やまけんの出張食い倒れ日記

北海道大学は北大マルシェCafé & Laboの完成をもって、札幌の一大グルメ散歩スポットとなった! 敷地内で放牧された生乳から造った絶品モッツァレラを食べに行こう! その1

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僕が博士課程に在籍している北海道大学の札幌キャンパスには、牛が放牧されている。ということは以前も書いたとおりだ。その生乳は通常どおり生乳の一般販売のルートにのってどこかの乳業メーカーによって合乳され、牛乳製品になっている。見学した際にその牛乳を呑ませてもらったのだが、驚くほどに美味しかった!

いま、北大キャンパスの牧場を監督する三谷先生いわく「ここでは草を食べさせてますからね。穀物飼育の牛乳に慣れてしまっている人は違和感を感じるかもしれませんけど、牛は草を食べさせるのが自然なので、こちらの牛乳の味が本来の味なんですよ」という。実に納得性の高い話しだった。

その頃から「この牛乳、なんで北大マークつけて売らないの?と思っていたのだが、そこはいろいろと障壁があったらしい。まあ、お決まりの「何かあったら誰が責任とるんだ」的なやつだろう。

でも、そこをちゃんとクリアして、昨年中に北大内に「北大マルシェ Café & Labo」がオープン!ここで、北大牛乳を飲むことができ、しかも畜産を学ぶ学生達がチーズ加工もいているという!

これは、学生である僕としては応援しないといかんよな、と思っていて、ようやくこの時期が来た。この時期というのはもちろん、牛さんが北海道名物である雪に閉ざされた冬から、放牧地に牧草が生えそろう春がきて、放牧開始した今のことである!

「あ、放牧シーンまたみたいですか、了解ッス、じゃあ9時から搾乳なんで、8時半頃に牧場に来て下さい」

というので行くことになるのだが、、、Twitterで僕がこの投稿をしたのをみた人も居るだろう。

これに対して「北大5分、そこから30分」というようなことを書いているツイート発見。うーん、分かってるなこの人。

実を言いますとですね、たしかに札幌駅から北大正門までは徒歩5分程度。しかし、北大って広大なんですよ。僕がサッサッサと急ぎ足であるけば、牧場までは20分くらいだけど、お散歩スピードだとたしかに30分かかるかもしれない。放牧風景をみたいなら、北13条駅から歩く方が早かったりする。

でもなあ、北大はぜひ有料でいいから、外部の人が乗ることができる学内循環バスを入れて欲しいな。そんで、牧場見学に行けると最高なのだけれども。

だってこんな奇跡の風景なんだよ!

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北大キャンパスの裏手は、こんな放牧場が拡がっているのですね、、、

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この光景、宝ものだと思いませんかね?

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みんなわりと人に慣れているから、近くに来てモシャモシャと草を食べてくれます。

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恒例の、近づきすぎてくる好奇心旺盛な子達。

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カメラを舐めないで下さーい!

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足を食べようともしないで下さーい!

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それにしても、ホルスタインの白黒模様は、やっぱりみどりの地面と青空の中に放牧すると、最高に映えると思う。

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「まあ、ここでは研究のために牛を飼っているので、どういう環境や習慣でストレスを感じるのか?という実験もします。ある一定の条件に置いて、血液を調べると『あー やっぱストレスかかってるわ』という感じで。そこは牛には申し訳ないんですけど、でもここの牛たちは放牧環境で育てますから、うれしがって飛び回ったりしますよ。」

と。

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さてこの子達はこうやって草を食べて4つの胃袋で消化し、血液となって、お乳を生み出してくれます。

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朝夕、決まった時間に牛舎に入って搾乳。

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搾乳マシン(正式名称は知らんよ)がウィーンと移動します。こういうシステムの有効性を検証するのも大学の役割。

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牛の乳房には4つの乳首が着いている。それを綺麗に消毒。

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Tamron 70-210mmf4

よいオッパイ!

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ここに搾乳機を装着。

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とっくん、とっくんと搾乳します。子牛ちゃんごめんね、人間がいただきます。といったら三谷先生「あ、うちは子牛にもこの生乳のませてますから。」と。

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この搾乳マシンは、生乳の流量が弱まると「はい終わり」と搾乳をやめ、スポンと乳頭から外れるようになっている。酪農用機械の世界はかなりオートメーションが進んでいる。本当に大変な作業だからねぇ。

さあここで、普通はみられない光景を。

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ニコンのカメラD850に超広角レンズであるSIGMA12-24mmf4を装着。広角端の12mmでライブビュー表示にし、床すれすれから見上げるように搾乳シーンを撮った。

こうすると、左上の乳房から画面上の中央よりに、太い血管のようなものが浮き出ているのがわかるだろう。これが、乳を生み出す血管なのだそうだ。ご存じだろうがお乳というのは血からできている。それがよくわかる構図。

ほうら。

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ほらね。

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ありがたいご馳走だよね、牛乳って。牛さんありがとね。

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この子は4産した、酪農界ではベテランの域に入る母牛。「え、4産でベテラン?」そう、現代の酪農においては、ホルスタインは2~3産で廃用牛にしてしまう。多産すると生乳に体細胞が混じったり、品質が下がる要因になってしまうのだ。

「そりゃそうですよ、とんでもない乳量を出すように改良してきちゃったから、生む力なんて無くなりますし、乳量も落ちてきます。」

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と。だけどここは学生に技術を教える場でもある。人を蹴ったりする不機嫌な気性の牛よりも、ちょっと歳をとっていても優しく大人しい牛の方がいい。ということで、こういう子が残っている。

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背中をみると、骨が浮き出ている。子を産んだばかりなのだそうだ。いかに牛が命をかけて子を産み、乳を出しているかが分かる。それを人が横取りしているのだから、牛乳はありがたく飲まなきゃいけないのだ。

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右隣の子は今回が初産だったピチピチの若いギャル牛。もうね、身体のつやとかハリが違う。ホントに命削ってんなー、ありがとね。

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「そうそう、飲みたいんでしょ?牛乳。先週までは冬の牛舎飼いから放牧に切り替えが進んでいる時で、餌が急激に変わったせいか、生乳の質が安定しなかったんですよ。牛臭くてね~」

えっ 牛くさいの!?

「そうなんですよ、北大マルシェcafeに先週来たお客さんにはホント、申し訳なかったんですけど。でも、昨日はわりと美味しくなってたんで、なんとかイケるかと思います」

えーーーーマジか!? とちょっと不安に思ったが、、、

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うまい!

口中に拡がる甘い甘いバニラ様の香り! 飲み口はスッキリ、まったく口の中にネバッとした風味が残らない。 なんたる甘みとキレ感!

「おおっ 今日のはうまい!やまけんさんアタリでしたね。まあ、牛がなれてきたんだと思います」

そういう、生乳の味が変化していくのを感じるのも、とても大事なことだ。

第一次産品というものは、同じ味のものなんて存在しない。

天候や栽培方法や飼育方法、家畜の体調、餌によって日々変わっているのだ。

たべものは工業製品ではないのだよ!

ということで、この生乳が美味しいチーズに変わる瞬間に立ち会った次回に続きます。