やまけんの出張食い倒れ日記

オーガニック・オージービーフでエシカルなハンバーガーの夢をみる。熊本の展示会での二日間、食のエシカルに迫るフロリレージュ川手シェフと、それぞれの食材たちとの出会い!

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いやー 先週は嵐のような一週間だった! 月曜日にオフィス引越、火曜日水曜日と熊本での展示会、だが台風に足止めされて6時間羽田にこもりきりになったり。木曜日お客さん多数、金曜日は朝から日大。夕刻、講義を終えてから秋葉原の事務所に戻って来週の準備。今週は月~水と徳島出張から始まります。ひゃー。

さて、熊本では、九州最大手の食材&厨房機器卸である丸菱の展示会。僕はここで毎年、オージービーフのグラスフェッドの牛肉プロモーションを手伝っている。国産の牛肉を応援しているけど、飲食店がつかいやすい輸入品を選ぶなら、少しでもよいものをと思うので、納得できる商品を応援したいからだ。

今年は、日本では初となるブランド「クリーバーズ」の100%放牧のビーフ。オーストラリアで有機認証を取得している製品である。

 

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前日は、いまをときめく「フロリレージュ」の川手シェフがデモンストレーション。

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ステージをみたかったのだが、飛行機の遅れでみること叶わなかった!

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相変わらずいい男である。しかも腰が低くて誰に対してもオープン。男にも女にもモテるのもよくわかります。そんな川手シェフのデモンストレーションのなかで半分くらい話していたのがフードロスに関する話題。世界のトップシェフがフードロスにいかに取り組んでいるかという話しをしていたそうだ。ききたかった~!

いま、日本で食のエシカル(倫理)について、お店やメニューレベルでちゃんと表現をしようと行動している人は少ない。日本在住の食のジャーナリストであるメリンダ・ジョーや、各国のレストランシーンに詳しい佐々木ひろこさんによれば、いまや「世界のレストランシーンでは、美味しいのは当たり前、その背景にどんな物語があるかを表現しなければならない。その物語の根幹にあるテーマはエシカル」だそうだ。

この分野で日本はとてつもなく後れをとっている。そりゃそうだ、太平洋クロマグロの成魚から稚魚までバンバン販売し、スーパーや牛丼チェーンでウナギが低価格で販売される。グルメ雑誌もいまだに「大間のマグロ」がウリになっていて、資源枯渇のことなんて一ミリも書かれない。

そんな中、川手さんのフロリレージュでは「サステナビリティ(持続可能性)」と銘打った皿がコースの中で出てくる。こうした動きが拡がることを祈る。

さて、二日目は川手さんに変わって僕と眞貝シェフ。川手シェフの女性ファンのみなさん、ゴメンナサイ。

で、クリーバーズのオーガニックビーフである。

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事前に、輸入元であるトップトレーディング東京支社の敏腕営業である伊藤ちゃんが、ロースを持ってきてくれた。

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事務所で焼いてみました(IHですが)。まだ入管したてで、真空パック内でのウェットエージングもまだそれほどの日数が経っていないこともあって、とてもフレッシュ感のある肉。

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そのままで焼くと、素直な味わい。そう、粗飼料中心でノンストレスで育てた牛ってとても素直な感じで、パンチは効いていないことが多い。この牛肉もそうで、一口食べた時にブワッとくるビーフィーな香りが強いわけではないのだけれども、これをどう寝かせていくかによって大きく変わりそう。

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放牧かつ粗飼料のみで育った牛らしく、水分が多い!ドリップをうまく抜く熟成ができると、こいつは化けますね。酒呑めbisトロタカギのように、真空パックの状態で賞味期限ギリギリまで引っ張って、その後に開梱、環境の整った冷蔵庫で含気熟成していくというやり方をすると、どんな味になるのかとても関心がある。高木さん森さん、ぜひ試してみて下さい!

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さて、有料のセミナーになったけれども、お客さんはちゃんと入ってくれて嬉しいかぎり。やはり料理人さんが多いです。僕の方は食のエシカルシーンの話しをして、後半は眞貝シェフによる料理デモンストレーション。

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料理は、クリーバーズのビーフを使ったハンバーガー! パティはドカンと130g(写真は試食用のミニサイズ)、しかもミンチのサイズを3mm、6mm、9mmと三種に分ける。3mmの細引きに塩をして練って、これを「つなぎ」の役割にして、6mmと9mmをまとめるという算段。9mmだけだと肉感が強すぎて、6mmがすこしはいることで、バランスがとれる。

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バンズも、当初予定されていたのを僕がだめ出ししました(ゴメン)。阿蘇は長陽村にある人気のパン屋さんである「めるころ」に、全粒粉タップリのしっかり目のバンズを焼いていただいた。これが重量級のパティと合う!

ソースには京都のユーサイドのマヨネーズに、阿蘇の高菜のシードをマスタード状にした「阿蘇タカナード」、オーガニックの赤玉葱とキュウリのピクルス。ペロッと見えているチーズも、丸菱の6次化拠点「マース」で製造しているチーズ「益城(ましき)」を薄切りにしたものだ。

これを店頭で販売しようとしたら1200円になる。「高い!」と思いますか?でもその価格って、マクドナルドが100円でハンバーガーを値付けしている感覚からすると、の価格ですよね。それって、本当に今の時代の食の価格感として、正しいのだろうか。それを問うメニューです。

実際食べていただいたみなさん、どうでしたか。きっと、肉々しさを強く感じつつも、いやな匂いがまったくしない清々しいビーフパティの味に驚き、ミシッとほどよく詰まったバンズの風味とパティのバランス感を楽しみ、マヨネーズソースのコクとタカナードの酸味、刺激とプチプチ感を快く思い、そして熟成味の強いナチュラルチーズである益城の高級感のあるうま味に驚いてくれたと思う。

クリーバーズのオーガニックビーフ、本格的な輸入が楽しみだ!

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さっそく、トップトレーディングの大阪営業トップの熊捕ちゃんに、ビストロ高木の森さんがいろいろ注文をつけている(笑)

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眞貝シェフが下処理をしているのは、トップトレーディングが新しく輸入を開始した子牛。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

それと、なんとフランスで見つけてきた、まだ誰も輸入していないどころか、フランス人でも「それ食べるの?」と驚いたという、経産羊、つまりマトン。

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この子牛肉にはビックリしましたね! ミルクヴィールではなく、飼料も食べさせているそうだけど、その分、味わいに厚みがある。こんなに味の濃い子牛は初めてかも知れない。

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マトンのロースを食べたひとがみな「うおーーーー!」と叫ぶ。そう、味わいが濃くて、羊特有の香りもほどよくあって、ここ10年くらいでだいぶ羊肉になれた日本の羊好きにかなり受けそうな味だ。

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しかもそのバラ肉部分がまたうまい! 脂のキワのパリパリに焼いた部分が最高です。これ、ジンギスカン屋は導入して欲しいと思う。

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マニアックイタリア食材の登馬商事は、エース格の横澤君が生ハムをスライス。

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「やまけんさん、いまこの生ハムがベストな熟成タイミング、温度、スライスの薄さですから、食べて下さい!」

と手渡しで。口に含むと同時にネットリとした脂が溶け拡がり、ブワッと熟成香が口中を支配する!美味しいねぇ!

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西米良サーモン、大人気。

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丸菱が製造するFARM Qのシャルキュトリ類、試食のブースに行列ができている!

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芦北・水俣からは素晴らしい魚介が。中でもハモの味わいがとてもいい。

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森永商事はあの森永の商社部門。チョコレートについて、藤沢出身の船山さんにいろいろ教えていただいた。いまや国産のチョコレートの品質がとても向上していること、コーヒーと同じで産地によってまったく風味が変わること。

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いや、楽しい二日間でした。関係者のみなさん、お疲れ様でした!