緊急事態宣言が出される前、京都の福知山に出張で行ったとき、一人だけれども夕食をお気に入りのイル・プルチネッラでとった。その後、外出が推奨されない状況になり、福知山市内でも感染者が出てしまい、なかなか行けなくなってしまった。ちなみにその後、福知山市を挙げて適切な処置をしたことで現在は陽性確認者が2名と、比較的落ち着いている状況だ。
その、イル・プルチネッラがいまの店舗をクローズするという。もちろん理由はコロナの影響だが、ただ単に閉めるわけではない。シェフの栗林君が「いずれはここではない、もっと静かな場所でお店をやりたいと思ってるんです」と言っていたところに移転をするというのだ。詳しくは彼のブログを見て欲しい。
■人生ってそんなに長くないので | pulcinellaのワタシとイタリア料理
https://ameblo.jp/felicetempo/entry-12590671040.html?fbclid=IwAR3G9mdyJwp2Boo0TwcVp5HarCZC9XLcqJjqFYvmTT6loYBahD_m1Mh8YUs
下柳という地域にあるおじいちゃんの家を改築して、いまの店名のまま一人で切り盛りするスタイルにするらしい。頑張って欲しい。次回、福知山にいける時には必ず寄る!
ということで、最後に行ったプルチネッラの夕餉をここにノーカットで送る。イタリアン食べたくなること必定!
せっかく「麒麟がくる」を放映している時で、観光客を見込んでいるのに、参ったなあ、という状態の福知山城。
「やまけんさん、今日お一人なら、シェフズテーブルでお食べになりませんか?」
ええええええええええええええええ、こんな場所があったのかよ! もちろんここで食べるに決まってますがな!
きらめくようなメニュー。これ、よく観たら毎日のように変わってるんじゃないの?
「自家製サラミと生ハムがいい感じに仕上がってきてるんですよ~」
もちろん共に、京丹後産の豚肉が原料である。
ああ、美しいねえ、、、適度に霜も降っていて、見ているだけで美味しそうだ。
ネットリした舌触り、絶妙な塩気がオリーブオイルの辛味渋みに加わって、すばらしい相性をみせてくれる。旨いね、何度か通って必ず食べたけど、今回の生ハムが一番状態がよかった!
宮津産いとよりの皮目あぶり焼きのタリアータ。
たんに塩とボッタルガだけではない、味わいの奥行きを感じる。
「やまけんさん、最近はまってるんですけど、さばいた後の魚のアラにキツく塩を振って、魚醤みたいなのを作ってるんですよ!」
おおおおっ なるほど!
魚醤は魚が腐らない濃度の塩分を加え、腐らない状態で酵素分解したものである。彼の方式は酵素分解まで行っていないので正確には魚醤ではないけれども、魚が持つ水分を腐敗しない塩分濃度で引き出しているので、半魚醤という感じだろうか。なるほどこのタレによって味付けされているせいか、奥行きを感じる!
一緒についてきた、カリフラワーをグズグズに煮てつぶした、実にイタリアっぽい付け合わせがまた旨い。こういう、野菜クタクタ煮料理がうまいんだよなー
出ました自家製サラミ。
これもグリーンは、ぐったぐたに煮た青菜(菜の花系だったと思う)である。
生ハムとはまた違う、挽いた(またはカットした)肉に直接的に白カビがつくことによって強制的に生まれる香りがいい。
丹波牛のポルパッティーニの上にレンズ豆入りポレンタのフライをのせて。
ミートローフ的に仕上がったポルパッティーニはお袋の味だね。レンズ豆入りのポレンタ旨い!関係ないけどトウモロコシ粉は今後、見直されるだろうと思うんだよね。
おおおおおおおおお、これ、シチリアのライスコロッケ料理であるアランチーニ!?
「あ、ローマではこれ、パッラ・ディ・リゾっていうんですよ。まあ同じお米のコロッケですけどね!」
このコロッケ、中身はトマト風味の利いたホタルイカラグーを絡めた米である。旨いに決まってる!
綾部産肉厚の原木シイタケにモツ煮込みを詰めたオーブン焼き。
シイタケにモツという、クセの強い者同士を合わせると、酒が進む味香りに!
またも青菜グズグズ煮!
そして綾部産こうしんさいのスフォルマート!
宮津産オコゼのフライ。
言葉なし、すんばらしく旨い!
そしてこいつがまた技ありの逸品、宮津産いさざの露座マリーナ。こっちでは生白魚のことをいさざというんですね。それをトウガラシペーストにつけ込んだのをブルスケッタにのせて。
トウガラシとは香り成分にみちた食材なのだということを再認識する味わい!
そしてこいつも激うまだった、仔羊のコトレッタ(カツレツ)!
宮津産まだことオリーブのサラダ!
「やまけんさん、パスタどうしますか!?」
うーんそうだね、手打ち一皿、乾麺一皿でいこうか!
「了解です! それじゃ、生パスタは生地を作って置いたのを目の前で打ちますんで!」
と、目の前で本当に伸して、つくってくれた!
この麺の名前がいまいち思い出せないんだけど、おそらく「宮津産ハタハタで作った魚醤とイタリア・サルディーニャ産からすみのブジアーテ」だと思うんだよなあ。
ただ、ブジアーテって、フジッリのロングみたいなやつだそうで、もっと麺によりがかかっているはずなんだけど、彼はそれをしないで仕上げているのかもしれない。
まあしかしですね、この麺にあのハタハタから作った半・魚醤とボッタルガが絡んで、最高な味わい。麺の食感はブリンブリンで、噛み心地が最高だ!
もう一皿のパスタは乾麺で。
「味は何にしますか?」といわれていろいろ迷ったのだが、さっき食べてたいそう旨かったホタルイカのラグーを、麺に絡ませてくれないか?とお願いして。
予想通りの絶品である!
いやーパスタ二皿は胃袋にくるなあ。
「そんなところ申し訳ないんですが、ぜひ今日の魚は食べて欲しいなと思いまして、、、」
マジ?
出ました! 宮津産のどぐろのアクアパッツァ!
「うちは魚の味をそのまま食べて欲しいんで、貝類いれません。入れたら旨いの当たり前です。ノドグロの美味しさだけで十分です。味を引き出すためにレモンと、その汁を素揚げしたジャガイモに吸わせて一緒に出すのがローマ風なんです。」
こいつが!
うっうっ旨い!
アサリもアンチョビも使ってないのになんでここまで味わいがこゆいの!?と驚く美味しさ。
しかもスープを吸ったジャガイモの美味しいこと美味しいこと。素揚げしているから表面が固まって煮崩れていないのもポイントだ。
全食・完食!
ドルチェはやっぱりパンナコッタ・クラシコを。これ以上のドルチェないよね。
ぐわーーーーーっと食べて、1時間半。このあと大阪行きの電車に乗ります。じゃーね!!!!
というのが、僕とこの「アールインホテル」内に出していたプルチネッラとの別れになった。
インデアンカレーとの出会いのエントリにも書いたけど、出張食い倒れが好きな僕として、至上のヨロコビといえば、なにも下調べせず、自分の嗅覚だけで美味しい店と出会うことだ。このプルチネッラともそうだった。溝口さんとこのホテルに泊まったとき、なにげなく「ここ、美味しいんじゃないかな、、、」と直感がキタのだ。その直感は当たった!
まだ5回くらいしか食べてないのに、閉めちゃうなんて本当にツラい。でも、そこには「また会える」というオプションがついている。栗林君、絶対にまた行くから、不屈の闘志で立ち上がって下さい。
次回は下柳で逢いましょう。その日を楽しみにしています。イル・プルチネッラ、福知山最高のイタリアン!