いやーーーーめでたいめでたい!
本当においしい赤身の土佐あかうし肉が出てきたぞっ
肉に関心をお持ちのひとなら、新型コロナウイルスに翻弄された4月に施行された、高知県独自の牛肉の評価基準であるTRBのことを耳にしただろう。牛肉は日本食肉格付協会によって格付されるが、その基準は枝肉の歩留まり基準と肉質基準によって決められる。最上級のA5になると価格が高くなることが多いため、みなが黒毛和牛の霜降り肉を生産するようになった。
それはいいとして、問題は、赤身に特徴があって美味しい肉であった土佐あかうしの生産者までもが、霜降り度合いが高くなる血統を導入し、また霜降りになりやすい飼養管理を行うようになっていったことだ。おかげでA4のあかうしがかなり出るようになったのだが、料理人からは「なんで土佐あかうしなのにこんなに霜降りが?」「これだったら黒毛でいいんだけど、、、」という反応が返ってくることも多かった。
そこで、高知県内の生産者を集めての逆パターン赤肉サミットを開催し、Table Oginoの荻野シェフにきていただいて「赤身がいいんですよ!」と力強く話をしてもらった。徐々に、じょじょにだが、あかうしは赤身を大切にしないといかんね、という認識が生まれてきた。
でも、赤身が多いということは格付が下がるということである。それで、なんぼで買ってくれんの?といわれると、ううむ、となってしまう。そんな状態が続いていた。
そこで、高知県庁はここしばらくの間、求められる赤身肉の姿を研究し、それを評価するための格付づくりに着手していたのだ!昨年のフランス珍道中も、じつは赤身肉の格付を研究するため、赤身先進国であるフランスの状況を学ぶためのものだったのである。
■リムーザン種の生産農家を訪ねて。そこには繁殖肥育一貫というか、日本とはまったく違う経営形態の農家がいた。そして、リムーザン種の尻の大きさは、日本の肉牛の常識とはかけ離れたものだった!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2019/06/29865.html
これが4月にようやく発表された。こまかいことはこちらを見て欲しい。
■土佐あかうしらしい肉(枝肉)の格付け制度「TRB格付」について
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/160901/trb02.html
笑えるのが、TRBのRが「らしい」の意味になっている(笑)
簡単に言えば、A2やA3の赤身中心の肉質でも、相対的にみればよい値段になるように評価しますよ、ということだ。ただ、たんに霜降りが少なければいいということではない。この格付のために、県はさまざまな調査を実施した。料理人や関係者に広く聞き込みを行い、どんな赤身肉が美味しいのかということを分析したのだ。
その結果、「肉の味が濃いこと」、「余計な脂肪分が少ないこと」、「赤身が充実して歩留まりがよいこと」が求められることがわかった。また「若く出荷されるよりは、飼い込んだ牛のほうが美味しい」という認識が、土佐あかうしを仕入れ、その都度味見をする精肉店や料理人達の間で共通するものがあったので、ワラや飼料をしっかりと食べ、29ヶ月間以上じっくりと育った牛を評価することとした。
と、これがTRB基準だ。
ただね、、、これから問題になるのは「じっさい、そのTRB格付で上級のR5、R4といった牛は、本当においしいの?」という話しだ。
「真っ赤で、バサバサして、味が薄くてまずい肉」が出てきたらどうしよう、、、と。まあ、黒毛和牛のA5だって美味しい個体もあればマズくて食えないのもあるので、それは同じこと。だけどやっぱり美味しい肉が出てきて欲しい、、、
そんな中、高知から来たのが、TRB格付のR4を獲得したこのお肉。
2018年1月5日生まれ、2020年6月5日屠畜で、ちょうど29ヶ月齢!
3週間経ったので、今日カットして焼いてみた。
ご覧の通り、サシの入りやすい土佐あかうしにしては赤みが濃い。
塩をあててフライパン出焼き目をつけた後、パナソニックのコンパクトオーブン(これおすすめ。後継機が出ているはず。)で180度設定にして15分、そこから10分ほど置いて熱を回した。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
すげーーーじょうずに焼けちゃった!
まさに赤身肉!
でもね、ほんとうに美味しいのかな?と一抹の不安。
でもね、ご覧のように適度な水分がジワッとしみ出てくるものの、品質の悪い輸入牛肉のように水がダバダバ出てしまうということはない。しっかり肉の線維に保水されている。かぶりつくと、脂ではなく、肉のうま味を湛えたジュースがジュバッとしみ出てくる!
うまい!
これぞ求めていた赤身肉の姿である。うま味を湛えたジュースがほとばしり、あかうし特有のよい香りがたつ。何度噛んでも、うま味が消えることがない。しっかりとした噛みごたえだが筋張った部分は一切ない。そして、動物性油脂が少なくアッサリしているので、200g以上食べたけど、お腹にまったく保たれることがない。そして、大満足だ!
今回の牛、生産者はいつもと畜センターにいくと必ず自分の牛のせり価格をジッと眺めている池地伸之さんだ。研究熱心で、まわりからも認められている、土佐あかうし生産のエース級の存在である。
いやー、よかった、、、
この味なら大丈夫だ、かならず「TRB格付のあかうし買いたい!」という人がたーくさんいること間違いない!
TRB格付のお肉を食べたい人は、、、うーん、どうすればいいんだろ。とりあえずは高知に行きましょう!