秋葉原(末広町)に事務所を引っ越ししてから、バルコニーで肉を焼けるのでテイスティングがやりやすくなって最高だ。今日は豚肉を6種、焼いて食べ比べした。
輸入商社トップトレーディングの伊藤ちゃんが「やまけんさん、オーストラリアから放牧豚を輸入してるんですけど、個人的にはイベリコ並みの美味しさではないかと思ってるんですよ」と。
つーことで、まだ一般の口には入っていないであろう肉を持って来てもらって、試食。
この肉、観る人がみれば気づくと思うが、皮付きである。日本ではもうごくわずかのと畜施設でしか皮付きで豚肉を処理することができないが、なぜか輸入品は皮付きでもOKなのである。
さてこの肉、オーストラリアのクイーンズランドのメーカーのもので、放牧肥育である。240日程度の肥育なので日本の一般豚の170日より二ヶ月強長く肥育している。放牧とはいっても豚の場合は牛とは違って草だけを食べるわけではない。豚は雑食性なので、穀物の餌も与えている。ただし、オーストラリアなのでコーンはほとんどやらず、麦類が主体だ。餌も育て方も違うので、かなり違いが出るはず。
ということで、弊社はこういう場合、単一で食べることはありません。かならず比較対照できるものと並べてテイスティングをします。
豚に関して言うと、事務所から歩いて10分かからない御徒町にある「吉池」の地下1階精肉売場がとても充実している。なんていってもレギュラーでTOKYO Xと平牧金華豚を置いているのだからスゴい。売場みたら5種類あったので買ってきてしまった。
越後もち豚、鹿児島産の黒豚、東京エックス、金華豚、平牧プレミアム三元豚。このうち東京エックスと金華豚は肩ロースだ。
ということで火入れ。
最近、肉焼きはこのイワタニの「炙りや」というカセットコンロでやっているのだが、これがマジで素晴らしい!
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この製品、市販のカセットコンロ用ガスで使えるのだが、直火があたるのではなく、業務用の焼き台のように火の直上に放熱板が着いていて、そこから輻射熱が放散されるイメージ。これはメリットが色々あって、ガスって焼成時にゴムのような臭い匂いが出るのだが、直火だとその匂いが素材に着いてしまう。
以前、ガス関係者が「いえ、燃焼時に匂いは消えるので食材につくことはありません」と言っていたのだが、僕は信じてません。だって、よく寿司屋がカセットバーナーで炙るやつ、あれどう考えても臭いもん。僕は「炙り」はぜったいに頼みません。炭火を網に乗せ、上火で炙ってる職人さんがいるけど、そうあるべきだと思う。
この炙りやはそれが割と回避されている、と思う。このコンロ、肉焼き好きはマジ買いです。「俺は炭火じゃなきゃ!」という人には薦めませんが。
ちなみにこの放牧豚は骨付きチルドで輸入されます。骨にそってカットしました。それでも分厚いので休ませながら3回火入れ。
日本の豚も焼きます。
ということで食べ比べなんですけどね。
結論からいっちまうと、このオーストラリアの放牧豚、
すっげーーーーーうまい!
日本の豚肉(金華豚の血が入った豚をそう言うかどうかはともかく)とはまったく違う次元のうまみがある。といってもイベリコのようなイノシシっぽい感じでもない、豚の繊細さ、きめ細かさがあるなかで、圧倒的に味わいがクッキリ明快だ。
食べ比べた日本産の豚はおしなべて上品で、食感もやわらか。でもオースト放牧豚を食べた後に口にすると「うまいっ」とは言えず、「弱いね、、、」となってしまう。
脂質もとても健全でよい。麦類主体だと僕好みの味にならないことが多いのだけど、なぜかこれは美味しいです。
豚肉のステーキは盤が小さいこともあってなかなか絵にならないので、飲食店もそれをメインには据えにくい。けど、この強い印象を与える骨付きという形態と、好きな人にはタマラナイ皮付きという価値観。これなら厚くカットしてステーキにして、かなり映えると思うし、食べた人は必ず満足するだろう。
また、焼きっぱなしでもいいし、小林銅蟲さん的な低温調理で皮や筋をやわやわにして表面だけガッと焼いて食べさせるのも旨いだろう。ただし、価格もイベリコ並みではありますが、それだけの価値があると思う。
がんばれよ日本の豚、、、
いや、比べなければ絶品が多かった。個人的には平牧プレミアム三元豚はとても味の濃いよい豚だと思ったのだが。
このオースト産放牧豚、買いたい人(あ、料理人か精肉業者ね)は、トップトレーディングの伊藤君に連絡してみてください。喜んで伺います。
伊藤ちゃん、また食べ比べやろうね。