やまけんの出張食い倒れ日記

熟成肉の報道について簡単に。

NHKが21日に3度に分けてニュース番組で放送した熟成肉についての特集、ご覧になった方も多いと思う。今日あたり、ぜんぜんこの件についてアンテナを張っていなかった他局・他メディアが「やばいっ!」となってあちこちに調査をしているもよう。僕にもコメント依頼が朝から4件ほどきたけど、これから僕は講演に入ってしまうので無理でーす。

で、後追いの報道はおそらく先行するNHKより深い情報を得られないと思う。だって都庁の記者発表の際に足を運んでいたの、NHKだけだったらしいからね。NHKは都の担当者さんと関係構築して、僕や業者さんを調査してからの報道になっているので、今日明日調べたところで深みのある報道は難しいでしょう。

で、今回の件の元ネタはこれです。

■いわゆるドライエイジングビーフの衛生学的実態調査
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouka/files/29/joho2/08_shiryo2-3.pdf

東京都の食品安全情報評価委員会が独自に実施した調査。これを元に2月20日に検討が行われた次第。

重要なことは、調査対象は11施設と限られていること。製造方法についてはばらつきがあったこと。ドライエイジングビーフは生食できるなどの誤った認識を持つ事業者もいて衛生管理上の問題点も散見されたということ。

そして5施設からトリミングした部分とトリミング後の肉の表面を検査した結果、食中毒菌が検出されたものもあった。

といったところ。内々の情報では信頼できる業者さんのところで「あー、あの調査、これだったのか」という声も出ているが、おそらく小さな冷蔵ケースで「熟成」と称している飲食店もあるもよう。そりゃいろいろ出てくるよね。

これから講演なのでこの辺にしますが、みなさんにおつたえしたいこと。

こうした調査が行われることはよいことと思うけど、今回の調査はヒアリングの件数および検体数が少ないので、これをもって何か判断というのはありえません。

肉の熟成をちゃんとやっているところとそうでないところがごっちゃになっているので、それは分別してあげないと、きちんとしているところが迷惑だし業界全体が萎縮してしまう。

「規格や基準づくりは必要」と言ったけれども、いまはその前提となる科学的知見を積む時期である。

安すぎる熟成肉はあぶない、と言ったけど、国産の牛肉をきちんと熟成してトリミングしたら、どうしたって肉バルでお安く食べられる価格にはなりにくいから150g以下で2千円台だと、ちょっと安すぎると思う。USやオージーをその価格帯で「熟成」といっている場合、わたしは疑ってかかることにしています。(私見ですけどね)

といったところ。時間ないので、あとはTwitterの発言をご覧下さい。