やまけんの出張食い倒れ日記

新型コロナ禍ではからずも世に出たシェフ謹製お取り寄せグルメ、こいつは旨い!は福島県いわき市「HAGIフランス料理店」の萩ちゃんが作る仔羊カレーとフルコース!

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カレーという許容度の高い料理をを不味くつくるというのは難しい一方で、美味しいカレーの形には実に様々なものがあって、探求しようとしてもし尽くせない。ということで、新型コロナの影響で多くの飲食店がいままで通り営業できない中、にわかに「カレー作りました」というケースが増えてきている。いや、全然網羅してないけど。

昨年度の僕的ベスト・レストランといえば、悩むところだけどやっぱり福島県いわき市のHAGIフランス料理店。これはもう強烈な印象でした。

■福島県いわき市の食材伝道師にして、エイジング・ブースターの伝道師。HAGIフランス料理店の萩シェフの心と技術のこもった料理に脱帽するしかない!そしてエイジングブーストした食材でもっとも感動したのは、意外なものだった!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2020/01/30010.html

そのHAGIちゃん、コロナ影響もあって大変だろうなあと思っていたら、Facebookをみるとあのクリッとした眼はらんらんと輝き続けており、元気いっぱい。それもそのはずだ、彼は東日本大震災が起きてからというもの、いわき市という立地で苦しめられ、営業もほとんどできない日々をくぐり抜けてきた。そんな中で彼は試行錯誤し、多くの生産農家の食材を惣菜にしたり急速冷凍したりパウダー加工したりエイジングブーストしたりと、とにっかくいろんな加工を行ってきた。ブログでは写していないが、店のバックヤードは驚くほどに広く、さまざまな食品加工ができる免許も取得している。

つまり多くの料理人が「飲食店のその場で提供して美味しい料理」をベースに設計している中、彼はそれだけではなく保存性の高いものを作り、フリーズドライや冷凍で届けるものを美味しく作る方法を熟知しているのだ。前提となる各種調理器具も揃いまくっている! このスタートの差はデカい。

だから、このコロナ禍のもとでも「ああ、あの時よりはマシだな」くらいの気分で淡々と自分のやるべきこと、なすべきことをやっている様にみえる。

ということで、彼が福島産黒毛和牛で作っていたカレーがあまりに旨そうだったので「おいおい旨そうだな、買える?」と尋ねたら、サクッと売り切れていた。次回は仔羊カレーだというので、その場で「予約ね!」と申し込んでおいた。カレーだけだと配送料がもったいないので、何でもいいから副菜もいれてくれとお願いした。

届いたのはフルコースだ!(笑)信じられないだろうが以下に掲載する料理はすべて冷凍状態で送られてきた。そして、細かく指示書きされた方法で解凍し温め並べた料理の一つ一つが、僕らの想像を絶する美味しさであった!

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福島県産ホワイトアスパラガスをアミガサダケのソースで。アスパラとモリーユのソースが別々で、どちらも湯煎で温めます。キレイにもりつけできずゴメン。あと、パセリとか振ればよかったね。

でもこれがまあ素晴らしく鮮烈でみずみずしい食感! 妻が「これ本当に冷凍なの!?」とビックリ。冷凍なんですよ、、、ホラこの通り。

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湯煎で約4分あたためと書いてあるように従ったが、冷凍解凍による細胞破断がほとんどない印象で、ホワイトアスパラのサクリと噛みしめてジュバッとしみ出るほろにが甘いジュースがアスパラ内にほぼ全量滞留してくれているのである。モリーユのこうばしい香りが詰まったソースも実に軽やかで美味しい!

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これなんだかわかります? これ、福島が誇る鮮魚メヒカリ。

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比較物がなくて恐縮ですが、マジックマーカーのぶっといのより大きいのです。ちなみにこれ、冷凍で「袋から出してラップしないでレンジで何分間」で温めます。 えっそんな方法で揚げ物美味しいの?と思ったのだけれども、、、

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カリッサクッホクッ

えっ なになに、なにこの食感!?

いま揚げたてです!といっても「うんそうだよね」と信じてしまう、すさまじい完成度ではないか!

「みなさんのことを考えると、冷凍庫から好きなときに出して、そのまますぐに温めて楽しめる商品の開発が急務だと思うので、やってみました!いかがでしょう!?」

いや君、最高だよ!心の底から驚きました。ちなみに我が家はグルテンフリー必須なことを伝えているので、衣はでん粉です。そして、このシンプルな盛り付けでいいのか?とも思うけど、なにもかけずに頭からホクホク食べるのがとまらないほど、味わいがある。塩と最低限の味付けしかしていないのだろうけれども、なんと豊かな味わいなのか!福島県産メヒカリの実力をはかるにこれ以上の料理はないと思わせる一品なのであった。

そんで、こちらが福島県産の香箱カニ。

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う、、、美しい!しかも右手前にブラッドオレンジがみえるだろうが、この柑橘のじょうのう部もまったく細胞がヘタれておらず、噛むときちんとジュバッと抱き込んでいた果汁を放出してくれる。

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香箱蟹の内子がまた堪まりません。素材がいいからただ塩して加熱しました、ではない。きっちり味わいに仕事が入っています。

さあそして、本日のメインメニュー。

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仔羊のカレー!白皿に出すだけでは芸がないので、パプリカパウダーと黒胡椒を振りました。くどいようだがパセリも散らすべきであった、、、カレーに緑って映えるのな。

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さて、この仔羊肉も福島県産である。徹頭徹尾、県産食材を使いきってやろうという鉄の意志がみえるHAGIちゃん。国産ラムは穀物飼料で仕上げていることが多いのでコックリ脂肪味が乗っていることが多いのだが、このラムはクドさがなく、ほどよい香りが乗っており、まさに俺は仔羊を食べている!という満足感を得ることができる味わいだ。

しかも、奥深いスパイスの使い方で、口に入れたときは柔らかい印象であるものの、口中で噛みしめ嚥下に至るまでの間に、エキゾチックな香りと気持ちよい辛みが湧き出て、味蕾と鼻の細胞をやんわり刺激してくる。食べ進むごとに額に汗が滲み、欧風カレーにありがちな「上品なだけ」ではないカレーの旨さが満載だ。

しかも、これでもか!ってくらいに仔羊肉が入っている。

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感動! 圧巻!

しかも、価格がビックリするほど安いんですよ、、、あ、定食屋感覚ではないですよ。フレンチレストランであるという業態と、食材のレベル、調理技術すべてを勘案したときに「おいこの値段でいいのか!?」と驚く価格。みんなわけもわからず「コスパがいい」と言ってるけど、値段だけじゃないからね!?

HAGIちゃんの地元産食材に対する愛の強さと、震災以降に培ってきた彼の全技術が投入されたお取り寄せグルメの極地を観た思いがする。

HAGIフランス料理店のお取り寄せフレンチ、食べたい人はFacebookで、メッセージを送ってみて下さい。

萩ちゃん、美味しさと元気もらいました。またお店にもはやく行けるように祈ってます。