今回は月~金と、札幌グランドホテルに滞在。札幌のホテル老舗だが、ここしばらくは泊まっておらず、北大に通うのに近いホテルを選んでいた。でも、ひさしぶりに泊まって、ここはいいなあ、と実感。サービスや調度品もだけれども、ホテル内での朝食やベーカリーの質がとても高い。
朝食は一階のノーザンテラスやビッグジョッキなどにビュッフェがあるが、ノーザンテラスがよかった。というのは、会場が広いからだろうが、牛乳を二種置いてあったのだ。ひとつは江別市の町村農場の瓶入り牛乳、もうひとつは有機牛乳の「香しずく」だった。これはと思ってどちらもグラスに注ぎ、飲み比べをしてみた。
町村牧場の牛乳はUHT(超高温殺菌)のようで、口に含むとUHT特有の焦げ臭がするものの、大手メーカーのものとは違い後味はとてもスッキリしていて、生乳の品質もよいのではないか、UHTでは美味しい牛乳だと思った。
そして有機牛乳の香しずくを呑んで、ちょっと驚いた。鼻にも口にもアタリの柔らかな風味でパスチャライズであることはわかったが、風味がよい。冬場なので干し草主体で、多少濃厚飼料も与えているのかな?と思うコクを感じるのだけど、とにかく風味が綺麗だ。僕は牛乳にあまりコクを求めていなくて、それより飲み口がスッキリしていることが大事だと思っているのだけど、香しずくのほどよいリッチさはとても好みだったのだ。
部屋にもどってから調べたら興部(おこっぺ)の農場だ。興部と言えばノースプレインファームがある地域ではないか、それなら頷ける、牧草の質が素晴らしいのではないだろうか。牧草がいいということは土壌がいいということだ。香しずくを出している冨田ファームのWebをみたら、牧草の栽培に化学肥料は使用せず(有機をうたっているから当然だけど)、搾乳牛の糞を堆肥にして撒いているそうだ。それで、チッソ過多にならないよう、土壌診断をしながら循環型の有畜複合農業を展開しているとのこと。
イギリスの素晴らしい生乳生産をみて、やっぱり牧草の質によって生乳の味は左右されると実感したのだけれども、興部という地域は素晴らしい環境なんだなぁと実感した。
そして思ったのは、北海道のホテルは、ビュッフェのおかず品目を増やすことよりも、おいしい牛乳を数種置いて、牛乳にも味の違いがあるんだということを訴求したらいいのにな、ということだ。乳業メーカーや生乳関連団体もそこに支援するなりするといい。消費者は自宅で牛乳を数種買って飲み比べるなんてことはしない。とすれば、訴求できる場は限られる。ホテルという非日常の空間なら、それにふさわしい。
そんなことを思った札幌グランドホテルだった。そういえば、僕が通う北海道大学の札幌キャンパスには牛がいて、搾乳もしているということは以前に書いたと思う。
この北大牛乳、もしかしたら近日中に、一般も飲めることになるかもしれない、そうである。そうしたら札幌グランドにも、近隣のホテルにも置いていただきたいなあ、と思う。
さて、原稿が一段落したので、大学に行ってきます。