OLYMPUS E-M1 markⅡ 12-100mmf4
まあ、こうやって食べる関係の仕事を生業にして、かつカレー大好き!と吹聴していれば、いろんなところでカレー名人にはつきあたるわけだ。「素人の域を超えてる」とか「プロに比べて遜色ない」など、色んな形容詞で語られるそうした人のカレーを、美味しく味わってきました。けどね、やっぱりそういうものってプロのお店のカレーとは違うんです。
店を営むってのは本当に大変なことで、かつある程度以上の規模を提供する前提でないと出せない味ってのが存在する(それはカレーに限らない)。だから、「プロに比べても遜色ない」というのはたしかにあるけど、どこかしら素人臭さが残っていることがあって、それについてはいちいち言及しない。
でもごくたまに、「こいつぁ すごい!」と唸るものに出会うことがある。
高知県庁の畜産関連部門には恒石さんというカレーマニアがいる。以前は畜産試験場で遺伝子研究などに関わる技師だったが、昨年から本庁に移動して僕の担当さんになってくれている。この人とは会えばカレーの話ししかしてこなかった(笑)
この恒石さんのカレーがすごい。とにかくすごい。店をやればやっていける、かどうかはわからない(経営能力は別ものだから)が、味に関してはすでに楽勝で客を呼べる域に達している。
数年前に、上京するので昼飯をというので、まだ行ったことがないというデリーの新川店に連れて行った。本家デリーを長年勤め上げ、みごとのれん分けで中央区の新川にデリーを冠した店をオープンされた浅野さんとは仲良くさせていただいているので、「この人、高知からわざわざ食べに来たんですよ」と伝えると、ご親切にもいろんな話をしてくださった。
しかも、あのデリーのカレーをデリーたらしめている炒めタマネギまでみせていただいた!
これが新川店のコルマカレーの味を産み出しているのだ!
ひたすら感動して食べていた恒石さんが帰ってしばらくたってから、カレールーを冷凍したジップロックが届いた。
「デリーの味を思い出しながら作りました」とあったのを解凍し、鶏肉を足して軽く煮込んでいただいたのだが、本当にびっくりするほど美味しい、深みのある、デリーリスペクトの要素がきちんと入ったカレーであった。むやみやたらとスパイスの種類を増やしすぎてなんの味になってるのかわからないようなカレーではなく、彼の意思と設計でこうなったというのがわかる、輪郭のはっきりしたカレーであった。
以後、カレー不毛地帯である高知において、ひそかにナンバーワンは彼のカレーだと思っている。
その彼から11月終わりに、また冷凍のカレールーが送られてきた。
どうやら、一緒にまわったHACHIYAカレーや、東京カリ~番長の水野仁輔君の著書などに刺激されたらしい。その著書とは、水野君がカレーの名店十店のシェフと対談し、「えっそんなこと話していいの?」というようなことまで明かしているこの本だ。カレー好きなら必読の書。
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「なんかねぇ~ ちょっとスランプだったんですよ。カレーに力を込められないって言うか、、、でも、水野さんの本を読んだら、きらめくような名店のシェフがすごい秘密を語ってるじゃないですか。ちょっと僕も頑張ろうかなって。」
それで僕にカレーが届いたんだから嬉しいものだ(笑)パッケージには3日熟成と書いてある。
年を越してからになってしまったので、冷凍とはいってもすこしねかせすぎになっているかもしれないが。、カレーを温める。もう煮込み終わったものだから、具材を入れてまた煮込むと香りや味が飛んでしまうので、鶏手羽中を色づくまで焼き、あたためたルーに混ぜ込んで30分ほど火を止めておいて馴染ませる程度にした。
赤カブを細かく刻んでアチャール代わりとした。ルーの海の中に、ピンクペッパーのホールのままの粒が浮かんでいるのが見える。
いやもう、素晴らしい!
僕が好きなことをわかっているからだろう、デリーの雰囲気がある。しかしそれよりも和カレーの趣もある。彼のカレーをよく味わってきたという奥様いわく、
「デリーのコルマカレーを目指したが新宿中村屋カレーに着地したカレー」
とのこと。なるほどたしかに! やはり僕が年明けまで置いちゃったからか、スパイスの先鋭的な香りは飛んでしまっているものもあるだろう。非常にまろやか。けど、そんなのはどうでもよくなる深い深い味だ。これを、市販ルーや業務用ルーなしで創り上げているのだからすごい。
しかしほんとに高知県の課題はカレーである。旨いカレー、もっとないかな。もし情報あるかたはお知らせ下さいね。抽選で○名さまに恒石さんのカレーを、、、なんてことができたらいいね(笑)恒石さん、ごちそうさまでした!