地下鉄の広尾駅から数十秒、すばらしい生産者から届く野菜や魚、そして短角牛の肉を、本当にシンプルに炭火焼きにして出してくれていた「山藤」を知らない人は、あの界隈ではいないだろう。
ただ、ビルが建て替えとなり、道をはさんで向かい側に移転してから、オーナーの意向もあってアラカルトではなくコース中心の店となってしまっていた。
山藤のいいところは、フラッと入って「カブとニンジンを炭火で焼いたのとアジフライ、味噌汁ご飯でたべさせて」なんていう使い方ができていたところだ。もちろんそこで供されるアジフライや味噌汁、ご飯に海苔に至るまで超絶のクオリティで最高においしかった!
そのアラカルト注文が復活した!
というか、暫く前からOKになっていたようなんだけど、気づいてませんでした。ちょうど妻の誕生日ということもあって、行って参りました。
ほんとだ、単品メニューが復活している!
時間的にちょうどお客さんが切れたところだったので、じっくり撮影もさせていただきました。ので、しばらくぶりにガッツリとアップするぞ。
ただ、アラカルトができるようになったぞー祝いなんだけど、今日はコースです(笑)またじっくりアラカルト注文のは撮りますね(他のお客さんいないときに)。
両端を綺麗にカットされた枝豆は「湯あがり娘」。
枝豆ばかりは品種や育て方よりも鮮度が命と思うところもあるが、この豆は料理長の梅さんが、午前中に小平市の生産者さんを訪ねて分けてもらってきたものだ。しかもそこは非常に栽培技術の高い有機農業家なので、全てが揃っている!カネコ種苗の湯あがり娘は茶豆じゃないのに茶豆の香りがする美味しい品種だしね。
ということで最初の一皿からおかわりしてしまった!
続いて滝川豆腐。
山藤の料理、先付けはどれも味わいがギリギリまで淡い。それは、最初からインパクトの強い味のものを出して満足させることよりも、ゆっりき、徐々に客の胃袋や食欲を励起させていこうという姿勢だ。
だから最初からウニやイクラを使ったものが出てくることはない。
「やまけんさん、いまおいしいナスが出てきましたから、焼きナスにしてあります」
と出てきたのも、塩味はギリギリで、それよりナスを直火で焼いた香りと、それを邪魔しすぎない出汁の味わいで食べさせてくれる。
いや、家庭でできそうな料理、だけれどもおそらく家じゃこうはできない。究極の家庭料理的・日本料理の店なのです。
アイナメのお椀も、このまま啜ると皮目の焼いたところの香ばしさが溶けて、ジュンサイのトゥルトゥル感を心地よく味わえる塩梅。それが、、、
身肉を崩すことで、魚の強い旨みが出汁に溶け出して、骨太な味わいの椀になります。
来た、鮎!
この鮎は、このブログでもさんざん紹介してきた、あの岩手県久慈市山形町の、われわれが山の精霊と呼んでいる新井谷のおじちゃんが獲ったもの。
■これが生のホンシメジだ! 山の妖精 新井谷のおじちゃんが届けてくれた素晴らしき恵みを堪能した!https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/10/1752.html
■新井谷家の朝飯 安家地大根とボリ
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/11/1773.html
いや、いい型だぜ、、、
もうね、山形町の川の清らかさはよーくわかっておりますからね。その川のコケを食べているであろう鮎の身肉の清々しい香り、はらわたのうまみ、ほんとうにご馳走です。
川魚ばかりではなく、海の魚もお造りに。
さいきん、とんと下戸になっていることもあって、お供はカボスサワー。
あ、でもここのサワーは連続蒸留の甲類焼酎ではありません。ちゃんと乙類焼酎で割った、おいしいものです。
「奥さんの誕生日だから、ちょっと頑張っちゃって!」とアワビが。
このアワビの煮方が実にじつに最高で、、、身肉の弾力、ほどよく歯にクニャンと噛みごたえを感じさせてくれる快感度!
しかも、冬瓜は冬瓜でとろけすぎず、硬くもない絶妙な食感に炊かれている。
それに合わせる日本カボチャがまた最高。煮物には西洋カボチャより断然こちらだね。
炊き合わせという料理は、素材をそれぞれ別に炊いて合わせるわけで、本当に手がかかる料理だと思う。こうした一皿を大切に味わいたいものです。
お次は、、、えっ?これなに!??
「あのね、以前、知り合いのベトナム料理を食べた時に、紅白なますを春巻きみたいに巻いたのがおいしくてね。ちょっとアレンジして、サラダ菜でなますとアマゴを骨まで柔らかく揚げたのを巻いて食べてみようって。」
あーーーーーーー ベトナムのなます使いは最高だよね!
これ、存外においしくて食中写真撮り忘れました。
さあそして〆のご飯です。
すみません、絶滅危惧種の日本ウナギは、年に5回までしか食べないことにしていますが、今年の一発目です。
どどーん
高知県産の鰻です。ありがとう、土用の丑の日をずらしていただきました。
しかもですね、お米は「龍の瞳」なのですよ。コシヒカリの1.5倍程度の粒の大きさになる、いのちの壱の元祖ですな。
粒のデカい、食インパクト度合いがMAXレベルの米にタレがからまって、そこにバリッと炭火で焼かれた鰻が混ぜ込まれたご飯。もう最高です。ウナギよゴメん、絶滅しないで下さい、、、
そして、何枚か前の写真で気づいた人もいるかもしれない!
汁物はなんと、岩手県久慈市山形町の名物「まめぶ」だ!
地粉の団子の中身は地元の鬼クルミと黒砂糖。それが、根菜類と塩・しょうゆ味のお出汁に浮いている。このしょっぱあまの不思議な美味しさ、ぜひ多くの人に食べて欲しい滋味深い味わいなのだ。
そしてデザートは、これを逃しちゃいけない水ようかん。
「かき氷もあるよ!」
あああああああああああああ シロップも自家製のかき氷、食べたい! けど、ここで妻からギブアップ(笑)
いや、おいしかったねぇ!
ということで、今回はポテサラにアジフライ、味噌汁ご飯はできなかったけど、近いうちにそれやりにいきまーす。
みなさん、広尾の山藤は元気です。「コースはちょっとな」、と縁遠くなってしまった方々も、ぜひひょっこりと覗いてやって下さい。
■有機和食 山藤
https://yamafuji.net/
東京都港区南麻布5−15−25広尾六幸館2F
03−5795−2683