やまけんの出張食い倒れ日記

生酛づくりの新境地を切り拓いた杜氏・石川達也の新しい門出を祝う!来年は茨城県の月の井酒造の酒に期待だ!

2020-10-17-12-25-51

日本酒フリークならご存じの方も多いかもしれないが、長く広島の竹鶴酒造で杜氏を務めた我らがタツヤンこと石川達也が今年で卒業。知っている人達はみんな「これから石川さんはどうするんだろう」とやきもきしていたと思うが、めでたく茨城県大洗市にある月の井酒造の杜氏に就任することとなった!

タツヤンとの付き合いも長くなったなー、、、えっ、何年だっけ、と思って数えたら、なんと29年だ!

僕が大学に入学しキャンパス内に畑を拓いたのが1990年。翌年に合宿と称して熊本の師匠の農場に青春18切符で向かう途中、どうしても一泊しなければいけないので同級生の竹鶴の娘に「お前ん家、酒造だからデカいよね?10人くらい泊めてくれないか!?」とムチャなお願いをした。あの「マッサン」の舞台となった素晴らしい酒造で、現相談役、当時は社長が歓待して下さった。その折に「お前は慶応に入って畑をやるっていうアホだけどうちにも早稲田を出て酒造りをやるっていうアホがおる」と紹介してくれたのが蔵に入って間もないタツヤンだった。

そのタツヤンが杜氏に就任してからの破竹の勢いはもう伝説だ。いまだに竹鶴の19BYや21BYの酒を大事にしまい込んで、飲みどきを狙っているファンも数多いと聞く。

月の井酒造では、これまでの味というのもあるし、まずはこれまで通りの味で酒を造るの?と尋ねたところ、

「あ~ いやいやいや もちろん守るところは守るけど、製品によっては味を一から作り変えて行きましょう、というお話しを蔵元からもしていただいているんだ。それに、こういうのは初年度にみなさん注目されるから、スタートから気合いを入れて造るよ!」

とのこと。日本酒ファンは今年の月の井酒造の造りに注目して欲しい。

井のなか工藤ちゃんがセットしてくれたこの日の宴のなかでタツヤンから出た言葉は日本酒の「緩衝力」。ピンポイントでしか合わない酒ではなく、どんなものにも合う酒は緩衝力が高いということ。タツヤンが造る酒は野菜も肉も魚も合わせられる。それは緩衝力があるから、、、いろいろ考えさせられる話しだった。

とにかくタツヤン、おめでとう! 新たな道が豊かな実りの道であることを祈っております。