今年開店した佳いフレンチといえば、ここを外すことはできない。白金の「ジョンティアッシュ」でミシュランの一つ星をとり続けた進藤佳明君が満を持して独立、お互いのクセも何もかも知り尽くしたソムリエの熊澤君と開いた「ラリューム」だ。
進藤君とは、彼がまだ六本木ヒルズのラトリエ・ロブションで、現「レストラン リューズ」の飯塚シェフの下についていた頃だ。やんちゃな弟分は、いつも「でもいつかは自分の店をやりたいっすよ」と言っていた。この頃から、毎年のように横須賀の長島農園で春先に行われるタケノコ掘り大会に進藤君も参加するように。
そしてシェフを務めることとなった「ジョンティアッシュ」では星をとり続けることができたけれども、やはりその先、自分でリスクをとってすべてを決めて行く道を選んだ!
事情を知っている人も多いだろうけど、白金で永く続いたフレンチの名店「オザワ」の店を居抜きで譲り受けたということ。いいよね、やっぱりフレンチは銀座と白金だよ。
レセプションにもお邪魔したけど、その人柄ゆえ、むちゃくちゃ混みまくってゆっくりできる雰囲気じゃ無かったので、後日ゆっくりとご飯を食べに行ったのでした。
今、写真を現像してみたら8月19日のことだった!すみません真冬ですが真夏のメニュー写真となります。
何も言わずともカウンター(笑)。そう、シェフが目の前で最終調整をしてくれるカウンターこそ、この店の一番いい席。いや、デートで行くならもっとシックな席がよいかもしれないですけどね(笑)
アミューズはスーパースイートコーンであるゴールドラッシュの冷たいスープ。
■白レバー 活き帆立貝のタルタルを詰めたグジェール
前菜のグジェールからして、もっと食べたくなるほど美味しいのを出してくるのが、進藤スタイル!きっちり作り込んでいます。
フライヤーがカウンター前にあって、なにかフンワリ揚げているなという気配を感じたと思ったら、、、
■鮎のベニエ 茶豆のリゾットとキュウリのコンディモン
鮎でした! 冬に観てもまた食べたいな。
軽くパリッと皮目の揚がった鮎の香りと、茶豆の香ばしさ、キュウリの爽やかさが合わさり、清流流れる川のイメージ。
美味しい、、、進藤君の風貌から、力で押しまくってくるタイプにみえるかもしれないけれども、とても繊細なセンスを持っているやつなんですよ。
■北海道産生ウニと香り豊かなコンソメジュレ 水茄子のタルタルを焼きナスのムースリームで覆って 花穂紫蘇をアクセントに
かわいい器の蓋を取ると、、、
なんとも美しい。ロブション仕込みの華やかな見せ方はばっちり踏襲されていますね。
泡雪の下には、、、
ウニ!
ウニとコンソメのコンビネーション、よく出てくるけれども、上にかかっている白いムースは焼きナスなのですよ。だから、うま味力押しになりすぎず、日本人が潜在的に好きな香りをまとって、親しみ深い。料理名に書いているとおり、花穂じそをときおり歯で潰した際に、香りがブッと立ち上がって清涼感を与えてくれる。
美味しいね、、、
■フォアグラのブランシャ焼きと福井県産黄金柑のハーモニー ツルムラサキの苦みと黒胡椒のクランブルをアクセントに
■オマールブルトンのロティとマツタケのソテー ソースコラリーヌとマッシュルームのエキュームと共に
オマールとマツタケ!しかもエビのうま味を濃縮したソースですからね。みるからに濃厚!という感じがするけれども、そこは進藤君、ちゃんと味の設計をしていて、濃厚一本やりではなく、ちゃんと「抜いている」ところがある。しっかりソースを使っていながら、詰めすぎていない感じに仕上げているのがいい。
■香川県産マナガツオのブランシャ焼き ズッキーニのフォンダンにのせて
ベルノー酒香るクリアなトマトのエッセンスで
ペルノーの香り、大好きです。そしてブランシャ焼きの火入れ、おそらく二番手の彼がやっていくれているのだけれども、絶妙です。
そして堂々のメイン。熊本のあか牛という選択肢もあったけど、、、仕事で牛肉ばっかり食べているので、ここは小鳩を選びました。
■フランス産小鳩を藁の薫香をつけてロースト
ジロール茸と万願寺唐辛子を添えて
二番手の彼とはこの人です。いずれ強い肉ヤキストとして名を馳せるでしょう。
肉の火入れに関して、進藤君にも絶対の自信があると思う。ロブショングループ出身の技術は盤石!
■シャインマスカットとライムのソルベ シャルトリューズヴェールのエスプーマ
■白桃と黒文字のかき氷
いやもう最後まで堪能しましたよ!
進藤君の料理は、日本人が「フレンチだな~っ!」と思い、美味しく食べられる料理のど真ん中を突いていると思う。だから、間違えるということがない。先日も仲卸の友人から「奥さんを東京で店に連れて行くんだけどさ、いい店ない?」と訊かれた際に迷わずここを薦めた。もちろん、奥様は大満足してくれたそうだ。
ラリューム、来年には星が着くだろうね。問題は、ひとつかふたつか、かな?(笑) 進藤君、またタケノコ会で会えることを楽しみにしています。