Z9+24-120mm Profoto A10 ※盛大にモアレが出ちゃいましたが、実際にはモアレ模様はありません。
「専門料理」と関わっていると、世相によって飲食店の形態が大きく変わる(変わらざるを得ない)局面によく出会う。コロナ禍もそうだ。この大きな災厄のなかで出た動きが、飲食店のワンオペ化の促進だろう。
いまや100席を超える大店はなかなか作れなくなった。そこを満たす努力をするよりも、潔く店を閉め、とても小さな物件にカウンター席(と、一つだけテーブル個室を設けるとか)をしつらえ、シェフ一人で切り盛りする。そんな店が如実に増えている。
ただ、ワンオペはこれまでの飲食オペレーションそのままではできない。ある程度高度化された厨房機器やキッチンツール群を導入し、予約は電話では極力取らずネット系サービスを利用、決済系はデバイスとタブレット端末を導入して現金を触らないなどの転換が必要だ。
本書は、そんなワンオペ飲食店を行ってきた先達が、どうやってそれを成立させたのかということが20店舗分、具体的に載っている本である。
内容はとてもとても具体的。例えばあるシェフの一日のタイムテーブルが載っていて、そのイベントごとにどんなことをしているのかということがわかる。
何をやるかというソフト面と、どんなツールを使うのかというハード面の双方が載っているので、気づかされることが多い。
この本は、専門料理に掲載されていた内容に、大幅に加筆・新たな店舗の取材を加えてできたものだ。かなりお得感のある本である。
本書をとりまとめたのは、専門料理の前編集長を務めた淀野さん。彼の編集長自体の専門料理も一時代を明確に築いた。料理人が読んでいる本特集とか、大好きだったな。これからもいい料理・飲食の本を生み出して下さい!
ということで、現代の飲食店のあり方を知りたい人にもお薦めです。