ユーゴまで登場しての夜を経て、まずは昨晩、歓待してくれた面々の集うBeauvallet社へ。
あ、ここから先、枝肉などの写真がでてきますので、そういうのに弱い方はお気をつけください。といってもそこまで生々しいシーンはありませんが。
もちろん昨日にひきつづきユーゴも同席。
Beauvallet社による、プレミアム名リムーザン牛のブランド「OR ROUGE」の説明。ヴァーシュ(経産牛)であり、一定以上の品質で育ったものだけが得られるというブランドマークだ。
これを維持するために、理想的な肉牛の育種・改良を行い、その奨励のためのコンテストの開催もしている。
チャンピオン牛となった人達。
面白かったのは、チャンピオン牛のセリが開催されること。あ、このおっちゃん、昨日僕の隣に座ってた、育種専門家のおっちゃんではないか!
この牛はなんと24500ユーロ(297万円)!
あっ ユーゴも激賞してる。
とこんなかんじで、俺たちは品質を維持し、ブランドを持続的に成長させてるんだよ、というプレゼンテーションでありました。
「さあ、それじゃ工場内へ」
工場内では基本的に処理ラインの撮影は不可。クレンリネス、作業の正確さ、どれもなかなかなものでした。
ところで、OR ROUGEに選ばれたものの中でもプレミアムな個体だけになされている「とある技法」がある。食肉関係者には興味深いところだとおもうので、書いておこう。
下の写真、右側に吊してある枝肉と、左側にある枝肉の違いがわかるだろうか?
そう、右側の枝肉は吊り下げる足の腱の骨を吊り下げる、世界的に共通したやりかた。そして、左側の枝肉は、、、
モモ肉の中に器具を通して吊り下げられている。なんでこんなことをするのか?
「どちらが肉にとって自然な形だと思いますか?そう、足の腱から吊り下げてしまうと、牛が後ろ足を蹴った状態で吊られていることになり、肉に緊張が生じ、筋肉がぶつかり合ってしまう。それでこの部分の肉質が悪くなってしまうんです。この、モモの中に器具を通して吊す方法は、アイルランドの一部で行われている方法で、これを参考にフランスではここだけで行っています。」
なんと、そういうことか!
「このような処理をするためには一体につき3~4分ほどの時間が余分にかかりますし、またスペースも通常の2本分を開けなければ成りません。ですからすべての枝肉をこのようにすることはできませんが、選り抜いた枝肉はこの方式で高品質な肉にするのです」
とのこと!
「ほら、このモモ肉を観て下さい。繊維がとても自然な状態になっています。それに対して、こちらは通常の方式で吊したもの。」
うーん、俺が観ても全然わからないけど、全体の形が少し変わっていることはわかった。たしかに、理屈としてはよくわかる!牛のお尻を重視するフランスらしいこだわりだな。
ところで、ここではジェニス(未経産牛)とOR ROUGE格付をされたヴァーシュ(経産牛)の全パーツを並べてくれていた。
ので、よーく違いがわかった。
こちらがOR ROUGEのバーシュで、、、
こちらがジェニス。やはり未経産牛であるジェニスは色味の深さがなく、若い印象だ。
OR ROUGEに選ばれし肉、オリビエがナイフで生のままカットして、口に放り込む。
「ウーン、エクセレント!」
いや、これがね、ホントに美味しい。
生肉で食べるのが一番旨いんじゃないか?ってくらいに深みと香りのある味わいなのだ。
ステーキになるロイン系と、ランイチやウチモモあたりは精肉で需要があるが、それ以外の部分はハッシュ、つまり挽き肉化される。
フランス人にとってハッシュ肉はとても大事な文化だそうで、日本のようにいろんな端肉を混ぜるのではなく、単一部位から作るのがよいとされるそうだ(もちろんそれはよいハッシュだけのはなしだとは思うが)。
おもしろいのは、徹底的に脂を除去するということ。ご覧の通り、日本の挽き肉とは違って赤身がほとんどである。これじゃないとフランス人は怒っちゃうらしい。
おおっと、ユーゴデノワイエマークのハッシュを発見!
ここにもあったぞ。
ユーゴはどうやらこのOR ROUGEシリーズと契約取引をしているらしい。あとで聞いたところによると、OR ROUGE設立当初はだれも相手にしてくれるところがなかったらしいが、ユーゴが「これはいい!」と認めて、自分の取引先に熱心に進めるようになった。有名人であるユーゴがはたらきかけたことでOR ROUGEのリムーザン牛の評判が上がり、ブランド価値が確立された。そんな功労者として、ユーゴは産地から讃えられているそうなのだ。
部屋に戻ると、会社のロゴマーク入りのベレー帽を全員に進呈してくれたので、みんなでかぶる(笑)
「やまけんさん、なんか、ひしひしと『買えよな』って圧力を感じます」
と中澤社長(笑)!
そこから、工事中の市庁舎へ移動。
荘厳な建築でございます。
ここはVIPルームだそうです。いよいよリモージュ市長さんから中澤社長へのメダル授与。
なんとプレスが待ち構えている!明日の朝、地元新聞に載るんだろう。
カメラマンの手元を観ると、Nikon D4、D850、黄色いセーターの女性はマイクロフォーサーズのLUMIXにライカの広角ズーム。つまりニコン優勢でキヤノンもソニーもみなかった!俺と友達じゃーん!!!
地元新聞社の記者(ネーナに似てない?)にインタビューされる中澤社長。
しばらくして、リモージュ市長登場!
メダル授与!どんなメダルなのかは識りませんが、、、
こちらのカメラマンはフラッシュを焚きません。なんででしょうかね。
この時、市長さんが中澤社長になにをはなしてたかっつうと「もしあなたの国に大変な災害や戦争などが起きたときは、リモージュへお越しください。わたしたちがあなたを歓迎し守りますから」と言ってくれたそうである。中澤さん、リモージュに家建てないとね!
そのあとは歓談。
さて、いよいよ生産者の牧場へ向かいます。