おかげさまで「熟成肉バイブル」好調です。柴田書店が出している本の多くが採用する格調高い写真の表紙ではなくて、ポップなイラストということもあってか、かなり人目を引くみたい。ブックデザインの青木さんに感謝。
さて、誌面に掲載していない写真で送る「列伝」、おつぎは大阪編です。
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大阪で熟成、ドライエイジングと言えば「又三郎」がまず挙げられるわけだが、このferiaさんはその又三郎で修行した渡辺さんの店だ。だから実力はおりがみ付き。しかも、飲食関係者には嬉しいことに、大阪の台所を支える中央卸売市場に店があるので、野菜や魚などの仕入も兼ねていくことが出来る。
ここが大阪の「本場」と呼ばれる中央卸売市場。その関連棟という、包装資材とかを売る業者が入っている棟に、feriaがある。
二軒分の枡を使ったferia。熟成肉だけではなく、ちょっと面白い輸入食材も扱っている。僕なんか、この店頭にくると肉だけではなくて、小技のきいたマスタードなど買い込みたくなるが、荷物が重くなるのでいつも泣く泣く諦めている。あ、通信販売も可能です、もちろん。
渡辺さんは鉄板焼きのレストラン、お肉の卸、そして又三郎さんという経路を通って独立した異色の存在。料理人の経験があるから、料理に必要な特性を分かった上で肉の手当をできる存在だ。
その熟成庫内はワンダーランド!バラエティに富んだ肉を熟成している。じつは、大きな規模の熟成業者になればなるほど、取引先もチェーン系の大きな業者産になることが多いため、必要とされる肉のスペックが骨付きロースとモモのみになってくる傾向がある。
その点、feriaのように小まわりのきく規模だと、さまざまなお客さんがつくこともあって、色んな肉を求められる、というわけだ。ご覧のように黒毛和牛からF1、豚肉、牛タン、羊肉など、本当に色んな肉を熟成している。
中でもここのスペシャルは羊だろう。
輸入業者からいい状態で渡されたラムの表面に油を塗って乾燥を防ぎつつ熟成を進めるのだ。これはぜひ多くの人に食べて欲しい肉である。
豚肉のエイジングも実に美味しく仕上がっている。ドライエイジドポークにチャレンジする人も多いが、牛のようにむせるような香りにはならないが、実に大きな変化が起きる。これも食べてみて欲しい。
牛タンがまた、かなりよい。これだけの本数(熟成庫2つでギュウギュウに吊している)を処理しているということは、かなり太いお客さんがついているということだ。
その熟成だが、僕がよく言うところのハードタイプである。
その割に、肉の歩留まりはいい。他の業者さんで4割程度をカットするところもあるが、feriaの場合は師匠の又三郎さんゆずりで、それほど削らなくても大丈夫な熟成になっている。もちろん、肉の状態によるけれど。
それでいてカビはしっかり行き渡る。「熟成肉バイブル」本誌には、どんな菌がいる等の情報も記載しています。
謙虚な渡辺さん、物静かだけど、心の内には情熱を秘めている。
僕が素敵だと思うのは、渡辺さんが料理心を持っているところ。鉄板焼きの経験があるので、その肉焼きは素晴らしい! ちゃんと買ってくれるひと限定だろうけど、肉の試食もお願いすればやっていただける。(だからといって、決して軽々しく頼まないように!)
渡辺さんが使うのはカセットコンロと溶岩プレート。狭いスペースで、魔法のように火入れがされる。
素晴らしい仕上がり!
ここで飲食店として提供してもいいくらい(笑)
牛肉の熟成は香りもたおやか、本当に深みがあって美味しいのだけれども、僕的にはこの豚肉がまたイイのだ。
脂の溶け方、滑らかさが絹のよう。素質もいいのだろうが、熟成によって伸びていること間違いない!
11月13日(月)の三省堂書店でのトークイベントでも、みっちりこの辺は解説します!
日本で「ドライエイジング」、「熟成肉」といった言葉が使われるようになって5~6年が経ちました。
いまや繁華街を歩けば肉バルやステーキレストランが必ずあり、
メニューに“熟成”というキーワードが載ることが珍しくありません。
一方、なにをもって「熟成」と称してよいのかということについては、
じつは業界でも整理がついていません。
「ドライエイジング」「熟成肉」はまだまだ発展途上なのです。
筆者は、日本における熟成肉ブームの始まりから、業界に深く関わってきました。
『完全理解 熟成肉バイブル』はその活動をベースに、
ドライエイジングの本場であるアメリカ、フランス、
そして日本における信頼できる熟成業者を訪ね、
熟成技法について取材を重ねた内容をまとめたものです。
また、熟成肉の取り扱いに長けた料理人によるトリミング・火入れ・オリジナル料理も収録しました。今回のイベントでは、本書でレポートした内容を中心に、
「熟成肉とは?」「なぜおいしいの?」といった基本的なところからお話しします。
飲食店で肉を提供する側の方も、肉を愛してやまない消費者側の方にも楽しんでいただけるイベントです!
申し込みはこちらから↓
■三省堂書店Web http://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/events/2767
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