Nikon Z6+PC-Eマイクロニッコール85mmf2.8
熊坂センセイからご著書をいただいた。
熊坂さんは慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の草創期からいらっしゃる先生で、専門は社会学。一年生の頃に違う先生の社会学をとり、ゲゼルシャフトとゲマインシャフト、とか勉強していたのだけれども、次の年次で熊坂さんの講義をとったらそういう伝統的な社会学とはまったく違う、軽やかでお洒落で皮肉が効いて、かつ深いという大変に面白い授業だった。
熊坂センセイといえば思い出すのはこんなことだ。僕はこのキャンパスのAO入試の面接で「農場を開墾して、自給自足キャンパスを創ります!」と言って合格したこともあって、入学後すぐに事務室にいって「大学内に畑を作らせて下さい」とお願いをした。農学部もない慶應で、最先端のインターネット環境を拓いたキャンパスなのだから当然、「そんな許可は出せません」となるのだが、それと併行して、会ったこともない先生方の研究室をノックし、「畑を創ろうと思っているんです。ご助力をお願いします!」と廻っていた。
最初に「コンコン」と戸を叩いたのは、アドバイザリグループ(新入生向けのクラスみたいなもの)の担当教官だった奥出直人先生のところだ。「おお、来たか」と招き入れて下さった奥出先生が熊坂先生と話をしていた。奥出先生、「畑、いいじゃん、ガンガンやりなよ。カンパしようか」と1万円もくださった。そのやりとりを観ていた熊坂センセイ、チッと舌打ちをして
「なんだよ、成り行き上、俺も出さなきゃいけねーみたいじゃん」
と言いながら、5千円のカンパをくださいった。なぜかこういう数字はよく覚えているものだな(笑)それにしても、熊坂さんのその不良っぽい佇まいと学生への態度に、「面白いオトナがいるなぁ~!」と感じたことをよーく覚えている。
ちなみに色んな先生を廻ったが、当時、学部長だった相磯先生が「君、それはいい活動だね、カンパしよう!」といって5万円も寄付して下さった。結果、20万円超のカンパをいただいたが、もちろんすべて畑のための鍬やスコップ、堆肥のためのダンプ一杯分の牛糞代などに消えていった。
その後、教授陣が事務局に「あれは面白いから、土地を貸してあげて」と言って下さったらしく、入学から3ヶ月ほどしてから事務室から呼ばれ、行ったところ「大学院予定地を貸してあげるから」と許可が下りた。
カンパで買い集めた道具で開梱作業をするが、盛り土した土地はコンクリの破片やらマンホールの蓋やらチェーンやらが混じっていて、スコップの歯が通らないような劣悪な土だった。これは客土(他のよい土を盛ってくること)しないとなあ、また道具がいるぞ、と途方に暮れていたところ、数人の教授先生方が畑にお散歩のようにやってきた。「ほーう、これが畑かあ」とニコニコしながらみなさん戻って行かれた。なんだったんだろう?と思ったら、数日後また事務所に呼び出され「大学の建設前に遺跡発掘調査で使った道具類を全部貸してあげるから」というお達しがあった。あの先生方は、そうした許可を出してくれるために観に来たのだということがわかった。その中に、熊坂センセイもいたのだ。最後までそっぽ向いてたと思うけど。
熊坂センセイ、心の底から感謝してますョ!
さて、今回の本だが、どうやら一般売りされるものではなく、自費出版によるもののようだ。
このジャケがまた堪らない。
タイトル面と反対側、ピンクと紺の2冊の本に分かれた背表紙がKenG(ケンジ)となっているという楽しい仕掛け。
で、内容がむちゃくちゃ面白そうです!マジで!!!
ちびちびと読むのが楽しみだ。
熊坂センセイ、御本をありがとうございます。SFCチルドレンは先生方の名声を傷つけぬよう頑張ります!