取りさった蕎麦の実を米に見立てて炊いた汁だ。
徳島も山間部が多く、祖谷(いや)地方などは米がとれにくい場所であった。そうした地域で食べられてきた伝統だ。
いやーーーーーーー 控えめに言って最高である。
徳島へ行くことがあって、接待とかを回避できるフリーな夜があるなら、数人で連れ立って曽谷さんの店を予約するといいと思う(ただし、営業日は限られています)。その時々においしい徳島の食材を食べさせてくれること間違いない。夜が無理でも、朝か昼のチャンスがあるよ。
曽谷ママ&さおりさん、そしてコーディネーターの溝口さん、ありがとうございました!