やまけんの出張食い倒れ日記

北海道産の子実トウモロコシを与えることで国産飼料98%を実現した、ホクレンの「とうきび豚」が偉い! これぞ「日本の豚肉」と胸を張っていいものなのだ。 ~sdQuattroHで撮影

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SIGMA sdQuattroH+24-105mmf4

ホクレンは偉い。偏向番組「ガイアの夜明け」の生乳関連の回では不当にいじめられてホントかわいそうだったけど、それにもめげずしっかり胸を張っていい商品を開発した!

「とうきび豚」と銘打たれたこの豚肉、国産飼料98%の給餌を達成しているのだ!

 

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何度もこのブログで書いてるけど、日本の畜産はエサの多くを輸入穀物に依存している。この輸入飼料を考慮して計算すると、H26年度の豚肉のカロリーベースの自給率はたったの7%となってしまう。

よく「食料自給率なんてどうでもいい」と言う人がいるけど、ぜんぜんどうでもよくない。だってエサが畜産物の味のかなりの部分をつくるんだもの。そのエサのほとんどが海外産のものなら、その畜産物の味は海外由来ということになってしまう。

日本で餌用の牧草や穀物を作ることはできるけど、それを採算ベースにのせて、しかも多量につくることは難しい。圧倒的に輸入するほうが安くつくからだ。けれども最近、穀物飼料の価格が高どまりしていることから、国内で生産できるエサを模索する動きが加速している。

そのひとつが子実コーンと呼ばれる、デントコーンの実を穫る農業だ。日本でも飼料用のデントコーンを栽培してはいるが、おおくは穂が成熟したところで、茎や葉も含めて刈り取り、ロールに巻いて発酵させるサイレージとしての利用が主体だった。この場合、穀物としての利用ではなく粗飼料としての使い方(成分)になる。

それに対して子実コーンという場合、穂を成熟・乾燥させて、その子実のみを穀物として利用する、いってみればトウモロコシの本筋としての使い方となる。北海道では他の作物に使用される収穫機が転用できることから、利用実験が進められてきた。

以前にも、茨城で梅山豚を生産する塚原牧場の塚原さんが飼料設計を指導する望来豚(もうらいとん)が、札幌の精肉店で販売されたことをここで伝えたが、期間限定だったからね。 ←あれまたやってくださいよ塚原さーん!

じつはこの子実コーンの取り組みは北海道だけではなく東北や関東、近畿でも行われている。ぼくも自分の短角牛に国産子実コーンを食べさせて育てたい!と思ってこれまでも試行錯誤してきたのだが、残念ながらうまくいっていない。なぜかというと、子実コーンの入手ができたとしても、それをエサに加工することが難しいからだ。

子実コーンはそのまま与えればいいわけではなく、家畜の生育ステージに合わせて挽き割りにしたり、加熱・加圧して消化吸収しやすく加工してやる必要がある。また、それができたとしても、エサに混ぜるというのはそう簡単な話ではない。飼料メーカーに依頼しようとしても、数頭分ではやってくれない。ある程度の規模のメーカーだと少なくとも100トン単位じゃないと、、、と言われてしまうのがオチだ。

しかし、ホクレンのような農協系統の、飼料メーカーもグループ内に有する組織ならそれができる。というわけで、この取り組みは農協組織ゆえに実現したものといってもいいだろう。

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とうきび豚はエサの6割が子実トウモロコシである。トウモロコシ中心だと脂はやや黄色みがかかり、軟脂とよばれる融点の低い、柔らかい脂になる傾向がある。僕は、昨今多くなっている麦系の飼料を中心に与え、純白で硬めの脂になった豚肉よりも、トウモロコシ中心で軟脂傾向の豚の方が、食べる分には好きだ。

このとうきび豚の肩ロースを送ってもらったのだけれども、実に柔らかいので驚いた。トウモロコシ中心で軟脂なだけではなく、赤身部分の肉質もずいぶんと柔らかいような気がする。リキッドフィーディングの豚なのだろうか?そうでもないようだけどな。

ちなみに6割のトウモロコシ以外に何を与えているかというと、小麦、ジャガイモからデンプンをとった副産物であるポテトプロテイン、甜菜から砂糖を生産した粕であるピートパルプなどなど。つまり、これら副産物も北海道農業ならではのものなのだ。

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せっかくなので、事務所で帰りが遅くなる晩に、夕食に焼いていただいた。付け合わせのジャガイモ「こがね丸」と斜里町産のタマネギも北海道産。折笠農場から送ってもらったものだ。どちらもとうきび豚から出た脂で焼き、最後に「あすなろ乳業」の美味しいグラスフェッドバターで香りをつけた。

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とうきび豚は通常の三元交配豚、つまりランドレース(L)×大ヨークシャー(W)×デュロック(D)の掛け合わせ、またはそれに準ずるものだが、今回の注目点はエサだからね。という視点で食べると、とてもとても美味しい!というか、実にオーソドックスな、これぞ豚肉という味わいである。ただ、加熱したあとの肉の食感はやっぱりその辺の豚肉よりも柔らかい。

脂の質はやはりとけがよく、日本人が好むほどよくパンチの効いた風味だ。塩だけで食べてもよし、東松山焼き鳥のニンニク味噌ダレのような強い味のものと合わせてももちろん美味しい。つまりテーブルミートとしてなんにでも向く味わいだ。そう、この豚は強烈に飛び抜けた個性がある味わいであるわけではない。

でも、それでいいのだ!

国産飼料98%でこの味が成立したことがスゴいんだ!

これなら胸を張って日本の豚だといって海外からの客に食べさせることができる。ホクレンさん、このとうきび豚でバークシャーをとめオスにしたLDB(ランドレース×デュロック×バークシャー)をスペシャルバージョンで商品化して欲しい!

きっと美味しくなるんじゃないかな、、、 販路の確保は俺も全面的に協力するぜ!

なお、このとうきび豚は現状、北海道内のAcoopなどでしか買えない模様。北海道に行ったらAcoopを覗いて、買って帰って食べてみて下さい。

ホクレンがんばれ。もちろんホクレン系統外の生産者さんもがんばれ。

俺は国産飼料に取り組む生産者を応援するぜ!