そろそろみなさんの手元に届くようになった「熟成肉バイブル」、好評をいただいているようでなによりです。
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本誌登場の熟成業者さんを、誌面に掲載していない写真で紹介するシリーズ、杉本食肉産業さんに登場してもらおう。杉本食肉産業は愛知県に本拠を持つ、中京地域では大変に大きな勢力を持つ食肉業者だ。
名古屋の一等地にこんな大きな精肉店&料理店の店舗があるのを観たことがある方もいるだろう。
ここを筆頭に、各地の商業施設内に精肉店や飲食店を展開している。その杉本がドライエイジングに取り組みを始めた時、立ち上げをになったのは、高級牛肉の本場である三重県出身の川村さんだ。
川村さんは、四日市で昔ながらの含気熟成を行う精肉店によく出入りして仕事をみていたこともあって、真空パックによる熟成の限界を感じていた。そこで、杉本におけるドライエイジングプロジェクトの担当になったわけだ。
その主戦場は華やかな店舗ではなく、愛知県内にある食肉市場だ。
ここではと畜・解体からセリまで一気通貫で行われる。その一角に杉本食肉産業の広大なスペースがある。
職人達が素晴らしいスピードと手際で肉を捌いていく。
ここから切り出したばかりの肉を、そのまま同じ建物内にある熟成庫へと持っていくことができるのが、杉本食肉産業の大きな強みである。
その熟成庫だが、本誌を読んでいただければわかるのだが、通常の冷蔵庫ではない。ある仕掛けによって、普通なら肉が凍結に向かってしまう温度帯で熟成をかける仕組みになっている。
実を言うと、日本ドライエージングビーフ普及協会の認定審査に杉本食肉産業さんが出品したとき、僕はその熟成技法に疑義を唱えた。その後、ぜひ観ていただきたいというお誘いをいただき、庫内に入れてもらった。
そして僕は不明を詫びた。川村さんが到達した素晴らしい熟成技術!
なにがスゴいのか、革新的なのかは「熟成肉バイブル」を読んで欲しい。
ちなみに、タイトルに思わせぶりに書いているけど、暫く前にクローズした、世界的に著名な欧州の精肉店が東京に出していた店が、10月にリニューアルオープンする。経営が変わったらしい。そこの店の熟成は以前も今後も杉本食肉産業がになう。だから、熟成の質はバッチリだと思う。阿蘇のあか牛を熟成して出す店は、東京ではあそこだけだったので、無くなるのは惜しいと思っていたのでよかったと思う。フランスの肉も輸入して熟成庫に入れるようだけど、そっちは本国の肉屋さんの方でいい肉を日本に送ってくれるかどうかが問題だろうねぇ。
さて、諸食用の肉を切り出していただき、取材の夜は名古屋の「スギモト」で美味しいすき焼きをいただいた。
割り下ではなく砂糖と醤油で焼き込んでいく!
美味しい! このすき焼き用肉はドライエイジングではないけれども、すき焼きってホント、黒毛和牛の美味しい食べ方だよね。
ちなみにスギモトさんではヤマクラゲ(ステムレタスだね)をすき焼きに入れてくれるがこれがなかなかうまい。
さて、お目当てのドライエイジドビーフだ。もちろん日本の黒毛和牛。
この日の内モモはすこし若めと言っていたが、いやいや水分の抜け具合、表面の香り、とっても美麗です。たしかに中心部はまだ香りが出ていなかったが、これは熟成技法によるもの。杉本オリジナルの方式のため、通常の熟成業者さんよりも時間がかかるのだ。その分、肉の滋味も倍増していく。
これ、スギモトでも必ず食べられるとは限らない。スギモトグループの精肉店でもレギュラーでは販売していないという。お中元・お歳暮時期には買えるが、この品質であればぜひレギュラーで売り出してほしいものだ。
杉本社長、川村さん、ありがとうございました!
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