所沢の西武デパートで10月27日~11月2日まで開催される催事に、僕がとてもお世話になっている放牧豚の生産者である秦(はた)先生が上京し、説明と販売を行う。豚肉好きの方はぜひ足を運んでいただきたい。
なぜ秦「先生」と呼ぶかというと、、、秦さんと出会ったのは2009年のこのエントリの時。
■畜産システム研究会の会場となったのは北大の静内キャンパス。なんと470haもの敷地内は、動物ワンダーランドだったのである! 肉牛のヘレフォード種と短角種、そして本物の道産子・馬を観た!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/1696.html
そう、この頃の秦先生は北海道大学の静内牧場を預かる教授だったのだ。以降、大変に親しくさせていただいているのだが、その秦先生があるとき「おれ、大学をやめて養豚をやろうと思ってね。いままで学生を教えてきたけど、自分で家畜を飼って生きてみないとな」と。マジでびっくりしましたね、あの時は。
じつを言うと、僕が北海道大学の博士課程で学ぶことができたのは秦先生のおかげだ。
「やまけん、いまは体力があって出張三昧でも大丈夫だろうけど、そんな生活、永く続かないよ。学位を取って、教える側に来たらいいんじゃないか?」
と、北大の農業経済学の研究室のなかで、日本でも珍しい協同組合論を主軸とする坂下研究室を紹介していただいたのだ。秦先生に会っていなかったら、博士号をとることはかなわなかったろう。
そういうわけなので、秦先生の豚肉を売るお手伝いはなにがなんでもしなくてはならないと思っている。
まあ、しかしですね、それはそんなに苦ではない。だって、秦先生がやっておられる養豚はとっても佳いものだから。
十勝の忠類(ちゅうるい)村という自然豊かな地域で、放牧で豚を育てているのだ。写真ではバークシャー(黒豚)だけど、最近は白豚中心。これからは掛け合わせをまたいろいろと変えていくとおっしゃられていたので楽しみだ。
放牧された豚たちをみていると、実に面白い。まず、鼻先でそこらじゅうを掘り返してしまうのだが、泥の中のなにかをたべているのかなんなのかわからない。ただし、この行動はアニマルウェルフェア上とても重要な「本能的に備わった行動」だと考えられている。豚舎ではできない本能的行動だ。
そして、、、
いきなり、バタッと倒れる。「えっ どしたの?死んじゃったの!?」と思っていると、ナニゴトも無かったかのように起き上がってまた泥と遊ぶ。つまり寝てるんだけど、それがもう本当に突拍子もないのだ。
餌には、十勝で収穫された作物の選別で規格外として捨てられるような残渣をフル活用。写真は、トウモロコシ畑の収穫後に、持ち主の農家さんに入れていいよといわれて豚を放している。みんな、トウモロコシのかすなどを喜んで食べていた。
こんな育て方だからブランド名は「あそぶぶた」と書いて「遊ぶた」なのだ。
こんな環境で豚を育てるのだが、通常なら豚舎のなかで穀物中心の餌を与えて170日程度で100kg程度に育てて出荷するところを、秦先生のばあいはゆっくり大きくなっていくと言うこともあって、250日以上、もっといえば300日以上育てる豚が中心だ。だから、肉質はとてもみっしりと充実しており、脂はじつに透き通った味わいだ。
秦先生がたつのは肉匠もりやすの売場だそうだ。ぜひご来場いただき、遊ぶ豚たちの魂と触れあっていただきたいと思う。