年末のこの時期だけ積極的に小売店頭に並ぶ野菜がいくつかあるけど、金時ニンジンはそのひとつ。日本でもっとも普及しているのは西洋ニンジンと呼ばれる種類のニンジンで、βカロテンが濃く出てオレンジ色だ。でも、もともと日本に根付いていたニンジンは東洋種の金時系のニンジンだった。こちらはβカロテンよりも、トマトにも多量に含まれているリコペンを豊富に含有しているので、紅色なのだ。
この金時ニンジン、煮物にしたり、雑煮に使ったりという用途が多いはず。だけども、僕のお薦めはだんぜんきんぴらだ。それも、ゴボウと混ぜたりせずに、金時ニンジンだけできんぴらにするのが最高なのだ。
刻むのだけがめんどいけどね。まあ、料理屋さんだと均一な太さに!と言われるだろうけど、家庭用だしザックリで大丈夫。
金時ニンジンの大産地といえば香川県である。このニンジンは高松市ですばらしい野菜を扱うネオ八百屋「SANUKIS」を営む鹿庭大智(かにわ・だいち)くんに産地に連れて行ってもらった時に出会った。ものだ。
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この辺は海岸線の近くで砂質土壌。それをご覧のように高畝にもり立てる。
砂地だからだろう、スッとよい形状に伸びている。実はこの畑は香川県内でもその名をとどろかす有機農家である宮下さんのもの。もちろんJAS認証取得のれっきとした有機栽培品である。
鹿庭くん、宮下さんとは強い信頼関係で結ばれているので、畑で必要な分を自分で収穫。のちほど「10キロ収穫しました」と報告して振り込むという関係だそうだ。
店頭に並ぶ金時ニンジンをみると、同じような形状、同じような大きさのものが多いだろうが、もちろんそれは選別しているから。下の写真をご覧頂ければ、バラバラなのがわかるだろう。
鹿庭くんの八百屋「SANUKIS」ではこうした形状の違いを気にせず、味重視で販売している。
さて、金時ニンジンのきんぴらだけど、切った金時ニンジンをたっぷりめの太白胡麻油で炒めるだけだ。
太白胡麻油は、焙煎していないゴマを絞ったもので、透明なもの。通常の茶色いごま油を使用すると、煎ったゴマの強い香りで金時ニンジンのホックリした甘い香りが消えてしまうので要注意。太白胡麻油がないなら、サラダ油のほうがまだいいです。オリーブ油だとやっぱり油の香りが強すぎるかも。
中火くらいでジクジクと油が沸くように炒め煮する感じ。表面に焼き色がつくくらいまで、しっかり火を通す。そうすると、だんだん透明だった油に金時ニンジンの紅色がしみ出てくる。そこに、少し塩味を感じるかな、くらいの塩を振るだけで味付け終了。醤油は使わない方がいいよ。
あんまでい綺麗でなくてゴメンね。これ、急いで作ったので焼きが足りない。もっとニンジンがクタッとして来るくらいまで火を入れたい。これを食べると、、、
「あれっ? いま炒めてたのって、サツマイモ?」
と思ってしまうほどに香ばしい、焼き芋のような風味が口中に香る。そして、強い甘みとネットリまつわりつく旨みが口中に廻る。こんなシンプルなのに、煮物では味わうことのできない金時ニンジンの真価が出てくる料理だと思う。
金時ニンジンは、香川でも年内で収穫・出荷は終了。1月一杯で流通在庫もなくなると思われるので、やるならいまです。ぜひお試しを。