■dancyu2020年3月号 https://amzn.to/2Tdo841
は、恒例の日本酒特集「今の酒を知る。」だ。dancyu編集部には揚げ物好きな人とか、カレー好きな人とかいろいろいるけれども、中でも日本酒に関してはとてつもなく審美眼の高い人達が集まっている。これまで関わってきてそれだけは確かな話だ。だから、有名な銘柄ではなく、地方の蔵や若手の新しい取り組みなどを積極的に採り上げていた。
にもかかわらず、数年前の日本酒特集号でやられていた読者アンケートで、あなたが好きな日本酒は?という質問で、誰もが知っている有名な蔵が一位になっていて、ガックリきたものだ。その蔵の酒がよくないということでは、まったくない。でも、そのランキングをみると、dancyuが紹介してきたきらめくような小さな蔵や作り手はランクインしていなかった。日本酒ブームというけれど、けっきょくみんな、そんなにマニアックな世界には没入してないんだな~、と思ってしまったのだ。
それでもdancyu日本酒特集は攻め続けている。いいぞいいぞ、どうせdancyuしかないんだ、ガンガンやってくれ!
で、今回はひさしぶりにテイスターとしてお声がかかった。その特集名を聞いて納得である。
「「磨かない酒」新世紀」です。そう、一時の大吟醸ブームでは、精米歩合が低ければ低いほどすげえ、という風潮があった。華やかな吟醸香を競うようなフルーティーな酒の時代。
そこからいまは正反対の方向に振れた酒が盛り返して活きている。高い精米歩合なので「低精白」ということになる。しかも、蔵本自ら酒米を作っていたり、そうではないにしろ、米との付き合い方に特色がある酒を集めるという。
テイスティング会場にいって驚いた。
用意されてた酒、40本(笑)
じつはこの日、このティスティングを終えた後に、こんどは対談取材が待ち構えていた。だから、早い時間にこのテイスティングを実施して、すくなくとも1時間半はあけて酒を抜いてから対談という、むちゃな段取りを構えていたのである。
頑張ってどすどす試飲しました。
テイスターはそうそうたる面々です。日本酒のこと書かせたらこの人、の山同敦子さん、喜久酔の酒米農家であられる松下明弘さん、料理家で利き酒師でもある入江亮子さん、燗酒専門店「ひねもす」の雨宮明日香さん、玉子焼き専門店の小島英朗さん。そんで僕です。
詳しくは紙面を観ていただきたいのだけど、40本のなかからテイスターが「これは!」という上位の酒、上位ではなくても特色のある酒が掲載されている。
正直言うと、色んな意味でスゴい酒、荒々しい酒が出てくるだろうと思ったのだが、、、
「あら、、、」
「おお、、、」
なんか上品!
「どの蔵も、技術力が上がったのか、破綻がないですね」
という山同さんや入江さん。なるほどそういうことなのね。確かに、口に入れた瞬間に「ぐおっ」となってしまう酒はすくなかった(皆無ではなかったが、、、)。
そんな中で、自分のセレクトについては大笑いしてしまった。「これが好きだなぁ」という酒には高得点を着けていたのだけれども、ブラインドでの試飲すべて終わってからの答え合わせというか、どの酒がどこの蔵のものだったかというリストをみせてもらった時のこと。
あああああああああああああああああああああああああああ
けっきょく、俺がいつも美味しいと思って飲んでる酒ばっかりじゃんか!
特に僕がイチオシしたのはこれです。
これはホントに大笑い。だって取材受ける前にオレ、「そうですねぇ、好きな酒は、TとかFとか、あとは三重県の森喜酒造の「るみこの酒」かなあ。」って言ってるんだもん。バッチリ森喜酒造のお酒でした。40種のなかではこれが一番好きでした。あとは、「王録」や「奥播磨」の低精白もの。やっぱりオレって自分の味覚に保守的なんだな、と思ってしまった(笑)
ちなみにdancyu、この特集以外にむちゃくちゃ面白いページ多し。ぜひ買っておよみくださいませ。今年は日本酒がらみでいえば、業界内にはみんな伝わっているけど、大きな変化があるので、目が離せないことになるでしょう。