ピエモンテーゼ種の中でも、未経産のメス牛を36ヶ月肥育したブランド”Fassona"を食べに、Oberto社の契約農場からほど近くの町へ。
小体だが多くの人が訪れるレストランへ。中よりも屋外席のほうが人気らしく、地元の人達が家族づれで訪れ、フランクな服装でご飯を食べている。
ちょっと見えにくいが、このレストランは高台にあって、天幕の向こうはブドウ畑を見下ろす位置にある。
リコッタをクレープ様のパスタ生地で包んだもの、サーモンの前菜。
レストランのオヤジに「ジョルナリスタ(ジャーナリスト)なんだけどフォトOK?」と聞くと嬉しそうにポーズ決めてくれた。
ワインは最初から泡・白・赤を各自に!
あ、でも案内のルチアーナさんは「あー、もうそれくらいでいいから!」て感じで。
気合い入ってます(笑)
今回はワインエキスパートさんもいるので、ワインのセレクトと評価はもっぱら彼女担当。「うん、おいしい♥」
さて前菜は、Fassonaのモモに低温調理を施して薄切りにした肉に、イタリア独特の食べ方であるトンナートソースをかけたもの。
トンナートとは、ツナの缶詰をソースにしたもの!つまり魚のソースで肉を食べるという、ダブル蛋白質な食べ方! なんじゃそれと思うけれども、これがまた美味しい。
思うに、こちらの畜肉は総じてアッサリしている(サシがないし、肉の風味も穏やか)なので、コクや油脂をソースなどで補って食べる料理が多くなっているのだろう。
そしてでました、この旅ではほぼすべての食卓に出てくるタルタル!
もうね、イタリアにしてもフランスにしても、生肉であるタルタルを食べるというのは文化ですね。高温多湿で菌類が繁殖しやすい日本とは違い、スーパー店頭にタルタルのパックが売っていて、レストランには業務用のタルタル用肉が卸されている。
そしてなにより、美味しい。
このタルタルの肉は、これ以降出てきたFassonaの肉より色が濃かった(上の二枚は撮ったカメラが違い、1枚目がニコンD850、2枚目がパナソニックGF9なので色味がどうしても違いますが)ので、違う個体の牛だったのだろうと思うのだが、とにかくこのタルタルの個体はとっても味わいがあり、シットリとしていた。
なんだろう、いつも感じることだけれども、アジのたたきやマグロなどの魚を食べているような感覚だ。
お次はカルパッチョ。タルタルの次にカルパッチョ!?普通はどちらか一方でしょうと日本人的には思うかもしれないけど、そんなことはなくてこちらでは別物として両方食べるのも当たり前な空気だ。
カルパッチョ用のこの肉、内モモかランプあたりかな?と思うけれども、日本人的感覚からすれば繊維は粗い。だからといって大味というわけではないけれども、味わいはアッサリしています。
和牛の場合「モモ抜け」といって、霜降りがモモ肉にまで入っていることが重視されるけれども、赤身肉が多く付き、またサシが入りにくくなるダブルマッスル系統の牛のみをあつかうFassonaブランドなので、とにかく赤身。モモ部位に関してはルチアーナさんが説明してくれたマイクロマーブリングという、微細なサシがみられるわけではなさそうで、至極あっさりした心地よい味わいの赤身肉だった。
トリュフの風味がアクセントになります。タルタルとは違って、少し噛みしめる感じを楽しむのがカルパッチョなのかもしれない。
柳瀬シェフと粕谷ちゃん、ワインについていろいろ訊いています。
そして、プリモピアットはやはり、Fassonaのラグーを和えたタヤリン!
もう、ピエモンテに来たらこの料理一択でいいや。
パルミジャーノをおろして、、、
うん、ヒデさんの造ってくれた極細タヤリンよりすこし太めの麺は、食べ応えもあり。黄色が強いのは卵でしょうかね。日本人的には「ミートソース」と称して、ラグーを乾麺に和えて食べるのがDNAに刻まれている感じだけれども、こちらで数回食べただけで、このタヤリンの美味しさにはまりつつあります。手打ち麺て美味しいのな!
さて、待ってましたのFassonaビーフのタリアータ。
識らなかったのだけれども、説明を聞いていたら「タリアータはモモ肉を焼いたもの」という説明が。Fassonaはそれが向いているという独自ルールかもしれないけど、そう言っていた。ビステッカにはロースということなのでしょうか。内モモと思われる肉。
味わい的にはやはりごくごくあっさりしたもの。さきほどのカルパッチョと同じような肉質。ただし、ゼブ牛の血統を思わせる要素もなくて、固定観念で「大味」「緩い」という感覚を持っていたのだけれども、そんなこともない。肉汁がジュッとしみ出るということもないけれども、さっぱり美味しくいただいた。
納品されている部位の関係もあるだろうが、ロースをしっかりした厚みで食べてみないと、Fassonaの真価はわからないのだろうな、とくにマイクロマーブリングと彼女達が言っている、Fassonaのみがもつという特性は、ビステッカで現れるのだろうと思う。
いつか食べてみたいな!ただし、36ヶ月齢まで育てるFassonaは、日本へは輸出不可能。残念だがこちらで食べるしかありません。旅で来た人はぜひ味わって欲しい。
ルチアーナさんたちとはここでお別れ。
アンズコフーズの強力なネットワークがなければ、こんなふうに農家さんの軒先まで廻ってのツアーはできなかったろう。金城社長に改めて感謝です。
さて、旅はワインの道に続きます。