2012年に、黒毛和牛の聖地である兵庫県の但馬地方へ取材に行った際、コーディネートしてくれた新田さんが「イチオシ!」と連れて行ってくれたのがここ、北村わさび園。
一歩その敷地に入ると、まるで神社の境内にいるように清々しい結界が張られているような空間。神鍋山の伏流水がこんこんと流れるこの地域では、江戸時代からわさびを生産してきたそうだ。
わさびは清流がないと生産できない。水に含まれるわずかな栄養分を吸収して、じわじわとその根茎が成長していく。
2年半かけて育てられたのが冒頭の写真にある立派な立派なわさびである。
わさびは、もちろん根茎だけではなく、葉も美味しい。当然ながら、わさびと同じツーンとするイソチオシアネートの香りが強い。
この北村わさび園のあるじが北村宜弘(よしひろ)君。
自然体で歴史あるわさび生産を支える人だ。このわさび園で60年くらいずーっと自家採種をしてきているので、標準的なダルマ種だったのがすこしずつかわっているだろう、とのこと。
さて、今回取り寄せたのは、このわさびが4~6月に壊滅的に売れなかったことを受けて。確かに僕らは、「今日はお刺身だから本ワサビを買おう!」とはならない。チューブわさびの便利さになれすぎてしまっている。
すりおろすといきなり辛みが発生する本ワサビ。贅沢にすってみた。
せっかくなので福島屋で鯛とカンパチの刺身を買ってきた。この双方の魚種も、業務用出荷ができず、養殖池があふれそうになっている、たべるべき魚種だ。醤油はミツル醤油の生成り。
いや、白身にわさびをドカッと乗せていただくと、辛みがヅンと来ますねぇ! けれども、辛みを感じるほんの、ほんの一瞬前に、確実に甘さを感じる。それとともに、なんかニンニクっぽいコクのある香りもする。そのあとの辛みが強いからわからないけれど、わさびって本当に多様な味わいを持っているなあ、と感じる。
カンパチは夏場だけどすこし脂があるので、わさびの辛みがやわらいで、味わいの部分が前に来る。
じつに美味しい、、、
都内のスーパーでは、本わさびを置く店もここ数ヶ月で増えていると思う。卸売市場価格は半値以下に落ちていていたのが、そろそろ戻るかもしれないけれども、それでも一本1000円してた頃からすれば安い。ちなみにうちの近くのスーパーは一本380円だった。
でも、今日食べた北村わさび園のは、爆発的においしいわさびだ。だからもうちっとしますが、たまには買ってみることをおすすめしますね。チューブわさびも好きだけれども、あれが本ワサビだと思ってしまってはいけない。ちゃんと、舌のキャリブレーションをしなければいけませんね、と自分に注意。
北村君、まだまだ戻りに時間がかかると思うけど、頑張ろうね!
この詳細は、今週末の日曜日朝5:35~ NHK第一ラジオ「マイあさ!」の「全国食べ物うまいもの」のコーナーでお送りする予定!(らじるらじるや公式ページで聞き逃し配信もできます!)