羊齧協会(ひつじかじりきょうかい)という団体をご存じだろうか。そのWebをみると、協会幹部学校なるものがあったり、「中央主席」が最高位にある組織作りといい、実に怪しい、怪しい感じしか伝わってこない造りである。
一方で羊齧協会は、羊フェスタという大規模イベントをこれまでに数年間実施してきており、中野で開催されているここ数年は数万人を動員するまでに至っている。あまりに面白いので、月刊「専門料理」の4月号の僕のインタビュー記事ではその中央主席である菊地一弘さんにインタビューを試みた。
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インタビューの最初に尋ねたのは「えーっと、菊地さんは中国のスパイですか?」という馬鹿な質問だったのだけれども(笑)もちろんそんなことはなく、菊地さんは生粋の岩手県生まれで、北京外国語大学で学び、貿易関連の仕事やイベントプロデュース、大学の講師など広い分野で活動している。ていうか、インタビューしてもその人物像の全体はつかめなかった!面白い人です。
おそらく菊地さんの人物像に切り込んだ記事はあまりないと思われるので、気になる人は専門料理バックナンバーをぜひ呼んでみて欲しい。
まーでもとにかく羊齧協会だ。協会の趣旨はとにかく羊肉を楽しむ文化を推進すること(ですよね?)なので、協会主催で何度も宴が開催されている。このたび、その「聖地」といわれる「神田 味坊」で貸し切りの大宴会が催されるという情報を聞きつけて、参加させていただいた。
総勢60名が味坊に入れるの?と思ったら、はなれの店なども含め近隣4つの会場に分かれての開催。くじを引いて4つの会場にわりふられる。僕は「本店二階の手前」。すでに到着していた人達が談笑している。
初めて参加する人は少なくて、圧倒的にまわりは常連の方々。こういうの久しぶりだなぁ~っと恐縮しながら席に着く。作法がまったくわからない僕を優しい常連のマトン太郎ちゃんがケアしてくれて、「乾杯の前に「練習」と称して、ビールくらいは呑んでいて大丈夫ですから!」と酒をすすめてくれる。
そうこうしているうちに人民服を着た幹部が上ってきて、今日の会の趣旨宣言と乾杯の音頭!
はい、これが菊地さんの正装です(笑)
「もうね、暑いんですよこの格好!今すぐ脱ぎたいけど、、、」といいながらお勤めを果たしておられました。
テーブルのうえにはまだ「羊」の香りはしませぬ。豆腐とねぎの山椒油和え、ネギ油塩ダレをかけた蒸し鶏。
春雨のあえものと、味坊定番の干し豆腐のホワジャオ風味の和え物。
「紹興酒の樽を奥で開けましたから、欲しい人はきてーーー」
という声で、まわりのかたがとりに行って下さる。きけばなんと48リットルの樽が一晩で空くのだそうだ!!!!
ジョッキになみなみと注いでレンゲで注ぐ方式(笑)
おっとここで羊肉登場!
店の人一人がこのバットを持って各卓に配膳しているのだが、、、
茹でた羊の足とアバラッ!
これをササササッと素晴らしい手際で解体!
ものの2分くらいでこのような状態に!
あとは食べるだけ。みんな思い思いに手を伸ばして羊肉をつつくのである。
この、芝麻醤かとおもった茶色のタレが絶品。腐乳やニンニクなどを混ぜ込んであるのだろうか、醗酵味がする。羊肉は脂の多い部分、赤身の部分入り乱れている。ガツガツ食べているとあっという間になくなりそうに、、、と思っていたら!
すみやかにもう一本追加された!すごい物量です。あ、ちなみに会費は飲み物込みで6000円。
たったの6000円!
料理はまだ終わりません。
豚バラとジャガイモとインゲンの煮物。
そして出ました味坊といえばこれ!
クミンをたっぷりマブした羊串。 先日、御徒町のガード下にある味坊系列の中国酒場で飲んでいたら、隣の女性二人客がこれを頼んだはいいが、そのうち一人がなんとこのクミンが苦手らしく、箸で綺麗にクミンの粒を取り除いているのをみて「ああああああああ」と絶望的な気持になってしまったのだが、、、羊とクミンは最高の組み合わせだよね。もったいない!
この羊串、脂も噛んだ部位でとてもおいしかった!
マトン太郎ちゃんがいつのまにか白酒を頼んでまわしてきます。ハッキリ言って美味しくはない白酒。純度高すぎアルコールなので、舐めただけで脳天がヅーンと熱くなります。
おっとまだ来るのかこんどは羊の唐揚げ!
さまざまなスパイスを混ぜた魔法の粉がついてきます。
いや、たまらないね。ビールで流し込みたい味です。
レタスの炒め物美味しゅうございました。大好物!
そして、化調つかってねえなこの味気なさ、という実に素朴なチャーハン、席のみんなに大好評。なぜか麺もちょろっと入っていてそば飯スタイル。
19:30から始まり、わいわいがやがややっているうちにもう22時半。この間、入れ替わり立ち替わり色んな人達がやってきて「わー久しぶり!」とやっています。本当に常連率が高い。落語家さん、芸人さん、OL、団体職員、商社の人、キヤノンの人(笑)など、さまざまな職業の人が集まる会でしたな。
知ってる人は菊地さんしかいないだろうな、久しぶりにアウェーな会に参加だなと思っていたら、知り合い、ブログの読者(オフ会複数回参加)、ヨガ仲間など何人かいることがわかり、いつもながらのつながりに驚き。
そんなこんなしているうちに閉幕です。菊地主席の〆のお言葉(各会場でこれをやっている)。
「羊串とクミンと香菜に栄光あれ!」
「はい、店の人が帰れないから、みんな出て~!」
ということでお開きだけど、店の前では帰りがたい人達がずーっとたむろっていました。
この熱さ、ネット創生期のオフ会文化発祥の頃をお思い出す。そのテンションをずっと保っている羊齧協会はすごい!
ぜひまた参加したいと思ったのでした。菊地さん、参加させてくれてありがとうございました!羊齧協会に栄光あれ!