SIGMA dp0 Quattro f9 1/250
大根やぐらの写真をこれまで公開してきたが、最初から大根が掛かっているものが多いので、それを掛けるまでの労力が伝わっていないかもしれない。
大きなやぐらだと軽くみつもって1万本以上の大根が掛かっていることになるのだが、その大根は全て人力で上げている!もちろんこの時期はどの大根農家もパートさんを雇うなりして人材を補強するのだけれども、それでも家族労働がベースになっている。
そこをちゃんと伝えたいなあと思っていたところ、なんと宮崎から帰京する最終日の昼飯前、なんとも絶妙な場面にに遭遇したのだ。場所は、僕がヘビーローテーションで撮影に訪れている片井野地区。例の、穴を掘って下から撮るプロジェクトの最初の候補地だった谷口おさむちゃんという生産者さんの作業小屋だ。
これからやぐらに掛けるのであろう大根を積んだトラックに、なんとも「作業途中ですよ」感ただよう脱ぎっぱなしのゴム長靴や防水のゴム製前がけ。意味ありげだ、、、
それにしても、トラックに大根を積んでいるだけなのに、なんとも美しいなと思ってしまうんですよ。
広い範囲の情報がたっぷり入るように20mmという超広角レンズを搭載したSIGMAのdp0quattroを取りだして撮影。
と、そこに大根を満載した軽トラがプップーとこちらにやってきた!
こちらは、掘り上げてまだ泥を落としていないままの大根だ。
この時点で見事に型が揃っている。それも、農家の腕前といっていい。実はいろんなやぐらを観ていると、大根の不揃い感が強い農家さんもいる。上手な農家さんのやぐらをみると、かなり均一に同じ方の大根が干されているのだ。さすが谷口家!
よくみると、すでに2本一組で、葉の部分を先日のブログで横山親子にみせていただいたような麻ひもでくくってある。掘り出した大根を2本一組にして結ぶところまで作業してここに来たわけだ。
「これから大根を洗うんだよ」と準備を始める谷口ご夫妻。
どうやら奥様が大根を洗い、洗い終わったものを荷台に乗せていく役割のようだ。おさむちゃん、ゴム長と前掛け、ゴム手袋を装着。
まずは2本一組の大根をベルトに乗せていくと、どんどん前に送られて、、、
内部にある上下のブラシと水で洗浄!綺麗に仕上がってきました。
これをおさむちゃん、エイヤッと積み上げていきます。
さて、ここからこの作業の黙々さ加減を識っていただくために、しばし写真を載せ続けますよ~!
SIGMA dp0 Quattro f9 1/250
ご覧のように、向こうに大根やぐらをのぞみつつ、ひたすら作業していきます。
Nikon D800 24-70mmf2.8
これは腰を据えて撮ることになりそうだと言うことで、D800も取り出して速射!
どんどんトラックの荷台に大根が積み上がっていく!
とにかく黙々と大根を運ぶおさむちゃんの動きがかっこよくて、どうしてもこれに肉薄した写真を撮りたくて、持ち運んでいた機材からスタンドとフラッシュを出して、日中シンクロを仕掛けて、洗浄機の下に潜り込んでシャッターを切りまくった。
この日一番のカットがこれ!↓
カメラ、濡れましたけどね。いいんですそんなこと。
どんどん積み上がっていく大根の山!
ようやく、荷台が満杯に!もちろんまだ残ってる大根は、あとでまた掛けるのでした。
さて、この大根をどうやってやぐらに掛けていくかというと、、、
こんな感じです!
一人がやぐらに上って、一人が下から、紐を棒にひっかけて2本一組の大根をやっと持ち上げ、手渡す。
それを、横に渡した竹の棒にひっかけていくのだ。
写真は低いところだが、大根を掛ける横棒は10段あるので、高所になればなるほどに慎重に作業しなければならない。上に上がる人には、ぜひ安全帯を使って欲しいなあ。
どんどん、空白部分が埋められて、掛け終わり!
こうして、やぐらが大根を満載したやぐらが仕上がったわけだ。生の大根は、10日から2週間ほどかけて、つよい寒風と天日によって干される。その間は、雨に濡れたり、氷点下で凍ったりしないように調整が必要だ。雨の予報が出たらブルーシートを全体にかぶせる。氷点下に気温が下がる予報が出たら、中でストーブを焚いて、温度を上げる。この間、干し大根農家は気が抜けないのだ。
いやーおさむちゃん、奥様、お疲れ様でした!
ちょっとお二人、写真撮りましょう。
「いやいや、あたしはいいから!」
と逃げ惑う奥様(まあそりゃそうだ)。でもさすが仲良し夫婦、ちゃんと収まってくれました。
恥ずかしがってる加減が可愛いです!
おさむちゃん、初めて会うとこわもてかと想うけど、ものすごく優しい方。僕の撮影のために、いつどう作業したら最高のやぐらになるかということを気にかけて考えてくれていたのだ。感謝の一言しかありません。
大根やぐらを巡る物語はまだまだ続きます。
大根を積むおさむちゃんの写真や、すぐ上のご夫婦写真、ちょっと観ると少し違和感のある、非現実的な写真に見えることと思います。光の向きをみてみると、カメラの右上から太陽の光が降り注いでいます。ということは逆光という状態になるので、カメラが正対している被写体はすべて影に覆われて、黒くつぶれて見えなくなっているはずなのです。
実は、その状況下でカメラ側から太陽の光にまけない強さのフラッシュで光を当てると、黒くつぶれずに被写体が写ります。これを日中シンクロといい、海外のファッション誌やナショナル・ジオグラフィック誌などではよくこの技法を使った写真を見かけます。でも日本では非現実的というか、超現実的な表現になるので、あまり好まれないのか、派手にやる人をあまりみかけない。もしくは、非現実的にならない程度に使っていることが多い。
でも、僕はこれをバシッと決めるのが好きなんですよねぇ。だって、なんかものすごく、現実が強調される感じがしませんか。
撮影機材はdp0Quattro、ニコンD800+24-70mm、フラッシュと秘密兵器です。これについては後ほど書きますね。