横浜でイタリアンといえば、横浜駅のそごう側、郵便局前にでて、崎陽軒を横に見ながらしばし歩いたところにヒョコッと出てくる名店・ビコローレヨコハマである。
名店を渡り歩いてこのビコローレヨコハマを出店、料理専門出版社の編集者が熱い視線を注ぐ佐藤護シェフと敏腕マダムの清美さんのコンビが開店以来の人気を保ち続け、いや進化し続けている。
その清美マダムが「シェフが、柿衛門君のお肉で何か仕込んでみたいと言っているので、ウチモモを分けて下さい」と連絡をくれたのは、僕が愛媛県で交通事故に遭って入院している時だ。いまだから書くけれども、あの時期、頭も打って足も折って、入院中でなにごともままならない時、それでも柿衛門君のお肉はと畜され、販売してしまわなければならない刻限が近づいてくる。生ものですからね、、、高知の三谷ミートからも心配そうに「そろそろ売った方がいいけど、どうしますか?」と連絡が来る。そうした焦りは出さずにさらっと販売開始した感じにしたけれども、、、
そんな中で、10kg単位の肉を購入してくれたビコローレには本当に感謝。このウチモモという部位は難しいから、、、昔はユッケ用部位として愛されていたけれども、ユッケ提供が難しくなり、余る部位になってしまった。アッサリした赤身で美味しいけれども、ステーキなどにはアッサリしすぎていて向かないからだ。
そのウチモモを、いったいどうするだろうかと思っていたが、その解答が明らかになった!
「シェフが柿衛門君のウチモモをブレザオラにしましたよ!ちょっとお届けしますね」
と清美さんから連絡があったのだ。ブレザオラ! イタリア北部でつくられてきた牛肉を生ハムのようにしたものだ。一年間以上ねかせて美味しくする生ハムとは違い、ブレザオラはそこまで長く熟成させない。というより、豚に比べ肥育期間が倍以上あることで、最初からうま味も濃いからだと思う。イタリア北部ということで、キアニナとかファッソーナとかの牛が思い起こされるが、以前、衝撃的な話しを聞いたことがある。ある輸入商社の方からの話しなのだが「いま、イタリア産のブレザオラには、イタリアで肥育された牛ではなくて、●●●●から輸入された牛肉を原材料にしていることが多いんです。あそこから来る肉は真っ赤っかですからね、まあブレザオラに合うといえば合うんですが、、、」その輸入商社の方が扱っているのは、完璧なイタリア産の牛を使っているので美味しいということで、実際に素晴らしいおいしさだった。
さて、そんなブレザオラを佐藤シェフが自分で仕込んだというのだから、楽しみではないか~!
ということで、清美さんから届いたセット。
ブラ竿らは画面中央下、ビコローレのシールが貼ってある棒状のものだ。それだけではなく、なんと、僕の大好物であるパンフォルテのラグー、バジリコ風味のポモドーロソース、そしてグルテンアレルギーの妻のためにと、むちゃくちゃ美味しいグルテンフリーパスタ! グラッツェ!
さっそく、ブレザオラをスライス。可能な限り薄く切った方が美味しいのは生ハムと同じ!だけど包丁ではなかなか難しいが、、、ちなみにビコローレでは実に高機能な生ハムスライサーがあるので、最高に美味しく味わえる薄さでスライスしてくれるはずだ。
ごらんの通り真っ赤nanakaに一条、二条ほどのサシが入っている。柿衛門の肉は粗飼料多給なのにきっちりサシが入り、しかもその脂質が素晴らしい!と評価をいただいている。
たまらず口に運ぶと、、、これがですね、マジで旨い!
生ハム特有のしっとりした、吸い付くようなテクスチャ。そしてカットしている最中からただよってくるなんともうまそうな香り、、、洋酒、シェリーとかに漬けているのかな?と思ってしまうような複雑に旨そうな香りが湛えられているのだ。噛み込むと、塩味と共に肉のアミノ酸が、おそらく熟成前の何倍にも膨れあがって味蕾を刺激してくる! 脳にはあふれんばかりのうま味信号が去来!!!
いや、素晴らしいです、、、柿衛門君のお肉のおいしさを最大限に引き出してくれていることに感謝! このあと、丼いっぱいのサラダにいっぱいスライスを載せていただきました。
そして、、、
二種の最高なパスタソースで、グルテンフリーパスタをいただきましたよーん
パンフォルテの甘い香りがするラグー、最高です。そしてポモドーロのソースもさすが佐藤シェフ、誰にも出せないプロの味わい!
妻と共に目を見張らせながらいただきました。佐藤シェフ、清美マダム、柿衛門君をおいしく料理していただいて、本当にありがとうございました。
土佐あかうし柿衛門君のブレザオラ、年内早めにビコローレに行けば、味わうことができると思います。ぜひ足をお運びください!