やまけんの出張食い倒れ日記

日々、牛肉の食べ比べをしています。それと、ここのところの牛肉事情について。

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相変わらず、さまざまな牛肉と関わっています。こちらは同じ品種の牛を、餌を変えて育てたものの内モモ肉。

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バターでアロゼしながら火入れ。

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片方は肉質が締まっており、水分が多い。

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もう片方は水分がそれほど残らず(バサバサということではない)、最初から繊維がほぐれた感じでやわらかくサックリかみ切れる。

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うま味も非常につよく、味としてはこちらのほうがポジティブ評価が多いものと思う。ただし焼き上げるのに技術が無いと、バサッと仕上がってしまうかもしれない。

そして、こちらはまた別の日、別の産地の商品開発の試食。

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SIGMA fp+105mmf2.8Macro

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この赤みがきちんと残っていることが大事。すばらしい。

最後は、いわて短角牛でうりにくい部位といわれるバラ肉をどうにかこうにかおいしくするプロジェクトで手伝ってくれているThe Burn米澤シェフ。

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手前は短角牛のバラスライスを甘辛くてスモーキーなBBQソースに絡めたのをたっぷりごはんにのせた、フィリーズチーズステーキ丼。

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牛バラ焼肉丼ぶりのアメリカ版という感じで、完成版にはチーズまで乗るリッチさ加減。

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これが嫌いな人はまずいないだろう!

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こちらは米澤くんお得意のコーンビーフ!

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コイツをパンに挟んでスライダーとして出してくれる予定。そう、この二品、年明けにきっちり店頭で食べられますので、みんなで食べに行きましょう!

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最近、いろんな雑誌で採り上げられるようになり、店で鍋を振るだけではなくさまざまな活動をしていることがフィーチャーされている米澤くんだが、ひっぱりだこになても全然かわらない。

「いや、なんか人によっては、『アイツ、最近お金に走っちゃってるよっ』て言われてるみたいです」

いやいやいや イベントに関わったり、雑誌の記事に出たりしたって、そんなにお金にならないってことは料理人ならみんなわかってることでしょ!?

シェフが社会を佳くする活動に関わりを持つというのは、欧米では当たり前のこと。米澤くんはアメリカで修業をしていたから、その感覚が身についている。だから彼は日本でも知名度が高くない時代からそうした活動に携わってきた。そこにようやく光が当たったことに対してやっかむ暇があったら、自分もやるべきだ。

あ、ちなみに誤解なきよう言っておくと米ちゃんはお金のソロバン感覚もすさまじく磨かれているけどね(笑)


さて、いま牛肉がどんな状況になっているか。牛肉は今、かなり余っています。暫く前まで、インバウンドと輸出ができなくなったことで牛肉、とくに和牛肉が売れず、冷凍倉庫がパンパンになっていて、業界全体が悲鳴を上げていた。

ところがいま、牛肉の市場はかなり高止まり。いったいなんでだ!?

あまり一般の人は知らないだろうが、冷凍在庫になった牛肉を動かすため、国は莫大な補助金を出して販売奨励をしている。冷凍倉庫代、物流費、そして販売したらキロあたりいくらという形で奨励金が出ているのだ。昨今、等級の高い和牛肉が、これまでより安価にスーパーに並んだり、また飲食店で食べられるようになっているのを見かけると思うが、その奨励金の存在がそうさせている。つまり和牛に関してもGo Toと同じようなことがなされている。

ところが、この奨励金は冷凍してしばらく置かれた肉を動かすことでその対象となる。するとどうなるかというと、全国の大手食肉業者が奨励金をもらうべくせっせと肉を冷凍する。その方が儲かるんです。

いっぽう、外食が不振とはいうものの、冷凍ではなくチルドの肉を必要とするニーズは当然ある。ところが先のとおり、みんな冷凍にまわしてしまうせいで、生で流通すべき肉が足りなくなる。需要があるのに供給が減ったら、価格は高くなる。ということで、このところの牛肉相場は高どまりしていたわけだ。おかしな話である。

ただ、今後の長期展望を考えると、こんなのは長続きしないだろうと思う。

こんどしっかり書くつもりだが、トウモロコシをはじめとする飼料穀物はこれからどんどん高くなっていくことが確実視されている。中国が飼料穀物について純輸入国化し、アメリカ産のコーンを猛烈な勢いで買っているからだ。日本はこれから相手にされなくなってくる可能性がある。

またこのブログでもアニマルウェルフェアの観点から、日本の畜産に対して世界から厳しい眼が向けられていると言ってきたけれども、それがいよいよ本格化してきつつある。アニマルウェルフェアの問題はたんに「動物に優しく」という程度の話しではない。いまコロナ禍が問題視されているけれども、伝染病の背景には抗生物質等が効かない耐性菌の問題があり、その耐性菌の発生源は畜産でもある可能性が指摘されている。解決の方向性としてのアニマルウェルフェア議論がされれば、日本の畜産はかなり抜本的な改善を必要とするだろう。

そんな時代の変わり目、畜産の変わり目、牛肉の変わり目を実感する。だからこそ、こんごあるべき牛肉の姿を考える必要があるのだ。

ということを、日々考えています。