オンライン会議需要が伸びゆく中、SIGMA fpが使える!しかもいままでにない動画体験になる!ということで、僕の周りでも「よさそうなので買いました」という人が出てきています。「35mmf1.2も買っちゃいました!」とか言ってて、マジかよ俺に貸してよという感じ。
さて、fpをウェブカムとして使用してて「あれれっ?」となることがあります。画面に帯状のノイズが発生したり、またひどくコマ落ちしてカクカクした映像になってしまったりするのです。下記に、テスト動画を示します。
何度か「使えないな」ということでPC内蔵カメラに切り替えることもあるのですが、根本的な原因を知りたい。
当初、USBケーブルが問題かもしれない、と思いました。確認してみたら、手元にはUSB2.0から3.0、3.1など規格の様々なケーブルが。USB2.0だと転送スピードが追いつかないのかもしれない、と仮定を立ててみました。
USB2.0は480Mbps
USB3.0は5000Mbps
大きな違いがあるので、まずそこを疑ったわけです。そういや、自宅で使おうとしたときに、fp付属のUSB3.1のケーブルを延長試用と、USB-Aオスメス延長ケーブルを使用したのですが、そいつはUSB2.0規格のものだったことに気づきました。これか、と。
でもね、、、
僕のウェブカム向けfpシネマモードの設定はかなり控えめで、ファイル形式はMOVでGOP、解像度はFHD、フレームレートは23.98fpsです。なんのことかわからない人もいるかもしれませんが、一番軽い設定ということ。
SIGMAの公式ページに、圧縮方式・解像度・フレームレートでビットレートがわかる表があります。
■SIGMA fpの動画ビットレートと動作確認済メディア
https://www.sigma-global.com/jp/cameras/fp-series/specifications/
上段にあるのはCinemaRAWという超特大データなので無視して、下段にある、動画圧縮されたデータ形式であるMOVのところをみると、60Mbps と書かれています。
えっ 60Mbps? だったら、USB2.0の理論値480Mbpsで十分じゃないか?
よく考えてみたら、記録メディアであるSD形式カードの転送速度だって300Mbpsで超高速と言われるのだから、USB2.0のケーブルでも問題ないかもしれない。
しかも! 先の動画はUSB3.1のケーブルなのに、カクカクコマ落ちしとる。ノイズも入る。てことは、これ原因はケーブルではないな、、、
ちなみに、SIGMA fp付属のケーブルは70cm程度の短いもの。これだとすこし遠い目から撮りたいときに厳しいので、USB3.1の、信頼できそうなメーカー製のものも試しました。
■iBUFFALO USB3.1Gen1ケーブル(AtoC)2.0m
このケーブルで撮影したものがこちら。
うーん、出るけど、短いケーブルでも出てるんだから、これが問題ではないような気がする。ここからいろんなケーブルを取り寄せては実験し、CtoCケーブルでUSB-typeCのThunderbolt端子に接続してみたりといろいろしたんですが、結果は同じ。
さんざん実験して結論も出なかったので、実験内容と実験の条件、動画を携えてSIGMAにサポートに連絡しました。そうしたら、サポートもこの現象を認識していた!
いずれ公式に発表されると思うので単純化するが、この現象を回避するには二つのポイントが。
ポイント1:ISO感度を低く設定すること。
ポイント2:背景が精細に映らないよう、できればボカすこと。
なんと、そういうことだったか、、、!
じつは冒頭のテスト動画の撮影時、室内で撮っていることもあってf2.8でISO1000に設定していたのだ。35mmフルサイズのデジタルカメラを使用するときの一般的な感覚、という感じでしょうか。でも、それだとダメらしい。
推測だけど、ISO感度が高くなったとき、増感することで発生するノイズを抑制するためにアルゴリズムが働き、その内部処理が動画のビットレートを浸食している、のかな、、、詳しい方、ぜひ教えて下さいませ。
で、ISO100で撮影してみたのがこちらの動画。
あれれっ!? ISO100にしたのに、コマ落ちしてる!? ただしノイズはない。どうしてでしょうか。この後、試行錯誤をしているうちに、「あー、もしかして!」と思うことがありました。
僕の事務所の白壁の前で撮影しているのですが、壁紙はただの白い平らなものではなく、細かな凹凸がついているもの。従って、僕が壁の方に下がって撮影すると、その壁紙の目地というんでしょうか、それが細かな、大量の情報として映像化されるので、オーバーヘッドが発生するんじゃないだろうか?
こうなったら、この壁の模様だけ撮ってみようと思って、壁の凹凸がハッキリわかるようにしてLEDライトを照射した状態で撮影してみました。
これはひどい、、、これまでみたことないほどヤバイ!音声まで途切れてるわ、、、
白い壁だからきっとOKだなと思っていたら、細かい模様があったら情報量過多!ボカさなきゃダメっつうことなのですね。
ということで、もう思い切ってカメラを壁から180度ぐるりと反対に向けて撮ってみました、、、
なんと、ほぼ解消しているようにみえます!
念のため、明るい背景でもテスト。
検証、終了です。
SIGMAサポートさん、ありがとうございました。とりあえずの急場はISO感度低め、背景をぼかすということで対応したいと思います。
こういう状況を知らなかった、これまでトラブルがなかったという方は、おそらく最初からISO感度を低め設定しており、また背景も適度にボケる状況にしていたのでしょう。
ちなみに、この状況を解消するファームウェアを出すべく作業中らしいので、高ISO感度で撮りたい方は、それを待ちましょう。
動画リテラシーがまだないから、ホントに疲れます。テロップとかも入れられてないしね。お付き合いいただいてありがとうございました!