何度かこのブログで採り上げた、四国の真面目な会社が開発した、食材の熟成を促進するエイジングブースターという機械がある。本来なら大々的に販売しているタイミングだったのだが、コロナで肝心のお客さんである飲食店が大変な状況なのでちょっと延期して、その分ブラッシュアップを図っているところ。
エイジングブースターについては過去ログご参照のこと。
■四国の真面目な製造業者が、ふとしたきっかけで作ってしまった「熟成を促進する機械」がスゴい!わかりやすいのはお肉の熟成!https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2019/11/29983.html
■今月の専門料理は面白いぞ!「料理人のための数字研究」号に、いまが旬のいわて短角牛を「TheBurn」米澤シェフと「てのしま」林さんが訪ねて、観て、食べて料理する!という特集。そしてなにそれ!?と驚くこと間違いない熟成促進機「エイジングブースター」を「瓢亭」高橋義弘君と「ナベノイズム」渡辺シェフが検証する!?https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2019/08/29910.html
エイジングブースターは、マイクロウェーブつまり電子レンジで使用している電磁波を食材にあてて、温度を上げることで熟成を促進する機械だ。でも、普通にそのままマイクロウェーブをあててしまうと、全体の温度が上がってしまうため、お肉や魚であれば腐敗してしまう。そこで、表面温度は2度とか0度近くまで下げ、内部だけをマイクロウェーブで温めて促進するというコロンブスのたまご的な発想でできたハードウェアなのである。
牛肉で大きな変化が出ることはもう実証済み。
そのエイジングブースターなのだが、当初は肉ブームだったこともあり、牛肉のエイジングが進むということを売りにしようということだったのだけれども、僕も含め色んな人が「もっとすごい可能性があるんじゃないの!?」と思い始めている。というのも、料理人が使っているほぼすべての食材になんらかの変化を与えるものなんじゃないの?という可能性がでているからだ。
考えてみたら、マイクロウェーブによる温度変化のみではなく、ウェーブなのだから当然ながら微細にして大量に反復される振動が与えられる。そうすると、食材って変わりますよね。たんぱく質の分解が進んでうま味が出る、柔らかくなると言うことに加えて、塩味のカドがとれてまろやかになる、ということはわかっていたけれども、それに加えてワインやチーズなどの味も変化するのだ。
シャルキュトリ類でも大きな変化が出る!とくに生ハムは、数ヶ月分の熟成が数日間で進む感覚だ!
魚の熟成だってもちろん進む。腐敗が怖い最大の素材だけれども、冷やしながら温めるエイジングブースターは短時間に安全に熟成促進が可能だ。
面白いのがチーズ!これはじつはまだ実験中なので今度ね!
僕的にHAGIで感動たのが湯葉! そう、大豆製品は油脂分とたんぱく質を双方もっているので、変化の幅が大きいのだ!
そして、、、
そう、お酒だ!これも現在、実証実験中だが、味が大きく変化することは間違いない!
こうしたことを識っていただくために、料理人限定でこの11月、都内某所でセミナーを開催します。もちろんコロナ対策を最大限に行い、収容人数は少なめ、講師陣もフルマスクの上で実施予定。
もう1年半以上もエイジングブースターの試作機から使い続けている福島県いわき市のHAGIの萩シェフ、香川県高松市のアルベッキオ・ドゥオモの小川翼シェフに加えて、ワインやチーズの専門家も登壇して、さまざまな食材がエイジングブースターによって変化する!というのを味わっていただきます。そう、全編試食つき!
このセミナー、収容人数が少ないので一日に二回行うのだけども、それでも30人程度になってしまうので招待制です。もし「どうしても参加したい!」というかたは僕に何らかの形で連絡ください。ただし今回は料理人さんを優先させていただきますのでよろしくです。
さて、ネタを先に見せてしまうのもどうかとは思うんですが、、、
はい、ズラリと並びました東京は渋谷の素晴らしきチーズメーカーであるシブヤチーズスタンドのモッツァレラチーズ! シブヤのNHKの目の前にあるこの店内で生乳からチーズを製造するので、これほどフレッシュなできたてチーズはない!と断言できるすばらしいもの。
そのモッツァレラをエイジングブースト、、、
「えっ モッツァレラは鮮度がいのちでしょ!?」
と言うかもしれませんが、いやいや、試したことってありますか?
ということで、新鮮なチーズと、0.5日熟成、2日熟成、4日熟成、4日間そのまま冷蔵庫でねかせてたものという5種類を食べ比べ。
いや、大変に面白かったですね! 確実に食感と味わいが変わっています。もちろん、「モッツァレラにとってよい変化ではない」と感じる人もいる。けど、すくなくとも僕は「繊維があるのに柔らかさが出ているので、ふくよかな食感、そして味わいは濃くなっていく」という感覚がありましたね。ただし、●日目までのものがいい、というのはもちろんあります。何日目が最適解なのかは、11月にね!
ということでこのエイジングブースターの登場で、料理ガジェットの世界はますますブーストしていくような気がする!
料理人のみなさま、11月をおたのしみに!