サトイモはインド東部からマレーシアにかけての東南アジアが原産のタロイモの仲間だ。日本への伝来は不明だが平安時代の「和名抄」にはすでにサトイモの記述があり、食べられていたことがわかっている。日本で古くから食べれてきたイモにはヤマノイモがある。ヤマノイモは通常、山で野生環境で採れるもので、いっぽうサトイモは平地の畑で育てるものだったので対比的な名前となったとされている。ジャガイモやサツマイモが日本に入ってきたのはそのずーっと後だから、日本のイモと言えばサトイモだったとも言える。
このサトイモ、全国で栽培されているけれども、東京都の小金井市にとても美味しいサトイモを栽培する名人がいる。小金井市の阪本吉五郎さん圭一さんの親子だ。
阪本農園はなんと350年続き、圭一さんで7代目。江戸幕府が成立し、飲料水のための玉川上水ができた頃にこの地に移住し、畑を開墾したという記録が残っているそうだ。
ここ40年ほどは、有機農産物や無添加食品を販売する専門流通団体、というか大地を守る会に出荷する生産者として、化学合成農薬や化学肥料を使用しない野菜生産を手がけておられる。
ラジオでサトイモについて話すため、有機和食 山藤の梅さんに連れて行ってもらい、先月サトイモ畑にお邪魔してきた。
阪本吉五郎(きちごろう)さんはなんと御年89歳!。
西東京で軟白ウド栽培の中心的人物として活躍してきた方でもある。今度、ウド栽培も見せていただこうっと。
その息子の啓一さんとは、有機和食 山藤にて何度もお会いしているが、圃場にうかがうのは初めてだ。
心強いことに息子さんだちが立ち働いていた。後継者問題はとりあえずクリア!
東京都内だから、まわりは住宅地!そのなかにぽっかり1ヘクタールの農場がある。
ハウスの中ではみず菜やルッコラ、スイスチャードにコマツナなどの葉物類。露地には大根やキャベツにブロッコリーなど。
そして栗にイチジク、ぎんなんを成らすイチョウやユズにレモンなどの果樹までたくさん植わっている。
その端の方に、坂本さんが大切にしているサトイモ畑がある。
植えているのは全国的に栽培されている土垂(どだれ)。毎年自分で収穫した芋を種芋に保存しているが、何代かとりつづけるとウイルスなどがついてしまうことがあるので、定期的に種芋を更新している。
サトイモは地上部がまた2メートルほどになっているが、それを鎌でスパンと切る。
そこを四またに分かれたクワで畝(うね)の周りから掘って、根本をテコの原理でえいやっと掘り上げると、泥のついた大きな塊が掘り出されるのだ。
吉五郎さんが孫に堀りかた指導。
孫その二も登場、アメフト部出身のガタイです。
掘り出したサトイモは、真ん中の親芋に小芋と孫芋とよばれる新しい芋がついている塊の状態。これをパキパキと手でバラしていく。
それをドラム式の洗浄機にいれて洗う。
最後にイモの選別をして出荷準備完了だ。
ちなみに、阪本農園の水はもちろん井戸水!水質は軟水で、口に含むと甘く透き通った味だ!
お茶をいただきながら話していて笑っちゃったのだけれども、啓一さんは大のカメラ好き、そしてメカ好き。
「ぼくも一眼レフで撮ってましたよ、最近はぜんぜんだけどね。それよりドローンで空撮するのが面白そうで」
と言っていた! すげーーーーーー
ちなみにサトイモ畑の横には、見慣れぬ植物が。
じつはこれこそウドなのである。今年度のウドの苗木を採る種ウドなのだ。いやー貴重なモノを見せていただいた。
東京にも、まだこんな素敵な農園が残っています。坂本農園のみなさん、どうもありがとうございました!
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ちなみに撮影はニコン Z6に70-200mmf2.8と50mmF1.8。特にサトイモ畑はほぼ70-200mm。大満足の仕上がりとなりました。