山口県で黒毛和牛の一貫飼育をし、牧場内のレストランファイヤーヒルを運営する梶岡秀吉君から、お肉が送られてきた。
「うちでは、子を産んでくれた経産牛をKAJIOKAGYU MOTHER BEEFと銘打って、美味しく食べていただくようにしています。ぜひ味見して下さい!」
※色がちょっと悪くみえる部分は僕の解凍ミスです。この後、空気に触れさせると消えます。
上はランプ、下がサーロイン。ごらんのとおり、立派なサシが入っているけれども、梶岡君はいっさいビタミンコントロールをしない。ビタミンコントロールとは、肥育期間の初期にビタミンAを与えないことでサシが入るという性質を利用したもの。それをしていないにも関わらず、こんなにサシが入る。それは黒毛和牛の選抜育種が行き着くところまで来たと言うことだろう。
「やまけんさん、これなんと12歳の牛なんです」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
それはずいぶんと、母牛としての生をまっとうしてくれたんだねぇ、、、
「カットセンターの人たちも「枝番間違えてないか?」とか、友人の肉屋も「こりゃ経産牛と言われんと分からん」と言ってました。」
本当に、この肉をみて経産だと思う人はいないだろう。
「経産牛」という言葉にどんなイメージを持つだろうか。筋張っているのではないか、硬いのでは無いか、匂いのようなものがあるのではないか、、、など、マイナスイメージが多いかもしれない。でも、それはぜーんぶ、思い込み。このブログで書いてきているように、経産牛を一定期間肥育するととても美味しい牛肉になる。僕は未経産牛や去勢牛の3~4歳の牛よりも、経産牛をきちんと再肥育したも肉の方が好きだ。
酸素が行き渡り肉色が落ち着くまで待っていられなかったので焼いてしまいました。
ランプに塩をパラリとしていただくと、いやもうこれは素晴らしいのひと言。香りもあって、ご覧の通りモモ抜けもよく、ジューシーで美味しい。「経産牛と言われなければわからないだろう」と書きそうになったが、よく考えてみたらこの肉には未経産牛にはない美味しさがある。それは深みのある香りだ。黒毛和牛には他の品種にない香りがあると感じている。その香りは、生育期間が長くなることで増していくように感じる。決して臭みではない、香りである。このランプにはそれを感じた。
対してサーロインは、美味しいけれどもやっぱり脂が多いな。脂が多いと、その分赤身の体積が減るので、うま味の総量も減ってしまう。脂のもつパンチがそれを補うのだけど、梶岡君の肥育は餌がスペシャルで、サラリとした上品な脂に仕上がる。それを楽しめるのだけれども、やっぱりロースよりモモのほうが味わいがあると感じてしまうな。
いやーーーー それにしても経産牛ってなんて美味しいんだろう。
梶岡君のイノベーションはグングン進んでいるね。この牛肉は梶岡牧場直営レストランで食べられます。
■梶岡牧場
https://kajiokagyu.jp/
ちなみに気になってる人に暗号。
この牛の曾祖父は安谷土井-菊照土井、金山ー福桜です。名牛揃いですね、、、