出張で熊本に行く時、なんとか時間が捻出できれば行きたいと思っているのが、僕の農業の師匠である ぽっこわぱ耕文舎だ。フランスでよしこさんとドニーさんが出会って一緒になり、日本へやってきた時に、ドニーさんが日本の土地のもつチカラに感激し、農場を持つことに。当初は千葉の外房で営農していたが、九州の土壌に惚れ込み、南阿蘇の長陽へ移って30年以上が経つ。その農法は、ヨーロッパの有機農業の源流でもあるバイオダイナミック農法だ。
僕は自由の森学園高校時代、まだ千葉にあったこの農場と出会い、農業に関わる道を進みたいと思うようになり、今に至る。僕にとって、今行く道を選ぶきっかけを与えてくれた源流のひとつだ。
熊本の地震の際にも持ちこたえた母屋。この入り口にさしかかるだけでいつもなんともいえない思いがする。
千葉からの移転から数年は、土壌改良のために大量の堆肥を投入していたため、この辺のスペースにはダンプが積んできた牛糞(もちろんくまもとあか牛のものだ)を積み上げた山になっていた。フォークをもって人力で堆肥を切り返していた頃が懐かしい(あれでみんな腰をやられていた)。
雑然とした母屋もまた変わらぬ光景だ(笑)
彼女は僕も仲良くさせていただいていた研修生Oさんの娘さんだという。 「娘!!!!? ま、マジで!?」とビックリしてしまった。世代は確実に変わりつつあるのだ。
「なんにもないけど食べて」とよしこさんが作ってくれたのが、まさによしこメシとしかいいようのないフランステイスト。
グリーンレンティルとタマネギをビネグレットでざっくり和えたサラダと、クスクス!
よしこさんも青春時代をフランスで過ごし、ドニーさんと一緒になったので、フランスの家庭料理が大得意中の得意なのである。
まだ高校~大学生時代の僕は、ぽっこわぱに来る度によしこさんが作る、見知らぬ香りのハーブ満載の料理に幻惑されたものだ。だって、羊肉たっぷりのクスクスとかですよ、それに「からいわよー」といいながらハリッサをのせて。もう、クラクラしたものだ。
いま、よしこ&ドニーの娘であるハナが、なんとエコール辻を卒業して日本料理店に勤めている。この家で育ったら、そりゃあ他にいない感性を持った料理人になること間違いない。今後が楽しみでしょうがない。
じつはこの日、ぽっこわぱが今後進む道を考えようと、かつてここで一緒に働き、近県で就農した卒業生達も集まっての会議だった。
ようやく、いやもう少ししたら、僕がぽっこわぱの役に立てるかなあ、という空気を感じた時間だった。
ちなみに、この農場には堆肥をとるようの繁殖あか牛がいる。
有機農業にとっては循環がもっとも大切なこと。農場内で有機物を循環させるためにも、有畜複合は早い段階からぽっこが取り組んでいたことだ。
ドニーさんも歳をとったが、それでも元気!
そして夕刻のよしこメシは、皿うどん!
もちろん野菜はすべてぽっこわぱ産。旨かった!
慶應SFCの畑サークル八百藤でぽっこわぱに研修に来たみんな、よしこさん、ドニーさん、よっちゃん、みんな元気! また会いに行こうね。