Nikon Z6+Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZF.2+LED照明
気に入った店があると何度も再訪してしまうのが僕のクセだ。ここ3ヶ月の間で青山一丁目駅のThe Burnは6回も足を運んでしまった。最初は、サステナブルライターである佐々木ひろこさんの紹介でランチにいったわけだが、あまりに気に入ったので仕事のオファーもしてしまった。この夏、いろいろ楽しみにして欲しい。
さて、その仕事関連のクライアントを連れての食事。
毎回撮影しているが、地灯りでの撮影は限界があるので、他のお客さんに迷惑にならないように、LEDでひっそりと光を当てることに。
カメラはZ6、結論としてこれは巷の評判よりもよいカメラで、最近とみにD850の出番が減っています。ただ、レンズはまだネイティブレンズがあまり揃っていないので、マクロレンズを色々試行錯誤しているのだが、持っているなかでは一番出番の少ない方だったマクロプラナー50mmf2を。じつはZ6とこのレンズの組み合わせ、驚くほどに最高、というのもピーキング機能があるので、F2の開放絞りでもピント合わせが楽なのだ。
この日ぼくはノンアルコール。アメリカで流行っているシュラブという、お酢と果汁、炭酸を組み合わせたドリンクを。いまはブラッドオレンジのシュラブで、これがまた美味しい。
ピリッとしていると思ったら、粉砕したトウガラシがかけてある。これがまた実にいい味を出している。
フィンガーフードのパネッラ。ひよこ豆の粉末を揚げた、言ってみればスパイス抜きのパパドゥ(インド料理屋で出てくる豆せんべい)みたいな感じ。こういう豆づかいがこれから日本でも流行る気がする。
この店の前菜として人気の高いケールのサラダ。ケールかよ、と思うかもしれないが、「最近のケールは、青汁ブームの頃と違って栽培技術も高くなったのか、苦いものがほとんど出てきません。刻むときにミントも一緒に刻んで混ぜています。」上にのっているのはジャガイモなどを細切りにしてカリッと揚げたものと、ハラペーニョの輪切り。
これらをいちどに口へ運ぶと、ちょっと驚きの味の世界が拡がる。アブラナ科のケールの、パンチあるイソチオシアネート感と、同じくツンとくるミントの清涼な香り。揚げたトッピングの香ばしさと旨み、そしてハラペーニョのピリ辛感、これらをまとめるドレッシング。素晴らしい!
そしてこの店に来てこの一皿はぜったいに外すことができない。ロメスコソースを合わせたニンジンのロースト。ニンジンはあの久松農園のエロうまニンジンである。ニンジンは火入れの際にレモンとオレンジの果汁を塗りながら焼いているので、ニンジンの甘さに柑橘感が加わって、実にヴィビッド。ナッツと香味野菜をペーストにしたロメスコソースの濃厚さにがっぷりよつで合うニンジンの存在感である。
ここではめずらしく、魚料理も。といってもここの米澤シェフ、この店を教えてくれた佐々木ひろこさんが主催するChefsfortheBlueの一員なんだよね。
だから、この店の魚料理も美味しい!今回はイワシとブラッドオレンジ。
ブラッドオレンジのピールがちらされたこの一品、ブラッドオレンジの苦みに似た強い味わいと絶妙に〆られたイワシがいいマッチングだ。
調子に乗ってもう一皿シーフード。ヤリイカのイカスミソースが美味しいというので頼んだが、、、
本当に美味しい!ヤリイカの内蔵部はミキュイ状態でやわやわトロトロとしており、イカスミソースの濃度とバランスがとれているのだ。
で、この日の主題。
このお肉、いつもThe Burnで出ているものではなく、持ち込み肉であります。それなのにバッチリな焼き加減に合わせてきた!
表面はバリッザクッと心地よい”Burn”状態。そこから5ミリほど火の入った層があり、内部はジュクジュクと肉汁が躍るミディアムレアの部位が。しかもこれを噛むとサクッと歯切れよいのだ。
あまたのステーキハウスがあるけれども、サステナビリティを念頭に仕入れられた肉のチョイスと、焼きの技術とのバランス、この店は実にレベルが高い。
持ち込み肉だけでは申し訳ないので、お店の肉もやいてもらって食べ比べ。この日は宮崎県産の黒毛経産牛だ。なんつってもサステイナブルレストランですからね、
経産牛を選ぶのもいい視点。これがまたとてもよい。ギュッと肉質が詰まっており(硬いわけじゃないですよ)、旨みが明白に濃い。未経産牛にはない味わいのよさがある。もちろんサシのくどさは皆無。持ち込み肉よりも美味しかったかもしれない。
それにしても米澤シェフ、佳い顔してるんだよね~。
いい具合に垂れ目で、ニコッと笑うとなびいちゃう女性が多そうでジェラス(笑)
この日の〆はボロネーゼのパスタ。
「じつは僕、最初に修行した店がイル・ボッカローネなんです」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
あの時代を代表するモテレストラン、、、理解しましたっ!
おまけに、また別の仕事でお世話になるテーマで、「こういうの作ってみました」と。
えーと、これは解説しませんけど、クリームで煮てあるようにみえるでしょ。クリーム使ってないんです、、、あとはナイショ。
サービス陣の活きがいいのもこの店のいいところ。いや、粋というべきか。みんな節度をもったフランクさで、ゲスト達をチアアップしてくれる。エスプレッソを頼んだクライアントが「砂糖はいらないです」といった時、下げようとしながらも「じつは、エスプレッソで美味しい飲み方は砂糖を使うんですよ」と。
「えっ!?」
となって、引き寄せられてしまう。
「ドゥッピオ(ダブル)なら角砂糖二個入れて、スプーンでゆっくり40回程度掻き混ぜるんですよ。そうするとクリーミーに乳化するんですね。それを呑むのが美味しいんです」
となったらやってみたくなる!で、実演してもらった。たしかに泡が乳化した感じになり、クリーミー!
こういう楽しさを味わえるのは、サービスマンがいい距離をたもちつつ、都度都度にサジェストをしてくれるからだ。
デザートもうまい。堅めでカラメルの濃いプリンもうまいが、この日はホワイトチョコレート入りブリュレチーズケーキ。これがまたチーズとホワイトチョコ好きならたまらない旨さなのである、、、
帰り際、肉焼きグリルを見せてもらう。
日本ではほとんど入っていないこのグリルだからこそあの焼き加減になるようだ。
さて、The Burnを辞して、同じく青山一丁目駅から5分も歩かないところにある和食「てのしま」へ。
じつはある企画で林さんを引っ張り出すつもりなのだ。
前の店でかなり食べているけど、ちょろっとつまみたいな、と。
ほんの小さな豆アジを揚げたのを、なんとブラッドオレンジ果汁で〆た南蛮。
そして、ちょろっとお寿司をば、、、
たけのこいなり、鯖の棒寿司、穴子の棒寿司。
もう、いうことありません。お寿司やさんのそれともちがう、日本料理店のお寿司だなと思うのは、味わいに尖りがなく、均一感を感じること。もちろん味の勾配はあるのだけれども、前後の料理との脈絡の中で美味しくなる味わいである!それにしても穴子の濃厚なツメが素晴らしくて、皿に残ったのを指で舐めちゃう。
さらに出汁の話しを聞いているうちに、この店のスペシャリテである煮干し出汁のにゅうめんもお椀代わりにちょろっと。
いやー、 こんな風に、これからを担うシェフ二人が近所にいるという青山一丁目、じつに熱いね!
The Burnで下地を作って、てのしまで〆るという贅沢なコース、結構いいかもしれない。
お二方、仕事、よろしくたのんます。