渋谷パルコ4Fという超絶の立地に、モダンタイ料理「チョンプー」があるのはご存じだろう。テレビなどでもひっぱりだこの森枝幹君の店だ。ちなみに下記過去記事にもあるように、森枝君のお父様は、食のフォトジャーナリストとして80年代のdancyuなどで大活躍をされていた森枝卓士先生である!
月刊専門料理8月号「やまけんが聞く!」は、僕が高校生の頃から貪るように読んでいた東南アジア料理本や記事を執筆されていた写真家・ジャーナリストの森枝卓士さん!場所はもちろん、息子である森枝幹くんが営む渋谷パルコ4F最高タイ料理「chompoo」! - やまけんの出張食い倒れ日記
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2020/07/30098.html
そんな森枝君から「いい親鳥ないですか?ブロイラーの肉だと味が無いので、もっと味の乗った鶏肉を使いたいんです」という相談を以前から受けていた。ご存じの通りブロイラーは50日以下(最近だと最短で47日くらいらしい)で4キロ程度に到達する、成長効率重視の品種が世界的なメーカーで開発され、それが全世界で使われる状況となっている。成長効率がよいということは、少ない餌でそれだけ育ってくれるということなので、SDGs的文脈からすればすばらしいことだ。
ただ、成長効率は味に関しての評価とは一致しない。というのも、成長期間の長さと鶏肉の旨みや味わいは比例するというのが実情だ。世の中がブロイラー一辺倒になってしまったらとても残念なことになる。
とはいっても、カオマンガイやガパオなどのタイ料理でいわゆる地鶏を使えるかというと、価格差が三倍以上になってしまうので、難しいところだろう。そういうこともあって廃鶏となる親鳥が注目されるのだが、廃鶏は肥育していないので、肉はバリバリに硬く、だいたいみんなが試した結果「無理でした!」となることが多いのだ。
ただ、そんな中で、十文字チキンカンパニーの十文字保雄社長から「うちで、ブロイラーのヒヨコを産む種鶏が相当数います。この種鶏の肉を、「熟レ鶏」と名づけて、佐助豚の久慈ファームが販売してくれているんですよ。」という情報をいただいた。
おおおおおお、なるほど、廃鶏としては採卵鶏の親鳥が知られるが、ブロイラーの親鳥もとても重要な候補なのだな。
ということで、この熟レ鶏を十文字さん経由で紹介していただいたところ、森枝君が「むちゃおいしいですよ熟レ鶏!」と。すでにお店の営業投入し、ガパオなどで使われているということで、十文字社長に声を掛けてご一緒したのである。
相変わらずお若い十文字さん。
森枝君も、気合い十分。この日はコース仕立てで、とにかく旨いもの出してよ、とお願い。
前菜盛り合わせだけで、究極的に旨い。
森枝君がこの店で表現したのは、一皿にドカン!とおかずを盛りまーすというスタイルではなくて、あたかも茶懐石?と思うような一口サイズの旨いもんが出てくること。
しかもその一つ一つが、やはり日本料理のようにしっかり味付けされているので、旨いったらありゃしない。
パイナップルのソテーにピリッと甘辛いソースを載せたやつ、目を見張ります。
トート・マン・クン旨し。むかし、タイでこれをオーダーすると、発音が悪いのか高頻度でトムヤムクンが出てきてしまっていたなぁ、、、
そしてだんだんとそぼろものが出てきます。酸味と魚醤の塩味の効いたヤムですね。
なんてことない料理にみえるのだけれども、口に入れるとその鮮烈な味と香りでやられます。
そしてこの店のシグネチャーディッシュ、ご飯のサラダことカオヤム。青いライスは、バタフライピーという青い花を煮だした色素で炊き込んでいる。
具材にイチゴや淡水魚であるマスの腹子を入れるあたりが面白い。
森枝君みずから混ぜ混ぜしてくれます。この、口上が大事なんだよね!
ワンダフルに美味しい!
おいしいものが、ちょびちょび出てくるこの感覚、最高だ。モダンタイ料理、まだ食べたことない人は行った方がいい。
さて、そんで熟レ鶏の出番です。
これは、熟レ鶏を叩いた肉にレモングラスや、アジア系カレーっぽい味付けにしたもの。広義のカレーといっていいでしょう。
こいつが激烈旨い!
ついこれをデカい皿一杯に食べたくなる、、、
そして、ちょっと色合いが違う、これが熟レ鶏ガパオだ!
存在感のある熟レ鶏の極粗ひき肉がぶりっぶりの食感で、旨みもしっかりあっておいしい!
ハイゴショウの葉っぱで甘いエビ味噌など具材を包んで食べるものもおいしい!
このあと、パッキーマオで〆!
ああ、タイに行きたいなあ、、、
デザートがまた秀逸、、、
バナナケーキが激烈おいしくて、単体で買って帰りたくなった。米粉ケーキでグルテンフリーです。
十文字社長のお口にも合った模様。いや、控えめに言って最高でした。ご馳走様でした!
日本は資源に乏しい国で、肥料や飼料を海外からの輸入に依存してしまっている。そんな状況で不景気、円安なのだから、国内にある資源を有効活用することは絶対的に必要だ。ということで、ブロイラーの親鳥である「熟レ鶏」は面白い試みであり、佳い肉だと考える!ぜひチョンプーに食べに行って下さい。