さて、高知県にシェフがやってくる! じつはこの産地ツアーは、昨年の前半に実施を想定していたのだが、緊急事態宣言によって延期となり、、、「もう、できないのかな!?」と思っていたイベントだった。でも高知県の畜産チームの想いは強く「なんとか今年度中にお呼びしたい!」ということになり、シェフ達に声を掛けると「もちろんいきますよ!」と。
昨年中は声を掛けていなかったシェフから「噂で聞いたんですけど、参加したいです」という声もあり、、、これはやるしかないな!と9名のシェフツアーを催行することにしたのである。
ごらんの通りのドピーカン! いちおう、晴れ男なんですよワタシ。今日は新潟取材なのに雨だけど(涙)。
ツアーはマイクロバス貸切でございます。
高知龍馬空港でお迎え。これまでは東京から僕も一緒に飛行機に乗ってくることが多かったけど、今回はお出迎えです。ここで「あれっ 一人いない!」ってことになると怖いんだけど、ちゃんと9名のシェフが到着しました!
さて、今回どんな料理人が集まったのかと言いますと、、、
超豪華ですよ!
アイウエオ順で紹介致しましょう。
まずはこの人。付き合いが長くなったなあ、、、
① 五十嵐大輔([銀座 奥田ご出身、昨年和食「香嵐」を銀座に開業)
イガちゃんといえば、「銀座 奥田」時代に、高知にこんなイベントで来てもらっていたのだ!
■土佐あかうしセミナー&赤肉サミットin高知2017開催! ビコローレ佐藤護シェフと銀座奥田の五十嵐料理長、スルラクセ山本たくみシェフと酒肴かもん亭伊藤優介さんの素晴らしい土佐あかうし料理が並ぶ!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2017/02/14249.html
そして、その五十嵐君の弟弟子にあたるのだろうか、銀座 小十をつい先日卒業された遠藤君!
② 遠藤光宏(先月、銀座小十をご卒業、春に横浜で独立予定)
奥田さん率いる小十の、パリ店などの海外店に派遣されていた実力派! じつは奥田さんに「こういうツアーをするんですが」とお話ししたところ、うーんとちょっと考えた奥田さん。
「わたしのようなものが行くよりも、これから新店を出す若い人間が行った方が、土佐あかうしのための広がりになると思うんです。うちを今度卒業する遠藤という者がいますので、声を掛けてみます。ちょっと天才肌の料理人です。本人にもいい経験になるでしょうし。」
と。なんか、素晴らしいよなあ。奥田さんはほんとうに、料理がおいしいということだけではなくて、その心遣いの清さ、深さを感じる、真の日本料理人だと思う。
その奥田さんのところで、高知県内で配付される土佐あかうし食べ歩きマップなる冊子の撮影をさせていただいたのだが、、、
すんばらしいのが出てきた!
これ、あかうしのサーロインをワラ焼き、味噌漬け焼き、カツ、ロース煮という4種の調理をし、ダイス状にカット。そこに、16種もの和の味をトッピングしたスペシャル料理だ!焼き目の香りが立つワラ焼きに、白味噌の香りがチーズのように芳ばしい味噌漬け、絶妙な火入れのあかうしカツ、そして醤油ダレで煮て味をしみこませたロース。噛みしめるたびに広がる土佐あかうしの奥深い滋味に加えて、わさび漬けや黄身ダレ、昆布佃煮などのトッピングで新しい味わいの世界が拡がる。
これ、頼めば出してもらえるんですか?
「本音を言うと、とても手間がかかるのでやりたくはありませんが、、、」
という、一期一会の料理である。この皿を作るときに、遠藤君が駆けつけてくれていたのである。奥田さんありがとう!
さて、日本料理が二人続いて、お次はイタリアン!
③ 大下龍一(春日「シチリア屋」で高知のベルガモットを使ったパスタが大好評!)
大下さんと「シチリア屋」といえば、フィノッキオ団子である!
■ウニのパスタに牛肉のピッツァイヨーロ!活きのいいシチリア料理を存分に堪能する。青果物流通研究会の懇親会をゴージャスにシチリア屋で開催!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2018/12/29728.html
そんで、なぜに高知? じつは、、、弊社で働いてくれていた柿本が、高知で出会ったスタジオオカムラさんのベルガモットをシチリア屋に持ち込んだところ「これ、素晴らしい!」ということになって、シチリア屋の名物「ベルガモットのパスタ」が生まれたんですな。昨年中にシチリア屋に行ったところ「高知に行く機会があればぜひ」と言っていただいていたので、お声がけしたのである。
さあそして、フレンチといえばこの人。
④ 進藤佳明(白金「ラリューム」を率いています。ロブション出身のRyuzu飯塚シェフの弟分!)
■今年オープンした佳い店、フレンチがしっとり似合う白金で新たな夢に向かって突き進む進藤君の「ラリューム」は、日本人が好きなフレンチのど真ん中!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2018/12/29747.html
トンネルの中だったからちょっと暗い写真になっちゃってゴメン進藤君!
巨体ですが、心と技術は精細。びっくりしちゃうほどにデリケートで感動的な料理が出てきます。
さて今回はもう一人のイタリアン、、、というか、高知とあかうしシーンはもうこの人に何度もお世話になっています。
⑤ 高山いさ己(カルネヤ、シシニボタンなど主宰、ステーキ店「NASQUILLO」が話題)
この人と土佐あかうしといえばやっぱりこれだよなあ。
■4人のシェフが高知で土佐あかうしを料理した、、、家畜市場のセリ見学の後、シェフ達は高知食材とこうやって向き合ったのだ! 前編
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2012/02/2469.html
これ、2012年のことか!もう10年前かよ、、、4人のシェフを連れて行って産地を視察するだけではなく「あかうしを使ってなんか造って下さいよ」という無茶振りな企画。この時、高知が誇るニンニクぬた味噌を高山君が「へーそれおもしろそう」と作ろうとして、慣れないすりこぎをつかうのをみた土佐のお母ちゃんが「みてられん!」とすりこぎ棒を奪い取り、「こうやるんじゃ!」と模範演技。「いやあ、こうやるのかぁ、ってみとれちゃいましたよね~」と笑う高山君!最高の瞬間でした。
そして、歴史は繰りかえすのです(笑)お楽しみは次のエントリで。
さて、お次はいま最もおもしろい分野かもしれない、イノベーティブ!
⑥ 長屋英章(話題の渋谷宮下公園最上階にイノベーティブ「SOAK」をご開業)
長屋さんは、食材に微弱電磁波をあてて、熟成を促進する「エイジングブースター」の会に参加してくれた人だ。「この装置、いいです!」と感動してくれ、使ってくれているシェフの一人だ。その料理の面白さには定評がある。切り込み隊長ですな!
そして、、、この方をお迎えできて本当に嬉しい。
⑦ 松田美智子(料理研究家・料理道具プロデュース、クロワッサンなど連載・ご著書多数)
松田美智子先生だ!
「クロワッサン」の連載、読んでますか? 暮らしを豊かにするヒント一杯。
今回は、「土鍋でお肉を焼いたら美味しいのよ!」と、事前に土鍋を送っていただいている!すっげー楽しみなのである。
そして、スター登場!
⑧ 米澤文雄(TheBurnを昨年末にご卒業、肉グリル&ヴィーガン料理のエキスパート)
青山のThe burnを昨年で卒業して、いまはプロデュースなど各方面で奔走中!いい機会なので声を掛けたら「ぜひ!」とのことで、タイミングよかった!!!
そして今回の台風の目!
⑨ 渡辺幸樹(京都の大人気中華・「大鵬」若旦那、短角牛の稀少部位を使う中華炸裂)
そう、あの中華「大鵬」の渡辺君だ!
■京都で中華は街中で気軽に行けるのにハイレベルな大鵬に限る! なぜか京都で久慈市山形町・カッキーの短角牛に舌鼓を打つ!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2020/09/30124.html
今回、彼がマジでいろんな台風を巻き起こしていた、、、(笑)
さて、今回の大テーマは産地視察だけど、もちろんそれだけじゃ終わらない。
「視察した農場のあかうしの肉を用意するので、各自で料理をして下さい!」という、またもやの無茶振り!
肉以外の食材を調達しに、直売施設「とさのさと」へ!
高知市内にある「とさのさと」は巨大な産直施設で、野菜・果物や米といった農産品に加えて肉・魚までギッチリ並ぶ。
ここで、自分の料理に必要なもの、必要は無いけど、これ気になるなぁというものなどなどを買っていきましょうという企画。
大下シェフ、パスタに使う柚子酢(果汁)を。
高知では、柚子酢といっても「実生の柚子を絞ったもの」とか「樹齢●●年の古樹から絞ったもの」とかいちいち色んなのが並んでいる!
「どれ選んだらいいんですか、、、」と大下さん(笑)
そんな、食欲に走る野郎どもと一線を画すのが、松田美智子先生!
「この花、きれいでしょ? 今晩の食卓に飾ろうと思って」
そんなこと言う料理人、これまでいませんでしたよ~! 素敵!!!
そして、ここで土佐ジローのたまご生産者である池上ちかちゃんがたまごを持って駆けつけてくれた!
ちなみに山盛りの食材や花を買って、会計は1万5千円程度。安っ! いつも思うが、直売施設だから安くないといけないってことじゃないんだからね、ちゃんと生産者も再生産可能な価格で出してね、、、
昼は、このとさのさとの横にあるレストランエリアの「西村食堂」にて。
最近、高知に行くたび、昼飯食べに行く食堂です。だって刺身の鮮度がすげーんだもん。
ここに、ミョウガ生産者の谷さん登場!
あのね、いままだ綺麗にピンクになってる実が無くて申し訳ないんだけど、とれたてのを持って来ましたから!」と!
みんな、まだ緑色混じるミョウガに興味津々「こんななんですね、、、」しかも、ミョウガの流通によっては、収穫から1週間も経ったものが料理人の手に渡っていること。鮮度のいいミョウガの香りはむちゃくちゃイイことなどを学んだのでありました。
そうこうしているうちにみなさんのご飯到着!
一本釣りのアジ刺し、最高の鮮度でクニョクニョ食感!これが喰いたかったぁ!
そんでバスは一路、檮原(ゆすはら)を目指します。
途中、工事の関係で20分ほど通行止め。仕方ないのでみんなで河原散策!
いい感じ!
この写真に高山君だけいないんだけど、それは彼が花を摘みに(あ、男性はそう言わないのか)行っていたからです、、、
さあ、そして津野山畜産公社につきました!
津野山畜産公社は、このエントリに書いた、柿衛門くんの故郷です!
■このたび土佐あかうし「柿衛門」くんのオーナーになりました。高知県の四国カルストに放ち、地域資源を可能な限り食べさせた土佐あかうしになっていただきます!その環境をぜひ観てください。
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2019/03/29793.html
まずは、家畜伝染病などを防ぐために、防護服に着替えます。
こういうの初めての人もいる! でも、料理人こそ、こういう現場に来て、畜産がこういった管理をしっかりしないといけない現場だってことを識るべきなんだよね。
役場の川村さん、佐竹場長らからご挨拶と説明。
ぴっちぴちの子牛ちゃんたちがシェフ達を迎えまーす!
「わああああああああああ かわいい、、、」とみな揃って嘆息。
おんなのこは「ゆいぽん」や「うえの」、「うた」と可愛い名前の子ばかり!
じつは、津野山畜産公社では、僕がお願いした柿衛門のように、外部から出資してもらってのオーナー制度的なものに関心をもっている。まずは料理人などプロを対象にだが、共同所有などしてもらって、四国カルストの放牧と、粗飼料中心の給餌による赤身あかうしを育てていくということができないか?ということだ。
みなさん、ぜひ共同で2頭くらい持ちませんか?
生まれたての仔牛の保育舎へ。
ああ、懐かしいなあ、ここで柿衛門と会ったんだった。
そして、繁殖牛のいるところへ行くと!
「やまけんさん、一番右にいるのが、人を背中に乗せてくれたやよいちゃんですよ」
ああああああああああああああああああああああああああああああああ
柿衛門のお母さんじゃないか! 言いにくいけど、柿衛門をおいしくいただいたよ。ありがとうね。
みな、大満足、、、ほんとうなら、四国カルストの大放牧場もみて欲しかったのだけど、まだ雪が溶けきっていないので、通行止めなのでした、残念!
さあて、お次は料理人たちが魅せてくれる番だ、、、
檮原町役場の調理室へ会場を移して、この人たちが腕前を披露してくれるのである!
次回、乞うご期待!