ということで、ここでも告知した食生活ジャーナリストの会の勉強会、無事に終了しました。台風14号の直撃が懸念されたけれども、結局それほど影響はなく、遠く沖縄からも飛行機で参加してくれた方までいらっしゃいました。
瞬時に埋まってしまったこの勉強会、なんといっても座学の第一部に加えて、第二部の企画で人が集まったのだろう。
それは、同一個体のロース2本を、1本はドライエイジングにして、もう1本はウェットエイジングにして同期間熟成し、食べ比べるというもの。この会場として貸しきりでお願いしたのがカルネヤサノマンズなので、熟成は当然ながら静岡県富士宮市のさの萬さんにお願いしたわけだ。
それにしても、同一個体のエイジング方法別の比較って、言うほどに簡単なことではない。さの萬のドライエイジングのベーシックはホルスタインの肉を45日間熟成したもの。なので、今回もホルスでお願いしたのだが、真空パックでのウェットエイジングで、「保つ」個体と、保たずにイッちゃう個体がある。それを見極め、いい個体を選別してくれなければ危ない。6月後半からの入庫なので、ウェットの方はヘタをすれば真空を開けた途端に乳酸ぽい匂いがして、使い物にならないようになってしまうことも予想される。
当日、第一部が終わってタクシーに乗ってカルネヤサノマンズに到着、すぐに高山君に肉の状況をきくと、ニヤリとして「やまけんさん、ドライはもちろんなんですけど、ウェットのコンディションが半端なくいいです!」と言うではないか。
ということで開幕。
高山君から肉と焼き方の説明、そしてこれが本日の食べ比べ肉。
左のカットして小さいのがウェットエイジング、右側の骨付きがドライエイジングだ。これを同じ焼き加減で焼いてもらい食べ比べる!
奥がウェットで、手前側がドライ。
参加のみなさんに、香りと食感に着目しながら食べてもらう。
いや、驚きました。何に驚いたかというと、長期のウェットエイジングとなった方も、実に実にじつ~に美味しかったのだ!
「えっ ウェットエイジングのほうも美味しいじゃないですか!」
という声、続出。ただ、もちろんやはりドライエイジングのほうが、特有の美味しさが発現しているという声が多かったけれども、それにしてもウェット、大健闘!
そこにこんどは、北海道は足寄の北十勝ファームの短角牛をさの萬さんがドライエイジングしたものを。
おおお~とどよめきが。
そう、やはり乳用種であるホルスタインと、肉専用種であり和牛品種である短角牛との違いが大きく出た。まずは、うまみの幅が大きい。そしてメイラード反応で焼き目のついた部分の香りの強さと、ドライエイジング特有のナッツ香の立ち方がダイナミックだ!
乳用種の同一個体のエイジング方法別食べ比べ。そこに和牛品種の食べ比べがはいり、最後はカルネヤサノマンズお得意のミラノ風カツレツ。
みなさんとどめを刺されていました。あっ でも料理はこれだけじゃないよ、もちろん炭水化物もです。
わたしの企画した会ですからね、そりゃあね、、、(笑)
前菜から肉、肉、肉、肉、パスタ、そしてアマゾンカカオのデザートを堪能。みなさん、満足していただけたようです。
この方は沖縄のうるま市で経産牛肥育をしている生産者さんだ。
「やまけんさんが経産牛は美味しい!と書いておられて、勇気づけられて今日来ました。来てよかった!」と言ってくれて、本当に嬉しかった。ぜひ経産牛のドライエイジングにチャレンジして下さい。手伝いに行きます。
ドイツ流のハム・ソーセージをてがける「クロイツェル」吉岡さんも、自己流のドライエイジングにチャレンジしているが、今回も得るところがあったようでよかった。
食生活ジャーナリストの会だけあって、質問続出。高山君、肉の焼き方指南をお得意の面白い例え話をしながらやってくれました。
それにしても今回の試みは面白かった。そして、あらためて熟成って、手がける人によってまったく違うと実感した。さの萬さんと先日も書いたサカエヤさんでも全然違うし、熟成庫やそこに入れる肉の選び方で大きく味も食感も変わる。
なんちゃって熟成をする人達が減っていって、ちゃんとしたドライエイジングを施せる人達ばかりが残っていって、それぞれの味を楽しむことができる世の中になればいいな、と思ったわけです。まあそこに至るまで、ドライエイジングに関してはまだまだ山あり谷ありだけどもね。
今回の勉強会、JFJの幹事として取り仕切ってくれた大久保さんに感謝。カルネヤサノマンズのみなさんに感謝。そして、富士宮「さの萬」の佐野社長には、素晴らしい熟成をしていただいて、心より感謝します!
あ、勉強会参加者のみなさん、「この話はオフレコで」とお願いした部分は本当にオフレコでお願いしますよ~!