ちょっと先の専門料理3月号に掲載される予定の、月の井酒造店の杜氏・石川達也へのインタビュー。その前哨戦として、対談では載ることのない内容と、石川達也の酒造りを理解するための参考になる写真のみアップしていきます。
まずは蔵人のみなさんと挨拶。画面真ん中の階段を上がったところが共同の大部屋で、その片隅でタツヤンが寝ている場所。蔵人は基本、造りの最中はこの蔵に寝泊まりしており、外へ出ることはほぼない。杜氏以外の寝泊まりには別室が用意されている。
僕が外から来ているのでマスクを着用しているが、基本的に蔵人は外部とは遮断されている、もしくは入ってくる人は最大限に外からウイルスなどを持ち込まないように洗浄などを行うシステムになっている。この後の写真にはマスクをはずしている状況が多いが、それはそういうことだとご理解いただきたい。
現在、常時蔵で働くのは4名。下写真は右が山田さん、左が塚崎さん。このお二人はもとから月の井で働いていた蔵人だ。上の写真左の岩淵さんは荻窪にある日本酒居酒屋での仕事を生業にしながら、竹鶴酒造時代の石川達也のもとで、造りの時期だけ東京から参加していた方。ここ月の井でも、生酛づくりの経験を買われて、造りの期間働いているそうだ。
タツヤンの左に中国新聞、あ、これは日本の中国地方のローカル紙ね、で「この人」欄に載った記事がパネルになっている(笑)
この蔵に来ることになってまず、仕事をしやすいようにさまざまなハードウェア面での大改造をしたそうだ。
このどでかいタンクはもともと中にあったそうだが、これを苦労してここに据え付け、先米時に大量に使う水をまかなっている。
タツヤンが立っているスペース、じつは建物がここまで来ていたらしいが、それをぜんぶとっぱらって、洗い場・作業場に。
彼が指し示している灰色の箱状のタンクは、もともと違う用途のものだったそうだが、いまは内部に蒸気が引かれて、水を80度に温める給湯器のような役割をさせている。効率アップのためのさまざまな工夫がなされているのだった。
大切な大切な、麹室。
ここでも、昔ながらの麹蓋(こうじぶた)での製菊を導入したりと石川改革が始まっていた。
お米を蒸す甑(こしき)は大サイズと小サイズ。
もろみを仕込んだタンクが並ぶ、蔵の一階。
その横には、できた酒をねかせておくスペースが。
石川達也が新たな杜氏になったことで、酒の味はまったく違う方向へ変わる。そうすると、これまでの月の井ファンの人達は「あれっ?」と思ってしまうことになる。そこで、3つある銘柄のうち、一つはこれまでの路線の造りを続け、若き専務が中心になって仕込むのだそうだ。これはそのもろみ。
とてもよい香りがしていた!
さて、順番が逆になったが、酒造りの重要なポイントである酒母づくりの現場へ。
二階に上がると立派な梁で組み上げられた建築がみえてきた!
このフロアで酒母(しゅぼ)が醸されている。
この時仕込まれていたのが、協会10号酵母を使った速醸酛。
「えっ タツヤン、10号酵母なんて使ったことあったっけ?」
と尋ねるとニヤリとして
「いや、初めてなんだよ、、、それも楽しみでさ」
と!
その風貌から酒ゴジラと呼ばれる石川達也だが、じつはとても繊細にして整頓好き・掃除好き。道具類はすべてきっちり揃えてきれいにおかれている。
「よい酒の造りに欠かせないのは、一に掃除、二に掃除だね。」
つかう手ぬぐいも、それぞれの酵母ごと、また作業タイミングごとに分けられている。
酛のタンクがこんなに上にあると、下に持っていくのが大変だねと言うとタツヤン、やおらかがんでガムテープの目印のついたところをバリッと。
「何カ所かが下に抜けてて、ここからホースで下のタンクに酒母を下ろすようになってるんだよ」と。
さて、つぎはいよいよ、石川達也と言えば、、、の生酛造りの工程を可能な限りお見せする。