ちょっと間が空いちゃったけど、先日書いたこのエントリで「えっ なにそれなにそれ!?」とざわついた人も多いと思う。
■エイジングブースターという、食材の熟成を促進する装置がスゴい!誰も考えつかなかった原理でお肉のみならず、生ハムや魚や果実などを、本当の意味で「熟成促進」させる!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2019/10/29941.html
エイジングブースターと命名(わたしも命名に関わりました)されたこの機械、なかなかに面白く、これからの料理を変えてしまう可能性がある技術なのですよ、、、
食材に微弱なマイクロ波をあてることで、内部温度を8度とかに上げることができる。なおかつ、それが腐らないように表面温度を冷蔵することができる。すると、「中身だけ普通より倍速で熟成が進む」という原理だ。
これを食肉の熟成にあてはめたらどうなるのん!ということで、この機械を僕の短角牛を熟成してくれているマルヨシ商事に持っていった。
説明書を読んで「マジですか、コレ?」と怪訝そうな顔をする平井くん(笑)だよねー、おれも最初そうだった。
エイジングブースターは、家庭用冷蔵庫くらいの大きさ。内部は冷蔵庫で、赤い部分だけがマイクロ波の発生する室内だ。
この広さで、重量としては、肉なら3キロ程度の塊を一度に処理できる。逆に言えば現時点では出力の問題で、3キロまでしか熟成促進できない。それがまあ問題と言えば問題なんだけど、まあそれは置いときましょう。
これで熟成対象の内部温度を設定する。あ、そうそう、内部温度を測るために芯温計を刺す必要があります。で、マルヨシ商事では、硬い硬いネック肉の熟成促進を実験してくれました。
「これ、たしかに柔らかくなりますね。普通なら焼いて食べることなんてできないネックが、焼いて歯が通りますからね。ただ、僕らみたいな卸の場合、一日に何百キロも扱うので、3キロしか処理できないと難しい。高出力版が出てくるといいですね。」
うん、そうだよね、でもとりあえず熟成促進ができることを確認できただけでもよかった!
次、熊本ですばらしいドライエイジドビーフとポークを製造する、MARS(マース)に設置!
こちらのドライエイジング庫とは別の場所にエイジングブースターを設置。
芯温計を肉に刺します。
ごらんのとおり、真空パックをした状態での熟成促進も可能。これだと、空気に触れている部分が少ないので、減損率が少なくなるはずなんですよね。実験は現在も進行中。
ちなみにマースの素晴らしい製品は、熊本の食肉や野菜原料を使用したシャルキュトリ類だったりします。
まじでレベルが高い!
ここは熊本市内の農家から生乳を仕入れて、チーズも作っている!
これらにも熟成促進が効くのではないか!?ということで、試験中です。
試験中試験中って、なにか食べられるところないのかよ!と思われるあなた。
あります!
「赤身焼肉 にくがとう」という店をご存じでしょう。飲食業界の外からこの世界に入ってきた三浦剛君率いる、かなり面白い焼肉店。六本木ヒルズ店と、日本橋人形町店で、事前に頼んでおけばこのエイジングブースターをかけた焼肉の食べ比べが可能なのである。
食べ比べ、とあるように、、、
エイジングブースターに3~4日かけた肉と、そうせずに普通に冷蔵熟成したものを並べて食べ比べすることができるのだ!
これがですね、、、
熟成促進しているものとしていないもので、全然違うんですよ!
真剣な焼きをしている三浦くん、頼めばきっと彼が焼いてくれます。
ということで、さっきの過去エントリに載っている「専門料理」の記事ににくがとうでのことが書かれているので、まだ読んでない人は是非読んでいただければ幸い。
そうでないひとも、この後のエントリで、某日に行った熟成促進機をかけた肉やさまざまな食材の食べ比べ会について、書きましょう。