革命的な商品その2は、牛乳だ。
え、革命的ってことは普通の牛乳ではないってこと?
そうです。普通じゃないです。
きっと通常の育て方と違う牛乳なんじゃないの?
そうですね、じつは有機JAS認証を取得した有機牛乳で、しかも風味を損なわないパスチャライズです。
おお~、いいね!それが革命的なの?
いや、それは革命じゃないんですよ、、、
答えはなんと!
この牛乳、冷凍品なんですよ。
牛乳は冷凍に向かないとされている。通常の冷凍方法だと緩慢に温度が下がっていくため、水分が凝集し凍結してしまうということと、油膜に破断が生じてしまうということが問題で、解凍時に水分と油分がうまくくっつかなくなるようだ。その結果、ざらつきを感じる舌触りになったり、また味わいが変わってしまうといわれている。
でも、昨年中に農水省の実証実験事業で冷凍牛乳の技術開発が進むなど、技術的な課題がほぼ克服できた。そして、今回のこの冷凍牛乳製品を出すのが、なんと知る人ぞ知る、群馬県のタカハシ乳業なのである!
タカハシ乳業は関東でもハイレベルな低温殺菌牛乳を販売する会社で、僕もここの牛乳はとてもおいしいと思う。
ただし、この冷凍牛乳、タカハシ乳業ブランドで売られるわけではない。なんと、冷凍食品の会員制販売を行うシュガーレディが、先駆けて全国販売するものだ。
ごらんのとおりパッケージが無地だが、これは開発中だから。大学の先輩でもあるシュガーレディの佐藤社長と飯をご一緒した時に「はい、これちょっと面白い商品ですよ」とくれたものだ。
「あのね、これは解凍してから、パックを空ける前によーく振って下さい。振らないとダメですからね!」
と再三言うので、「振らないで飲んだらどうなるんだろ」と悪魔のようなことを考えてしまったのだが、1本しかないからもったいないのでよーく振って飲んでみた。
おおおおおおおおおおおおおおおお ちゃんとした牛乳である!
ってあたりまえだろ!と思う人は、牛乳を冷凍するということを考えたことがない人だ。この技術、スゴい。
ええとね、とてもおいしい牛乳です。 冷凍牛乳の味、、、ぜんぜんしないよ!ていうか普通に牛乳として美味しいじゃんか!
ということがとても大事なことなので、この冷凍牛乳技術、とても意義深いものであります。
「これ、冷凍牛乳ですね」
ってわかっちゃったら意味がないんですね。なんで農水がこの技術の実験をやったかというと、それはもうアベちゃんが推進している輸出促進のためである。牛乳は鮮度が重要であるため、ロングライフ牛乳以外には輸出には向かない商品だったのだ。でも、冷凍なら消費期限を1週間ではなく2ヶ月くらいに伸ばすことができる。だから輸出にも有利だろう、というわけ。
でもねえ、申し訳ないけど、いま日本の酪農の世界では、乳が余っているということはまったくなくて、逆に逼迫してるんですね。そりゃそうだよ、規制改革推進会議とかガイアの夜明けとか日経新聞とかがみんなで既存の生乳生産者や組織をいじめまくるから、生産者さん達も後継者にバトンタッチすることもせずに、自分の代で辞めてくんですよ。
だから、輸出に回すような牛乳、そんなにないと思うけどなあ、、、
しかもですよ、日本では生産量の少ない高級な低温殺菌牛乳をそんな他国に出荷する必要ないっしょ。輸出するならUHTでお願いしまーす。おいしい低温殺菌牛乳は国内で飲みたい!
それにですね、僕的には、2ヶ月よりもう少し伸ばすことができるなら、冬に夏の牛乳を、夏には冬の牛乳を一緒に飲み比べるということをやってみたい。どういうことかというと、ノースプレインファームの記事でも書いたように、乳牛が青草を食べられる時期はそう長くない。冬場は乾燥させた餌を食べている。そのどちらも特有の味と香りがして美味しいのだが、冬に夏の牛乳を飲むことはできないし、逆もまたしかり。
でも、冷凍牛乳の保存性が高まれば、それが可能になる。なんか、面白くないすか。
ただし、冷凍牛乳にすると、やはり完全に元の味に戻ると言うことではないらしい。実証実験の報告書を読むと、官能評価のパネルの回答では、風味や香りがやや違うという答えに差がみられたようだ。おそらく、この有機牛乳は冷凍前の方が濃厚さがあったんじゃないかなと思う。というのは、僕はジャージー牛乳はあまり好きじゃなくて、それは脂肪分が濃すぎると思うことが多いからだ。けど、この冷凍牛乳はとてもアッサリのむことができた。それは冷凍ゆえだからかもしれない。
ということで、ぜひこれは試してみる価値ありですね。
でも佐藤社長、これってシュガーレディの会員にならないと飲めないの?一般販売もして欲しいなあ、とリクエストしておこうと思います。
■シュガーレディ ※まだこの冷凍牛乳の情報は載っていないね!
http://sugarlady-official.jp/