いやもう本当に、いつのまにこんな素晴らしいカレー職人になっていたんだ喜悦さん。
もともと小売チェーンの食品担当をしていた、熊本県の僕の友人であるキエツさん。彼がいつしか「カレー店を開きたい」というので、東京のカレー名店を巡る旅をアテンドしたり、アドバイスをしてきた。ただ一方で、「そんなに甘かないからなあ、、、」と不安でもあった。やはり、カレー店の出店はいろいろあっていったん白紙に。2012年には、彼の奥さんがカフェを開き、そこで出すカレーメニューは喜悦さんが仕事の休日に仕込むように。その時代にも僕はこのブログに書いている。
■美味しく”自然食”するなら大歓迎!熊本市は川尻駅前にオープンしたカフェ「Anyo(あんよ)」で九州パンケーキなどの佳いたべものに出会う!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2013/08/9928.html
ただ、その頃の彼のカレーも試食したものの、まだまだだと感じてはいた。店がカフェだから、カフェのカレーとしては十分だ。けれども、カレー専門店として胸を張って出せるほどの説得力はまだないかな、と。
そうしたら昨年中に、なんとこのカフェ「Anyo」を閉めて、本格的にカレーの店を始めるという。マジで?と思っていた。その後もいろいろやり取りをする中で「ちょっとやまけんに味を観て欲しい」という。熊本はコンサルの仕事で定期的に足を運んでいたけれども、なかなか店に行くチャンスがない。そこで冷凍のカレーを送ってもらった。
なんとこのカレー、ヴィーガン向けの仕様で、いっさい肉や動物由来のエキス、タンパク質が入っていないという。えっ、じゃあスープのベースはなに?と尋ねたら、「北海道の業者さんから分けていただいている昆布です!」ときっぱり。うーん、そうかあ、、、なんか、美味しいのかなぁ。頼りない味っぽいなあと、正直ぜんぜん気分が乗らない。
カレースターの水野仁輔君が言っているように、インド人は大量の油とスパイスの使い方でカレーを美味しくする。いっぽう、日本人はカレーにうま味を求める。だから、インドの油・スパイス使いと日本のうま味を足せば、とても美味しいオリジナルなカレーになるというのが真実だと思う。
そのうま味に重要なのが、鶏ガラスープであったりビーフのエキスであったりするわけだが、昆布のダシだけだと、実になんというか潔いものの、弱いんじゃないかって思っちゃうわけだ。
そう思いつつ、野菜タップリで食べて下さいと言われたので、数種の野菜を用意してオリーブオイルで軽く炒めたり塩ゆでしたりしておいて、あたためたスープ状のカレーと合わせた。冷凍便で送られてきたなかには喜悦さんオリジナルのガラムマサラもはいっていたので、それも追加。
この時点で僕はあまり期待していませんでした。はい、正直な話し。
でもね、、、一口食べてビックリしたんですよ!
う、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
うまいぞこのカレー!
昆布ベースだとデリケートすぎて味がわかんないんじゃないのかと思った俺はバカ?
いや、昆布の使い方がかなり贅沢なのではないだろうか、グルタミン酸の濃い味わいが満載で、そこにシイタケだろうか、別種のうま味と強い香りも感じる。それにスパイス使いが実に秀逸で、「クミンが、、、」とか「クローブが、、、」とかいうような単体のスパイスが突出しているのではなく、実にいくつかのスパイスが融合して完成された世界観があるのだ。
これは美味しい!
さらに、同時に送られてきたポークビンダルーカレーを食べてビックリ。
こっちはヴィーガンスタイルではないけれども、それでもやはりベースは昆布ダシだという。
みてのとおり豚バラ肉がゴロッゴロ。そしてポークビンダルーの酸味と強い辛みが実にじつにじつにじつにおいしい~!
や、マジでビックリしたなあ~もう。いつのまにこんな完成度の高いプロのカレーをつくってたんかい!
「あー、そういってもらえてよかったよ、、、」
ということで俄然、店に足を運びたくなって、行ってきました熊本へ。といっても、コンサル仕事を終えてからだけど、車でキエツ夫妻が開いた店、「スパイス&カフェNICO」へ駆けつけたのであります。以下続く。