はい、雑誌「専門料理」7月号発売です。表紙をみておわかりのとおり、いつもの食材や料理どばーん!というのではなく、抽象画のようにも見える炎のきらめき。いいですねえ、こんなかんじも。数々のシェフの代表作とそのプレゼンテーションの理が説かれています。
おっと、いま検索したら、とうとう専門料理もKindle版がでているんですな。
まあ、紙があるうちは紙で読んだ方がいい気もするのですが、いちどデジタルのKindle版で、最高峰の料理写真がどう表現されるのかみてみたいものだな、、、
というのはおいといて、私の連載「やまけんが聞く!!」では、北海道大学で文化人類学の教鞭を執る山口未花子さんが登場。
実はですね、、、彼女は私の母校である自由の森学園高校の後輩なんですよ。しかも在籍年がかなり近く、ほぼ人間関係がわかる感じ。
立派に成られて、、、という感慨です。
ごぞんじのとおり私も北大に昨年まで通っていたのでありますが、ここ農学院棟からはやや歩いたところに、彼女が研究室を持つ棟があります。
いいねえ、入るなり絨毯が敷いてあって、靴脱いであがる感じです。
未花子さんは、子供の頃から動物が大好きで大好きでしかたなくて、自分は動物のこと場を解せると信じていた人。自由の森学園では周囲の森で動物やその骨などを採取しまくり、高校を出た後は動物生態学を学ぶため、関西の大学へ。そこからいろいろと変転があります。その辺はぜひインタビューをお読み下さい。
そして、なんといっても彼女がすごいのは、文化人類学の研究フィールドとして、カナダの先住民族であるカスカの集落に入り、古老に猟師になりたいと嘆願し、聞き入れてもらい、弟子入りしたこと。
カスカの猟師たちが獲るの獲物はさまざまだけど、もっとも好まれ大事にされるのがヘラジカ。肥育した牛くらいの大きさになる巨大なヘラジカと人との関係性が、とても興味深い。その価値観は日本人がもっている動物観とはまったく違うのだ。
その辺は彼女の著書である『ヘラジカの贈り物」に詳しい。これがまた面白い本で、文化人類学的視点からカスカと自然、動物との関係を読み解く部分も面白いし、ヘラジカだけではなくトナカイやビーバー、マスクラットといった動物をどう獲るのか?というティップス集にもなっているので、猟に興味を持つ人が読んでも面白い。専門的知識がなくても読めてしまう平易な文章で、しかもこの中に出てくる未花子さん手書きのイラストが素晴らしい。
ちなみに、取材撮影はギョウジャニンニク獲りに行きながらという変則的な環境で行いました。というのも、ほんとうは猟をみられたらよかったのだけれども、猟期は冬の間だし、また足手まといになるに決まっているし。ということで、山菜採りをしながら。
この森でギョウジャニンニクを獲らせていただきました。
夫の匠(しょう)君と、娘のかなたちゃんと一緒に。ちなみに夫の匠君はまったく猟とかやる人ではありません(笑)
山エキスパートの未花子さんに続いて山に入ります。ちなみに僕はレンズ4本入れたカメラザックを背負い、Z6をピークデザインのキャプチャーで胸元につけての装備。画面左側を観ると、斜面のシビアさがわかっていただけるでしょうか。ここからさらにすごいことになっていきます。
4月、あちこちにギョウジャニンニクが顔を出している季節。といっても、「今年は早いよ」とみんなが言っていましたね。
僕も夢中になってギョウジャニンニクを獲っていて、気づいたら彼女の姿が見えない、、、と思ったら。
もう、どうやってもそこまでは登れねーよ! ていうところで一心不乱に山菜を採る未花子さん。俺なんかホント、なんどか命の危険を感じました。
さて、山菜採りを終えて、いよいよ未花子さんが獲った獣のお肉をいただきます。
メインは昨年中に獲って冷凍してあるエゾジカ。よくあるブロックで無造作に冷凍するのではなく、何日か熟成をしたうえで、一口大にカットして真空にかけて冷凍している。
右上のベーコンみたいなブロック肉は、西表島のイノシシ。例の、地元の人達は刺身で食べちゃうっていうアレです。未花子さんは西表島のイノシシ猟の調査もしているのです。
さて、この鹿肉なんですけどね、、、 正直に言いますよ。ぼく、鹿肉は「悪くはないけど、あんまり個性のない肉」と思ってます。「えっ きょう鹿肉があるの?わーーい!」という感じではないんです。出てきたら食べますけど、、、
なので、「うん、エゾジカね」とおもいながら食べました。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
むちゃくちゃ旨い!
エレゾ佐々木章太君のエゾジカとか食べて来ているので、たいがいのことでは驚かないよ、と思っていたのだけれども、この鹿肉とても深い味わいがあって、しかも香りが、芳香がすばらしく、とにかく「個性のない肉」なんて思っていた自分を恥じてしまう!
しかも、ロースやモモだけではなく、タンもあり、またハツも焼いてくれ、、、
どれもこれも、食感や味わい、香りが違ってとても美味しい!
いやー参りました。
終盤に感動しちゃったのが、バイブル。は?バイブル?と思うかもしれないけど、これはカナダの先住民族カスカのひとたちが、ある内臓部位を指してそう呼ぶのです。その理由はぜひインタビューをお読み下さい。
こいつがまた美味しいのなんの、、、いや、エゾジカの魅力を完全に見誤っていた。
ご家族の大切な時間を僕に分けてくれてどうもありがとう!
ということで、今回の「やまけんが聞く!!」も面白いですよ。ぜひご覧下さい。