ということで鹿児島に来ています。恐ろしい過密スケジュールです(笑)でも、この仕事の打合せをしたときにまず僕の方から、黒酢の坂元醸造さんを訪ねたいと希望した。というのも、10年ちかく前、鹿児島で講演をした際に坂元醸造の会長さんとご一緒し、「先生、かならずうちに観に来て下さい」と言っていただいたのだ。
もう、会長さんもほとんど出てこられないようだったが、ようやく訪問することができた。
じつは雨の予報だったんだが、、、快晴! そう、僕はかなりの晴れ男です。週刊アスキーに「旅三昧」を連載していたとき、取材ロケ時に雨にほとんど降られなかったので「サンシャインズ」と呼ばれていたのだが、今回も予報をことごとく裏切って晴れ間が続いた。
街道から坂元醸造の案内板をみて曲がると、いきなり現れたこの風景。
これが「壺畑」だ。鹿児島県の福山地方でつくられる黒酢は、素焼きの壺で仕込まれる。この壺をドダーーーッと並べた様が畑のようなので、このネーミングは実にマッチしている。
このかっこいい建物が坂元醸造の施設である。
われわれを案内してくれた、醸造部の立和田さん。笑顔が最高!
彼に着いていくのだが、、、
あのお、、、
そのベルトに差してる棒、なんですか?
「これはね、わたしたち技術者が入社したらかならず山に入って、自分で切り出してくるものなんです。黒酢を攪拌するなど、仕込みのときに必要になる道具なんです。」
という! 残念ながらすでに仕込みは終えて、いまは壺内発酵・熟成のタイミングなので、これを使っているところはみられなかったが、プロの道具なのである!
やったぜ ビバ桜島!
「雨の予報で、朝からずっと土砂降りだったんですが、2時間ほど前にあがったんですよ、、、」
やりました!
ここが、12,000本の壺が並ぶ最大の壺畑。
この奥行きと
この拡がり!
圧巻である!!!
立和田さんの解説でお酢作りを学ぶ。
ご覧の通り、麹を入れて蒸した米をまぜ、地下水で仕込んでアルコール発酵を起こす。麹菌が蒸した米のデンプンをアルコールに変えてくれるわけだ。アルコール発酵が終わる頃、酢酸菌が活動し始めて、アルコールを酢に変えていく。
先生、質問! お酢を造るとき、アルコールに酢酸菌膜を他から持って来て入れるのではないのですか?
「いい質問ですね!」 ニコッ!
ここ福山で製造する黒酢は、壺の中に酢酸菌が居着いているのでしょう、自然にアルコール発酵が落ち着いた頃に酢酸菌も活動を始め、お酢が造られていくのです、という説明だった。マジか!一説では素焼きの壺の表面にある無数のミクロの穴に酢酸菌が棲み着いていることで、アルコール発酵時も共存できているのではないかとか言われているようだが、スゴイ知恵である。
しかも、このあたたかな福山の気温と日光によって壺の表面が適度な温度に保たれ、発酵が進むのだそうだ。
発酵の段階と熟成の段階では少しずつ管理が変わる。酢酸発酵の段階では、空気と触れあう面が大きい方が酢酸菌の活動が行われるため、上写真の竹棒が指す、いちばん断面積の大きなあたりに水面が来るように調整する。
そしてアルコール発酵が終わって熟成の段階に入るときは、壺の口のすぐ下までお酢もろみを満たすのだそうだ。
では、熟成にはいって半年のお酢。
次に、1年もの。
最後に、三年もの!
このように色が褐変していく!
飲み比べをさせていただいたが、はっきりいって半年ものでも十分美味しい!
200円程度で買えてしまう穀物酢や米酢と表示されているものと比べれば、味わいがはっきりとあるお酢である。当然だ、純米酢ですからね。
しかし、1年ものを味わうと素晴らしくうま味が濃く、それを増幅させる風味が豊かになっていく。立和田さんたち社員さんらは、一年ものを日常的に使用することが多いそうだが、それも頷ける。
3年ものは、紹興酒のような香り、コハク酸ぽいニュアンスが強い。うま味が強いがまろやかになって角が取れていく。すばらしく美味しい!
同行の鹿児島県のお二人も舌鼓。
さて、この施設内のハイライトは、なんといっても黒酢料理レストランの「壺畑」である!
桜島と壺畑を望むこんな眺望で美味しい中華料理を味わうことが出来る!
一番人気の1800円の彩りランチセット(に、お酢ドリンクは別途オーダーしています)。これ、超お得ですよ!
一番人気はやっぱり酢豚!
カリッと揚がった豚肉にからむ黒酢あんはそんなに酸味がきつくなくまろやか、うま味が濃くご飯が進む!
チキン南蛮もとても美味しかった!
セットについてくるスープもやわらかなお酢風味で美味しい。
お酢スイーツまでついてくる!
もちろんご飯の後はショッピングを!
調子に乗って1万円分くらい買っちゃうこと必至なので、お気をつけて、、、(笑)
いやほんとうにすばらしかった!
坂元醸造のみなさん、ありがとうございました!!!!
■黒酢、くろずは鹿児島県福山町の坂元醸造 |
http://www.kurozu.co.jp/