ニンジンは一年中出回るが、本来の収穫が最も多いのは秋冬。そして、寒さと霜に当たるこの時期のニンジンは甘さが増し、とても美味しいものだ。個人的には一年通じていまがもっとも美味しい時期だと思う。
その甘くて美味しい冬にんじんがドカンと10k箱で届いた。
このにんじんは、「へきなん美人」というブランド名がついている。その名の通り愛知県の碧南市一帯でとれるニンジンなのだ。「美人」という名前はもちろん、姿形が美しいという意味が込められているそうだ。現在、JAあいち中央という碧南地区を管轄とする農協が音頭をとって生産されている。
ちなみにこのへきなん美人となるにんじんの品種は、一般的な向陽二号ではない。「碧南鮮紅5寸人参」という愛知県の伝統野菜をベースに、他品種を掛け合わせて作出された品種だという。
ちなみに、ベースとなっている碧南鮮紅五寸は大正時代にはすでに栽培されていたそうで、碧南市の砂質土壌に適した品種になっているそうだ。県内各地で生産されていたこの品種のうち、優良な個体を集めて母本として選抜・育種されたものだそうで、県としても大切にしている品種なのだという。
美味しそうなにんじんが届いたら、生のままスティックでポリポリと食べもするが、僕は必ず塩きんぴらを作ることにしている。
作り方は簡単、細く切ったニンジンを、できるだけ香りのない油(多め)で炒める。味付けは塩だけだ。
にんじんがしんなりとし表面に焼き色がついて、油の色がオレンジ色に変わったあたりでできあがり。
このへきなん美人のきんぴらを食べてびっくり、なんと甘いことか!!! 金時ニンジンで作るように甘やかで、香りがすばらしい。ちょっとびっくりしてしまった。
JAあいち中央のにんじんはいま各所に出荷されており、市場で取引されているが、へきなん美人を指名買いできるかどうかはわからない。先日、事務所に来た大田市場の仲卸の友人に食べさせたところ「甘いっ!すごいねこれ。JAあいち中央のにんじんは買ってるけど、こんなの識らなかったよ」とのこと。もっと宣伝した方がいいなあ。
ということで、碧南市産のにんじんが売っていたら買いですよ。
そうそう、JAあいち中央の広報誌ACTには、僕が連載を書いています。お時間あったらぜひお読みくださいね。